ヴィジュアリスト/ネオンテトラ代表取締役/
手塚プロダクション取締役/手塚治虫文化財団代表理事

手塚眞氏

未来を発想する時を得る

映画を中心に幅広いメディアで、監督、プロデュース、俳優など先進的で多彩な活躍を続ける手塚眞氏。劇映画「白痴」がヴェネチア国際映画祭で上映されるなど、世界的にも高い評価を得る創作の原点や社会への思い、父である手塚治虫氏の漫画に込めた願いなども聞いた。

手塚眞氏

考える習慣の蓄積が
「ヴィジョン=アイデア」を生む

 僕の仕事は「ヴィジョンをヴィジュアライズする=発想を具現化する」ことだと定義しています。頭に浮かんだアイデアを実際に他の人に見てもらうために、技術やノウハウを使って形にする。だから、発想は常に「こういう人たちにこう見せたい」ということと共にあります。広告的なものは目的が明確ですが、それよりはもう少し曖昧なものを、形にして届けていくことが僕の役割だと思っています。これが「映画監督」ではなく「ヴィジュアリスト」と名乗っているゆえんです。

 「ヴィジョン=アイデア」を持つことは難しいとよく言われるのですが、技術的な発想論と本質的なアイデアを生み出す作業は違います。技術的な発想論はテクニックの部分も多いけれど、本質的なアイデアを生む作業は、ささいなことでも常に想像する習慣を作ることが大切です。僕自身は、「全てのことはつながっている」ということを念頭に置き、普段からその関係性の意味を探しています。人間は誰でも発想力を持っていますが、日々惰性でいると、筋肉と同じようにどんどん退化してしまう。まずは「冷蔵庫の中の食材でどんな新しい料理が作れるか」でもいい。常に考え、発想する習慣の蓄積が「ヴィジョン=アイデア」を生みます。

大胆な発想は「集中と解放」から

 クリエーティブに限らず、仕事では「集中と解放」がとても大切です。緊張から生み出される成果は少なく、リラックスすることで大胆な発想が出てくる。思考のスピードも速まります。でも、僕の場合、仕事のスタイルとして「ここから休み」「ここから仕事」という区切りは持ちがたく、連続する意識の流れの中で集中と解放をものすごい速度で行ったり来たりしている感じです。父・手塚治虫は、さらにその切り替えが速く、僕の5倍くらいのスピードがあった。締め切りの迫った時に、あえてリラックス時間を取り入れて集中力を高めるなど、セルフコントロールのとてもうまい人だったと思います。

 今、動画配信やSNSなどメディアの速度はどんどん速くなり、人間の生理的感覚を超えてしまうほどです。それが面白いという人もいるけれど、僕は元々人間が持つ時間感覚をもっと大切にしたい。時間や空間、匂いや温度を伝えることが「演出」だと考えているので、現代の速いテンポの中でこそ、そこをもっと意識してやっていきたいですね。世の中が動いていくためには、物質的なものだけでなく、精神的なものを生産することも重要。考える時間を重ねてきた僕らの仕事が、新しい未来へ進むきっかけになればと思っています。

「疲れた時に
力を抜ける瞬間を与えてくれる」
(手塚眞氏)

疲れた時に力を抜ける瞬間を与えてくれる

 走りの最高峰に挑み続けてきたスカイラインは、誕生以来、常に最新の技術で、その時代に求められる最高のドライビングプレジャーを提供してきた。あれから63年、ストレスフルで多忙な日々を送る現代の人々にとって、走りの醍醐味を楽しむと同時に、安全やゆとりもクルマに求める重要なファクターとなった。自車を取り巻く危険から「クルマが人を守る」という全方位安全の構築を経て実現した「プロパイロット2.0」。スカイラインのドライバーは「操る喜び」と共に、「解放される時間とゆとり」をも手にする。

気分的に癒やされる

  運転が好きでよく遠出をしますし、クルマのほうが自由に動けるので、出張もクルマで行くことが多いですね。僕にとって、クルマは単なる移動のための機械ではなく、一緒に旅をするパートナーであり、運転そのものは心地いい。でもドライブって、行きは楽しいですが、問題は帰り。だんだん体も頭も疲れがたまってきて、渋滞になったら少しでもいいから誰かに代わってほしいと思うことも。同乗者がいればおしゃべりで癒やされることもあるけれど、話をすることでさらに疲れることもある。かといって、誰かに運転を代わってもらうとその人の相手をしたり、ヒヤッとすることがあったりして余計に疲れることも……。

