ローランド・ベルガー グローバル共同代表 兼 日本法人代表取締役社長/工学博士

長島聡氏

移動は、出会いであり刺激

長島聡氏は、欧州を代表する経営戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーで数々のプロジェクトを手がける。「日本の自動車メーカーから最も大きな刺激を受けた」と話す長島氏が提唱する日本型イノベーションとは。

長島聡氏

撮影地:ナビオス横浜

具体的な構想を持つ者だけが
新しい価値を生む

 「人と関わり、人と人を結び、社会を変える手助けをしたい」という思いで研究者からコンサルタントへと転身しました。担当した様々な業界の中で最も大きな刺激を受けたのは、日本の自動車メーカーです。彼らは「新たな価値を生み出そう」という情熱にあふれ、部署や協力企業といった垣根なく、専門知識や匠(たくみ)の技術を持ち寄り、あらゆる機会を使って議論を交わしていました。

 世界の巨大ベンチャーはカリスマ経営者による「知の集中」で成功を遂げてきました。一方、日本のモノづくりは、個々の得意技を持ち寄り、組み合わせ、極め、普及させていく「知の流通」で市場を広げてきました。社会の多様性が増す今、ユーザー視点で様々な意見を取り入れた、選択肢の多い社会が求められています。潜在力を顕在化させ、組み合わせ、新しいものを生み出そうという「知の流通」、日本型イノベーションこそが力を発揮できる時代だといえるでしょう。

 挑戦を始める際には、自分だけでできることは限られているので、瞬時に人の力を借りられるかどうかが大切です。そして、「何かやろう」ではなく、「○○をやろう」という具体的な構想を持つことです。自分に何ができるのかを知り、自分がやりたいことをしっかりと持っている人こそが新しい価値を生むことができる。プロジェクトに参加する全員が、小さくても本気の構想を持っていれば、世界は広がり、社会は変わっていくと信じています。

 多彩な選択肢と多くの出会いを生み、進化と経済成長につながるビジネスモデルを、多くの仲間たちと共に成長させていくことが私の使命だと思っています。

フルモデルチェンジを推し進め
「一人当たりGDP」を上げていきたい

 社会全体が選択肢の多さ、多様化に向かう中、クルマにもさらなる進化が必要だと考えています。近年は1台で多くをまかなえるワンボックスカーなどが人気でしたが、これからはもっと個のニーズに寄り添う多様性が支持されていくでしょう。例えば、高速のクルマ・低速のクルマ、多人数が乗れる・1人乗り、カーシェアする・所有する、クルマ自体が「施設」となりユーザーの所に来てくれる――。そうした多様化が進めば、人口減少や高齢化が進む中でも自動車販売台数が増える可能性はあるでしょう。

 現在も様々なプロジェクトに関わっていますが、重要なのは新しい価値を能動的に作ること。誰もが日々の仕事や目先の作業にとらわれがちですが、マイナーチェンジをたくさん行うのではなく、新たな価値を問うフルモデルチェンジをしていく方がいい。「もっと先」を見ることが日本人は好きで、皆が得意技を持っています。日本型イノベーション=「和ノベーション」によって、日本の「一人当たりGDP(国内総生産)」を上げていきたい。それも私の大きな目標です。

「これなら、
また1000キロ走りたくなる」
(長島聡氏)

スカイライン

 誕生以来、常に最先端の技術で、その時代に求められる最高のドライビングプレジャーを提供してきたスカイライン。20年以上にわたり運転支援技術開発を重ねてきた日産が、スカイラインの開発でぶれることなく目指したのは、最新の予防安全を築きあげるとともに、〝クルマ本来の楽しさをもっと享受すること〟――。
 その本気の構想に挑み続け、世界で初めて成し遂げたのがプロパイロット2.0。高速道路の同一車線を走行中には、制限速度を上限に「ハンズオフ」(※1)が可能となり、「インテリジェントルート走行」と呼ばれる機能では、前走車の追い越しや道路分岐への車線変更も含め、目的の高速道路出口までの走行を総合的に支援する。
 ドライバーは「解放される時間」を得たことで、運転を楽しむ時には最高の「操る喜び」を実感できる。発売を迎えた最新のスカイラインを長島氏が体験した。

「スカイラインのように
選択肢が
両方持てたら、最高に楽しい」

 大のクルマ好きでこれまで数十台のクルマに乗ってきました。選択基準は「走りが楽しい」こと。重心が低く、自分と一体となり意のままに操れる走行性能の高いクルマが好みです。もちろん、モビリティーという視点も欠かせません。特にクルマに求められる役割は「自由な移動」で、それにより新しい出会いやコミュニケーションが生まれます。人が動くことが経済の活性化にもつながるのです。

