吉岡直樹
1976年生まれ、京都府出身。2002年、自治医科大学卒業後、京都府立医科大学整形外科入局。長野県や京都府の職員としてへき地医療に従事し、県立病院や救急医療センターなどに勤務。京都府立医科大学整形外科教室スタッフとして同大附属病院での診療と研究にも従事。16年、よしおかクリニック開業。22年秋、予防医療を目的に米ぬか酵素風呂とフィンランド式サウナを併設した温浴施設「ぬかとゆげ」をオープン予定。
https://yoshiokaclinic.jp/

INTERVIEW

生まれ育った丹後の街に貢献したいという思いが、今の私を形作っています。たまたま医師の道を選びましたが、医師でなくても何でも良かったのかもしれません。地域で必要としてくれる人がいる限り、自分にできることを精いっぱい取り組んでいきたいです。日本中、世界中の若者が、生まれ育った地域をさらに良くするためにそれぞれ活動していけば、より良い世の中になると信じています。

医師とは無縁の家系。高3で理系コースに転身

吉岡直樹

将来は地元で人の役に立つ仕事がしたいと考え、教師や公認会計士を目指そうとしていましたが、ある時、地域医療に奮闘する医師の姿を描いた「信州に上医あり」という小説に感銘を受け、自分も医師になって丹後に貢献したいと考えるようになりました。高2の冬でした。私がいたのは文系コースでしたし、父は丹後ちりめんの紋工所経営、母は小学校教師で、医師とは無縁の家系です。担任には「今から医学部を目指すのは無謀だ」と言われました。しかし、どうしても諦められず、高3で理系コースに転身、苦手だった数学も必死で勉強して一浪の末医大に合格することができました。

いくつもの診療科の中で、整形外科を選択しました。中国医科大学中医学科へ留学し「痛みに対する治療」を学んだことに加えて、自治医大で教わった整形外科の先生方とは波長が合うと感じました。体育会系の気質があり、仕事を精力的にこなす一方お酒も遊びもスポーツもとことん楽しむ。そんな豪快でエネルギッシュなところに憧れたのです。卒業後は、長野県や京都府の職員としてへき地医療にかかわりました。

同じ頃、野球部時代の友人たちは学童野球の指導者になっていました。久しぶりに再会して話題になったのが、子どもたちが野球でけがをした時に診てくれる医師が近くにいないので京都市内や大阪の病院まで通わなければいけないということでした。そしてみんな口々に「スポーツ整形外科医になって子どもたちを診てくれよ」と私に言うのです。当時、私は出向先の救命救急センターで外傷整形外科医を目指して命にかかわる大けがを治す仕事をしていました。スポーツ整形外科の分野は要求されるレベルが高く、それまで敬遠してきたのが正直なところです。しかし、地元で必要とされているならば応えたいと思い、スポーツ整形外科の勉強を始めました。

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自律神経の不調にアプローチし予防医療につながる温浴施設も

当時勤めていた地元の公立病院で、府内初となる「学童の野球肘検診」を実現しました。野球肘は成長期のスポーツ傷害の一つで、早期発見が大切です。ただ、発見できたところで地域には競技復帰までリハビリができるような施設がありませんでした。私は勤務先にお願いして、診療時間を増やしたり院内のリハビリ施設のレベルアップをしたりして対応していましたが、病院にもスタッフにも負担をかけてしまうのが心苦しく、自分でやるしかないと開業を決意しました。

開業から6年、野球肘検診とその啓発活動に注力してきたことで、地域の野球少年少女たちのスポーツ傷害が確実に減少した手応えを感じています。野球以外にも様々なスポーツをする幅広い年代の方が来院してくださっています。「先生のおかげで競技に復帰できました」というような言葉をいただく時が一番うれしいですね。さらにリハビリ期間終了後から競技復帰までをサポートするフィットネスエリアを増設し、低酸素トレーニング室やリカバリー用の高酸素室も導入しました。中にはリハビリを続けても思うように改善しない患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんのデータを集めて分析すると、自律神経の調子が悪い傾向があることが分かってきました。そこで自律神経を整える働きが期待できる温熱療法に着目し、22年秋に温浴施設を立ち上げる予定です。フィンランド式サウナには心血管系疾患や認知症、軽度うつ状態の予防や改善の効果も見込めます。新型コロナウイルス禍であっても、ご利用いただく方のウェルビーイング向上に貢献できる施設にしたいと考えています。高齢化社会で問題となるであろう認知症の予防ができるのであれば社会への貢献度は非常に高いのではと考えております。「医者が教えるサウナの教科書」の著者加藤容崇先生のご協力も得ながら医学的エビデンスに基づいた温熱療法を提供したいと思っています。

丹後を良くしたいという思いを持つ同志が作っているグループ「TANGO TANGO TANGO」にも参加しています。医師の私のほか、農家、政治家、酒屋、織物職人、飲食店など様々な職業の方が参加しています。丹後を盛り上げるために異業種間で楽しいコラボレーションを考え、実現しているところです。地域の方々が「丹後に住んで良かった」と思えるようなお手伝いができればと考えています。今後も地域のために良質な医療サービスを提供し続けながら、いろんなことに挑戦していきたいですね。

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