2022年12月、「日経 お金の教室 出張授業 in エコプロ」を東京ビッグサイトで開催。金融の未来に精通した明治大学政治経済学部の小早川周司教授と、QuizKnockの須貝さんとノブさんが登壇し、会場に集まった小学生と一緒にお金やキャッシュレスの未来について考えた。
進化するお金の形 可能性広がる
小早川先生は2018年まで日本銀行に勤務し、現在は貨幣論や決済システム論を専門とする、キャッシュレスのエキスパート。子どもの頃に、ただの紙で作られているお金がなぜお金として使えるのか、という疑問からお金のあり方に興味を持ち、現在のキャリアを歩んだそうだ。ノブさんは「スマホ決済の話題を耳にすることが増えてきた。幼い頃にはなかった技術だ」と話した。会場の小学生にもキャッシュレス決済の利用経験を問いかけると、多くの子どもたちがスマホ決済を利用したことがあると回答。電子マネーでお小遣いをもらっているという子もおり、須貝さんも驚いた。
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研究分野:
貨幣論、決済システム論
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研究テーマ:
通貨のデジタル化、デジタル社会における金融インフラ
小早川先生は「日本ではとくに細かい現金のやりとりがキャッシュレスに置き換わりつつある」と、紙幣の発行が増えているのに対し、硬貨の発行が年々減っていることを指摘。一方で、日本のキャッシュレス決済の普及率は3割程度と、他国に比べ低い現状にも触れた。「確かに、現金を持っていないと不安になる」とノブさん。須貝さんも「レジの横でも、海外のキャッシュレスサービスの表示やポップをよく見かける」と話した。
日本では25年までにキャッシュレス決済の比率を4割程度に、将来的に世界最高水準の80%を目指すとしている。小早川先生は「子どもたちがよりキャッシュレスを活用し、次の時代をリードしてくれればうれしい」と期待を寄せた。
授業の後半には、小早川先生から次のようなクイズが出題された。
キャッシュレス決済の将来として
私たちができる可能性があるものはどれ?
全て選んでみてください。
- A自然災害などが起きてインターネットがつながらない場合でも、キャッシュレスで支払いができる。
- B代引きサービスを利用しなくても、商品が自宅に届くのと同じタイミングで、支払いを自動的に完了できる。
- C米国に住む友達に、瞬時にお金を送ることができる。
この問題の正解は、実は全部。「キャッシュレスの普及で、災害時に現金がなくても円滑に支払いができるようになるだろう。さらに、海外への送金も瞬時にできるなど、キャッシュレスは社会の仕組みや生活を大きく変える可能性を秘めている。あらゆるモノがネットにつながるIoT技術も相まって、スマートな(賢い)お金の利用はますます増えていくだろう」と小早川先生は展望する。
授業の最後、ノブさんは「お金の進化に夢が広がった。どんな世の中になったらうれしいか考えるきっかけになった」と振り返り、須貝さんも「大人の自分でも知らないことがたくさんあり、お金の学びは尽きない」と感想を述べた。また、小早川先生から会場へ「お金に関心を持ち続け、進化するお金と上手に向き合ってほしい」とメッセージが送られた。