提供:パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社

“持たない豊かな住まい方”が地球を救う

vol.1:人や社会、そして地球の未来を見据えた新たな消費スタイルへの挑戦vol.1:人や社会、そして地球の未来を見据えた新たな消費スタイルへの挑戦

(左)林 眞一氏 (右)太田 雄策氏

クルマや家、衣服など、シェアリングエコノミーが社会に浸透し、「所有する」から「必要な時に必要なものを使う」へと消費スタイルは広がりを見せ始めている。2022年1月にパナソニック株式会社くらしアプライアンス社がスタートさせた「noiful(ノイフル)」は、賃貸住宅向けサブスクリプションで、先進家電が備えつけられた“noiful ROOM”と、さらにリノベーションにより生活動線から家電の配置までこだわった“noiful LIFE”を展開。新たな家電ビジネスと生活スタイルの構築を図る同サービスの魅力と未来の消費スタイルについて、同社の林眞一副社長と太田雄策事業推進室室長に話を聞いた。

管理会社やオーナー、そして入居者に新たな価値を提供する「三方良し」のビジネス管理会社やオーナー、そして入居者に新たな価値を提供する「三方良し」のビジネス

林 眞一氏林 眞一氏
パナソニック株式会社
くらしアプライアンス社 副社長
林 眞一
1964年大阪生まれ。88年松下電器産業(現パナソニック)に入社。主にBtoB事業に携わり、海外でも責任者を歴任。2019年から家電部門のビューティー・パーソナルケア事業を担当。21年、くらしアプライアンス社副社長に就任し、現在は経営企画部門を管掌し、ハウジングアプライアンス事業も統括。

――家電を取り巻くビジネス環境について、どのような社会変化や課題があるのか教えてください。

まず、大きな社会変化として、在宅ワークなど家で過ごす時間が増えたことで家電に対する興味が非常に高まっている半面、カーシェアリングの普及が表すように高額品の所有欲は希薄化する傾向にあると見ています。オフィス兼自宅で様々な地域で生活するアドレスホッパーが登場し、生活空間や家電へのこだわりは強くともそれに縛られない新たな生活スタイルが顕在化しています。この状況は家電メーカーにとって大きなターニングポイントであると同時に、ビジネスチャンスが広がっていると感じています。

太田 雄策氏太田 雄策氏
パナソニック株式会社
くらしアプライアンス社
ハウジングアプライアンス
事業推進室 室長
太田 雄策
1999年パナソニックに入社。デジタル・IT系のエンジニアとしてSDカードや携帯電話などのシステム開発や規格標準化、白物家電のIoT(モノのネット化)化に従事。2019年から新規サービス事業の創出・立ち上げを担当。noiful事業の推進責任者としてスケール化に取り組む。

いまメーカーが果たすべき社会的使命として、家電エコシステムの構築があります。例えば、多くの家電が廃棄されていますが、引っ越しの際にまだ使える家電の多くが捨てられていると聞きます。当社の製品が購入された場所だけでなく、もっと多様な場所で役立つ循環を生み出すことができれば、社会や地球環境にも貢献できる新たなビジネスが確立できるのではないかという議論が社内で進み、その取り組みの1つとして2022年1月に発足したのがnoiful事業です。

太田これまでの市場の枠組みや商流が人口減少やデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流により大きく移り変わっています。メーカーとしては新たな家電の開発で新市場を開拓しようとするのがこれまでのセオリーですが、このプロジェクトを立ち上げた際、私たちはあらゆる業界へ視野を広げ、まだ製品をお届けできていない商流があるのではないかという仮説を立て、その可能性を探りました。

プロジェクトメンバーの多くが海外赴任で家具・家電付きのサービスアパートメントを経験していたことから、「なぜ日本の賃貸住宅には家電や家具が用意されていないのか」という疑問が浮かびました。サブスクリプションという新たな消費の仕組みを検討していたこともあり、月額の家賃にプラスする低額な料金設定で上質な家電をお使いいただくことで、賃貸物件の管理会社やオーナー、そして入居者に新たな価値を提供できるだけでなく、当社としてもリカーリングという新しいビジネスにより、継続的な高収益事業の形を創るという「三方良し」の形が生まれると考えました。そのためには「商品の在り方」「価値の届け方」「対価の頂き方」を変革しようと。そこにはリノベーションのようなパナソニックグループの住まいに関するあらゆるソリューションで家電が調和する空間デザインも提供できると発想を広げ、noiful事業の創出へとつながったのです。

