提供: 株式会社NTTデータ

デジタルの力で地方の魅力を高め
人口減少に歯止めをかけていく

加賀市長宮元陸氏、株式会社NTTデータ古田正雄氏
特別対談 加賀市×NTTデータ

2014年に日本創成会議が将来消滅する可能性がある都市を発表した。この「消滅可能性都市」は自治体の半分以上の全国896の市区町村に上る。金沢市と福井市の中間にある加賀市もその一つだが、デジタルの力で生産性を高め、イノベーションを起こそうとしている。この加賀市の逆転劇を支えるのが、NTTデータだ。加賀市イノベーションセンターで、加賀市長の宮元陸氏とNTTデータ執行役員の古田正雄氏に話を伺った。

マイナンバーカード普及させ
国家戦略特区指定けた加賀市

加賀市は2022年4月に国家戦略特区の一つである「デジタル田園健康特区」に指定されている。人口減少や少子高齢化といった地域の課題をデジタルの力で解消する特区として、規制緩和を伴うサービスを展開できる強みを持つ。

加賀市長の宮元陸氏は「これからはデジタルイノベーションの時代。デジタルの力で新たな産業が生み出されていきます。それであれば先取りして変化を先導し、流れに乗ってイノベーションを起こしたい」と意気込みを語る。

加賀市のデジタル化への取り組みの第一歩となったのは、マイナンバーカードの普及だった。新型コロナ感染症拡大で政府が取り組んだ交付金を好機と捉えた宮元氏は、交付金とセットでマイナンバーカードの取得を呼びかけた。その結果2021年には普及率が7割に達し、全国の市区で普及率トップに立った。

宮元氏は「生産性を向上させるには、デジタル化を推し進めるしかありません。その基盤となるのがマイナンバーカードだと考えました」と、マイナンバーカードの普及促進に注力した背景を説明する。

同市の取り組みに熱い視線を向けていたのが、マイナンバーを事業の根幹に据えていたNTTデータだった。マイナポータルの機能を活用し、官民の引越し手続きを一括でまとめて行えるサービスを検討していた同社は、加賀市に実証実験への協力を申し入れた。

NTTデータの古田正雄氏は、次のように当時を振り返る。「2021年度から2022年度にかけて合計約500人の方にモニターになってもらって実証実験を実施しました。その結果、約9割の方から前向きな感想をいただくことができ、本格的にサービスを展開していくことを決定しました」

宮元陸氏

加賀市長
宮元陸

加賀市デジタル化える
NTTデータテクノロジー

2023年2月にデジタル庁がマイナポータル上での転出届の提出や転入・転居の予定連絡を行える「引越し手続オンラインサービス」を開始したことを受けて、NTTデータでは同年11月1日から引越しに伴う行政手続きに加えて、電気、水道やインターネット、ケーブルテレビ、新聞などの民間事業者への手続きをまとめてオンラインで行える「BizMINT 引越」を開始した。「BizMINT 引越」はマイナポータルのAPIと連携しているため、デジタル庁の「引越し手続きオンラインサービス」と同様に転出手続きはオンラインで完結できる。

「引越しで各種の手続きが必要になりますが、手間がかかります。生涯に何回もあるものではないので、手続きを忘れることもあります。そこで行政と民間事業者が一体となっているこのサービスを使えば、ワンストップで完了できます。住民の皆さんにデジタルの利便性を実感してもらえるはずです」と古田氏は話す。

ただし、公的な手続きには、なりすましなどを防止する必要がある。それを実現しているのが、同社の本人確認サービス「BizPICO」だ。マイナンバーカードに格納された電子証明書を用いる公的個人認証サービスを活用して、オンラインで本人確認を行える。

「オンラインでサービスを完結するためには、厳密な本人確認が必要です。当社は長く公的個人認証サービスを手がけ、コロナ対応の給付金の支給の際の本人確認の仕組みも提供してきました。BizPICOにはそのノウハウが生かされています」(古田氏)

さらにポータル事業者と情報を受け取る側のやりとりには、同社のパーソナルデータ流通基盤「BizMINT」が活用されている。あらゆるパーソナルデータが複数の事業者や団体で活用できることをサポートする情報流通基盤で、本人同意の取得や管理、希望しない相手には受け渡さないなど、利用者が安心して利用できる機能が装備されている。

またマルチポータルサイト方式によって、複数のポータル事業者との連携を実現しているため、受け手事業者側はBizMINTと連携するだけで、複数の引越しポータルサイトなどから情報を受け取れ、接続にかかる負担が軽減される。

古田正雄氏

株式会社NTTデータ
執行役員
公共統括本部 第三公共事業本部長
古田正雄

NTTデータが提供するBizPICOとBizMINTの特長

BizPICOができること「確実な本人確認をオンラインで(プラットフォーム事業者として主務大臣の認定を取得)」、BizMINTができること「効率的な情報連携で負荷を軽減」

出所:NTTデータ

地方逆転劇実現
日本逆転劇になる

デジタルの力でイノベーションを起こしたい加賀市にとって、引越し手続オンラインサービスはパーツの一つにすぎない。すでに多くの申請手続きのデジタル化を推し進めていて、電子申請できるものは873種(2024年1月現在)に上る。さらに日本初の電子市民制度である「e加賀市民」も開始している。

「e加賀市民は加賀市に住んでいなくても住民と同様に行政サービスを受けることができ、起業支援などのプログラムも利用できます。人口減少に歯止めをかけるには、関係人口を増やすことも重要です。将来の移住やワーケーション、多拠点生活の場として加賀市に来てもらいたいと考えています」と宮元氏は話す。

加賀市の魅力を増やすためには今後もデジタルを活用したサービスを充実させる必要がある。そこでは、NTTデータのパーソナルデータ流通基盤「BizMINT」が活用できる。古田氏は「引越し手続きが簡単になるだけでなく、今後、たとえば決済機能を追加することで次世代移動サービスのMaaS(Mobility as a Service)やワーケーション関連のサービスもワンストップで提供できるようになると考えます」と広がりを指摘する。

加賀市のような地方の自治体は、これまで大都市の人材供給源でもあった。その自治体の半数以上が消滅するということは、日本そのものの力が衰退するということでもある。加賀市は「消滅可能性都市から挑戦可能性都市へ」というキャッチフレーズを掲げて、人や企業の募集に注力している。

「挑戦可能性都市になるという逆転劇の実現に向けて、人材の育成と最新技術の導入にセットで取り組み、新しい産業を生み出していきます。NTTデータには、国家戦略特区であり規制緩和がしやすい加賀市を実験場としてこれからも活用してもらいたいと思います」と宮元氏は語る。

デジタルの力による地方再生は、デジタルで世界に後れを取る日本の逆転劇でもある。NTTデータにはそのパートナーとしての役割が期待されている。

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