 今回、スカイラインのプロパイロット2.0を体験して感じたのは、疲れた時に力を抜ける瞬間を与えてもらえるありがたさ。ハンズオフ(※1)だけでなく、クルマが360度見守ってくれることで、周囲のクルマとの距離感や関係性に神経をすり減らすこともなく、気分的に癒やされるのはとても大きなことだと感じました。システムの正確さによって安心感も大きいからこそ、解放される時間を得られ、これまでにない快適なドライブができました。

*プロパイロット2.0は、高速道路の同一車線を走行中には、制限速度を上限に「ハンズオフ(※1)」が可能となり、「インテリジェントルート走行」と呼ばれる機能では、前走車の追い越しや道路分岐への車線変更も含め、目的の高速道路出口までの走行を統合的に支援します。
※1 ハンズオフは、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて可能です。
*あくまで運転支援システムであり、安全運転を行う責任はドライバーにあります。

※記事は2020年11月13日のものです。
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未来への懸け橋だった
「鉄腕アトム」
社会やクルマの進化の原動力に

未来への懸け橋だった「鉄腕アトム」社会やクルマの進化の原動力に

 父はあらゆる未来の姿を描きましたが、作品を通じて現実社会でも未来への懸け橋になろうとしたのだと思います。「鉄腕アトム」を読んだ子供たちがそのすぐ後に、直接何かを生み出すわけではありません。でも彼らが大人になった時、子供のころ「鉄腕アトム」を読んで感じたこと、覚えたことが、仕事で何かを生み出す能力になったりする。それを見た人が「これって昔、手塚治虫が描いたマンガみたいだね!」と言う。子供が読む楽しい漫画が、街づくりや技術革新、新しい社会の創造に貢献するきっかけになるかもしれないのです。

 例えば、自動運転も将来的にはもっと進化して、AI技術などでドライバーの癖を学習してくれて、言葉で会話もできたらと、想像は膨らみます。そして、社会が進化するためにはクルマだけでなく、道路も進化する必要があると僕は思っています。

 日本人は周りの自然や動植物にも気を遣いながら、彼らと共に生きてきた。環境とコミュニケーションを取ってきた民族です。その感覚がクルマにも入ってくると面白いですね。例えば「眺めのいいところを走って!」と、クルマとコミュニケーションができたらドライブはもっと楽しくなると思うんです。そのためには、クルマがカメラやレーダーで情報収集するだけでなく、道路もクルマに対してもっと情報提示してくれるといい。技術的には可能だし、自然や動植物といった周辺環境のデータを道路が蓄積し、クルマに情報を与えてくれて、それをクルマがちゃんと理解してドライバーと一緒に走っていく。法律や規制や社会も変わって、環境とクルマと人のコミュニケーションがもっと深められるといいなと思います。

時代が変わっても、
人と人、人と社会との関係性は普遍

 また父は、人間の普遍的な部分を描いてきたので、彼の作品は今でも古さを感じさせません。「ブラックジャック」を発表した40年前はスポーツ漫画が人気で、医者の漫画なんて受けるはずがないと言われていました。でも、頑張ること、努力する姿は、医者でもスポーツでも同じ。その普遍性を父は描きたかったのだと思います。多くの読者の心を打つのはそのためでしょう。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、既存の価値観を大きく変えています。そんな中で大事にしてほしいことは「関係性」。人間、家、街などのつながりです。父は「火の鳥」で宇宙と人間はイコールだと描きましたが、社会と人間もイコールです。今の時代は、個人を大切にし、内に向かう意識が強まる傾向にありますが、個人に価値を置き過ぎるのは良くない。人は他者との関係性の中で生きていることが理解できれば、新しい生活様式ももっとスムーズに社会に浸透していくのではないでしょうか。

手塚眞氏

プロフィル手塚眞氏(てづか・まこと)

1961年東京都生まれ。高校生の時に8mmフィルムで映画製作を始め、大島渚監督をはじめとする映画人の高い評価を得る。大学在籍中から映画、テレビ、ビデオをはじめ様々なメディアで活躍。小説やデジタルソフト、イベントやCDのプロデュースも手掛け、先進的なスタイルが注目される。99年、劇映画「白痴」がヴェネチア国際映画祭ほかで上映。父は漫画家の手塚治虫氏。手塚治虫記念館名誉館長兼総合プロデューサー、東京工科大学メディア学部客員教授など。手塚治虫氏の原作を実写化し、数々の海外映画祭で好評を博した映画「ばるぼら」が、2020年11月20日(金)から全国公開。

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