[noifulの2つのサービス]
【noiful ROOM】
【noiful ROOM】
あなたのくらしに合った先進家電が
あらかじめ備え付けられた賃貸。
  • 先進家電
  • 家電のアフターサポート
【noiful LIFE】
【noiful LIFE】
あなたにぴったりの上質なくらしができる
先進家電付きリノベーション賃貸。
内覧や契約はオンラインでも。
  • 先進家電
  • リノベーション
  • 家電・住まいのアフターサポート
noifulの全体像|
3つの変革と三方良しの形
noifulの全体像|3つの変革と三方良しの形
3つの変革
  • 商品の在り方を変える
    単品 → 空間ソリューション
  • 価値の届け方を変える
    再販 → 賃貸商流の開拓
  • 対価の頂き方を変える
    売り切り → サブスクリプション

家電は「所有」から「使う」へ「持たない豊かなくらし方」を社会へ浸透家電は「所有」から「使う」へ「持たない豊かなくらし方」を社会へ浸透

――参入する賃貸市場には、空き家問題や人口減少による空室率増加などの課題があります。

そうした課題に対し、これからの家電や不動産は「循環」させることで新たな価値を創出できると考えました。noiful事業では「持たない豊かな住まい方」をミッションに、3つの循環を促します。1つ目は軽やかに住まいを変える「くらしの循環」。2つ目は空き家の再価値化による「住まいの循環」。3つ目は家電のリユース・リサイクルによる「モノの循環」です。住み替えが手軽になれば賃貸市場は活性化します。部屋にマッチした先進家電が揃う賃貸物件は価値が向上し、空き家は最新の空間にリノベーションすることで再び価値を取り戻します。実際に「パナソニックの先進家電が揃う賃貸は競争力を持って近隣の競合物件との差別化が図れる」という評価を得て、賃貸法人から多くの引き合いをいただいています。

家電メーカーとしては、「家電は所有するものから使うもの」という新たな消費意識の熟成を実現する一方、メンテナンスも含めたリユースやリサイクルで使えなくなるまで製品価値の維持を目指します。これは企業の存在意義を大きく変える挑戦だと考えています。

――「持たない豊かなくらし方」というのは、生活者にとってどのような価値でしょうか。

太田テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品は購入してお使いいただくことが一般的ですが、やはり何万円、何十万円という費用が発生します。私も経験がありますが、ひとり暮らしを始める単身者や単身赴任者などが必要家電を一通りそろえるとなると、欲しい家電があってもお財布事情で妥協することも多くなります。サブスクリプションで初期費用を抑えることで、使ってみたかった家電を体験できる、あるいはくらしてみたい空間で生活をスタートすることできるチャンスが増えるはずです。「単身赴任の期間だけだから」と我慢や妥協をすることなく欲しい家電を使えたり、ご家族が増えたり巣立ったりした場合にその都度最適な家電がすぐにそろえられる、ということが「持たない豊かなくらし方」の価値です。メーカーとしては先進家電の便利さや魅力をより多くの人に体験していただく機会が増え、無料サポートでメンテナンスすることでさらなる改良・改善につなげられるメリットが生まれます。

将来構想:“持たない豊かな住まいかた” を通じた社会とくらしの活性化 3つの循環で、社会とくらしが活性化されるエコシステムを

パナソニックの強みを結集し、新たな「空間ソリューション」を創出パナソニックの強みを結集し、新たな「空間ソリューション」を創出

――noifulはパナソニックグループの挑戦であり、その強みを生かした事業なのですね。

そうですね。様々な事業を展開している純正ジャパンブランドだからこその高品位・高品質なハードとソフトが提供できることは大きな強みです。挑戦という意味では2つの目標があります。1つは「新たな住空間文化」の創出です。noiful LIFEのリノベーションは設計段階から家電のサイズや動線を考慮した設置場所を検討するので、同じ40平米でもすごく広い空間に感じていただけます。既存の「noiful base駒込」では天井の照明にはスピーカーが付いていて手軽に音楽を聴くことができます。ロボット掃除機はデスクや収納棚の下に隠れた状態で設置し、家電のビルトインなど、日本の狭い住宅事情ならではの洗練された空間ソリューションを新たな文化として定着させたいと考えています。2つ目は日本における家電のリサイクル市場の構築です。欧州ではリサイクル法によって修理しやすい設計がメーカーに義務付けられていますが、日本もその方向へ向かっていくのは明らかです。日本全体のリサイクル網を早期に確立していくためにも、noiful事業でのエコシステムをリードしたいと考えています。