 以前はクルマで400~500キロ走ることは普通でしたが、渋滞や疲労、視力の衰えなどはその自由を妨げます。こうやってインパネで周囲の状況が分かると、意識の向いていない部分を教えてもらえますね。まるでレースで、ピットから指示をもらっているようなものです。自動運転によって走る楽しさは損なわれると考える人もいますが、AIなど新たな技術は人間の能力を拡張させます。その技術を使うか使わないか、スイッチ一つで選択できるスカイラインは、クルマの自由度をさらにアップさせたわけです。

 今までクルマで行けなかった距離が行けるようになり、疲れ知らずで操る喜びを存分に味わえるから、「また1000キロ行ける」と思わせてくれますね。移動の自由度も走りの自由度も広がった――。今より楽しくならないわけがありませんね。

車線変更は僕より丁寧

車線変更は僕より丁寧

「運転が大好きな僕ですが、誤差のない正確な制御で実現する丁寧な挙動は、改めて安全を考えさせられます。常に周りを確認し、周囲の車両との相対速度も考えてくれるのでとてもスムーズな車線変更です。ウインカーが出ていることもアニメーションで分かる。クルマが勝手に動くのではなく、スカイラインがドライバーの意思を聞いてくるところがいいですね」(「」は長島氏、以下同)

このスピードで、ここまでできるんだ

このスピードで、
ここまでできるんだ

「自動運転は以前にも体験したことがありますが、ここまで高速域で、常に安定したハンズオフができることは本当に驚き! 正確な制御からくる安心感は本当に素晴らしい。やっぱりいいクルマだ! と実感しました。ダイレクトアダプティブステアリングなど、スカイラインが積み上げてきた高い走行性能がベースにあってこそですね」

優秀なかわいい相棒

「周りのクルマやトラック、バイクなどがイラスト化されてモニターに表示されます。見ていることを伝えてくれるインターフェースは、これまで体験したことがなく信頼感があります。クルマとのインタラクティブな関係がとても新鮮で優秀なかわいい相棒と一緒にドライブしているような新感覚です」

※1 ハンズオフは、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて可能です。ハンズオフ機能は対面通行路、トンネル内、急なカーブ路、料金所、合流地点及びその手前などでは使用できません。非作動区間に入る際には、システムが事前にドライバーに報知しますので、ハンドル操作を行ってください。
*ドライバーが自分の意思で車線変更を行いたい場合には、ハンドルに手を添え方向指示器を操作し、クルマ側が車線変更可能と判断すると支援を開始します。ドライバーの判断で、車線変更や追い越しをすることも可能です。
*あくまで運転支援システムであり、安全運転を行う責任はドライバーにあります。

スカイラインは、やはり走り

スカイラインは、
やはり走り

「ドライブモードセレクターは、もちろん〝スポーツ〟で! いろいろな走行モードや設定を試してみたいとワクワクさせてくれる。足回りがしっかり落ち着いていて、加速がいいですね」

プロパイロット2.0の仕組み

 カメラ、レーダー、ソナー、GPS、3D高精度地図データを組み合わせ、車両周囲360度の情報を把握することで実現したシステム。特に、新開発の「トライカム(フロントカメラ)」は、異なる検出エリアをカバーする3つのカメラを組み合わせ、従来よりも広く遠くまでの状況把握を可能にした。また、3D高精度地図データを使い、センチメートルレベルの精度で道路上の自車位置を把握。高速道路上のレーン、速度標識、案内標識、周囲の車両の複雑な動きをリアルタイムでキャッチし、滑らかな走行を提供する。

プロパイロット2.0の仕組み

※記事は2019年10月4日のものです。
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長島聡氏

プロフィル長島聡氏(ながしま・さとし)

早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手を経て、独ミュンヘンを本拠とする欧州最大の経営戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーに参画。自動車、石油、化学、エネルギー、消費財などの製造業を中心として、グランドストラテジー、事業ロードマップ、チェンジマネジメント、現場のデジタル武装など数多くのプロジェクトを手がける。近年は顧客起点の価値創出に着目し、日本企業の競争力・存在感を高めるための活動に注力。著書は「AI現場力 和ノベーションで圧倒的に強くなる」「日本型インダストリー4.0」(いずれも日本経済新聞出版社)ほか。

「プロパイロット2.0 試乗映像」

▼プロパイロット 2.0の詳細はこちら

http://www2.nissan.co.jp/SP/
SKYLINE/PROPILOT2/

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