noifulにおけるパナソニックの強みは、住まいやくらしに関わるノウハウや先端技術、海外の動向や最新情報、そして日本全国に広がるサービス網を事業に生かせることです。何より経営理念がグループ全体に浸透していることがこの事業の背中を押しています。創業者の松下幸之助の経営理念のなかで社内で良く使われる言葉に「日に新た」というのがあり、これまでお客様にご購入いただていた先進家電を、サブスクリプションサービスでより多くのお客様にお使いいただくようにすると言っても誰も驚きません。社会やお客様のお役に立てるのであれば潔く革新に賛同するマインドや風土がイノベーション創出の原動力だと思います。

太田現在、大手不動産デベロッパーを中心に約500戸でnoifulを導入していただいており、単身者からファミリー向けまで幅広いタイプを展開しています。特に賃貸法人のお客様にはパナソニックならではの多くの利点を感じていただいていると実感しています。市場でトップシェアを誇る先進家電付き賃貸物件は、近隣物件との差別化や付加価値向上に大きく貢献し、経年劣化が進む物件はnoiful LIFEのリノベーションによって高いデザイン性とくらしやすい空間へと生まれ変わるだけでなく、我々が管理・運営も担うことで空き家問題の解決にも貢献します。

また、パナソニックがDXを推進していくことは不動産業界の革新にも役立つはずです。賃貸契約のアナログな手続きは住み替えの高いハードルとなります。21年5月にデジタル改革関連法が成立したことで、業界では不動産のオンライン契約の実装が始まっています。当社は家電を核にしながら、物件探しから内覧、契約、入居までの手続きを一貫したオンライン化へと変革することもできます。

●noiful LIFEの家電・
住宅設備が整った空間のくらし
CASE1.家事も仕事も1カ所で
CASE1.家事も仕事も1カ所で

リモートワークの合間にサッと家事が行える。室内レイアウトの工夫により、部屋の広さにかかわらず機能性と快適性を実現する。

CASE2.洗濯物をその場ですぐ干せる
CASE2.洗濯物をその場ですぐ干せる

洗面洗濯室には室内干しユニットを装備。家事の移動を少なくした動線で快適な洗濯ライフを実現する。

CASE3.二人の距離が離れず調理も家事も
CASE3.二人の距離が離れず調理も家事も

料理する人が孤立せず、効率的に協力し合えるコンパクトなキッチン。その場でダイニングテーブルとして食事もできる。

先進家電を体験できる機会を増やし、お客様と共に進化目指す先進家電を体験できる機会を増やし、お客様と共に進化目指す

――今後のビジョンについてお聞かせください。

太田まず、日本の賃貸市場において必要不可欠な家電付きの物件が一般的になるまでnoiful事業を展開していくことです。将来的には人々が思い立った時にどこにでも軽やかに引っ越しができるような「住まいのオンデマンド事業」へと発展させたいと考えています。そうなった時我々のサービス名のnoifulが、「ちょっとノイフッてみようかな」というような動詞として使っていただけるようになればうれしいですね。

当社の使命は家電を通じてお客様のくらしを豊かにすることです。家電の売り切りだけのビジネスではお客様からも社会からも必要とされなくなることは明らかです。ただ、モノづくりを通じて培った「お客様のくらしへの理解」は大切な財産です。それを生かしたハードとサービスを融合させながら新たな価値を創出することは未来を開く戦術の一つです。noiful事業以外にも最新のキッチン家電と厳選したこだわりの食材を定期的にお届けするサブスクリプションサービスや、業務用掃除機のサブスクリプションサービス、家電のレンタル事業などを展開しています。各分野で新規参入らしい自由な発想で、お客様が先進家電の便利さや魅力を体験できる機会を増やし、その反応や評価から改良・進化のヒントをキャッチすることで、家電と共に社会が進化していくことを目指していきたいと考えています。

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