主催:日本経済新聞社/後援:金融庁

お金っておもしろい! 日経 お金の教室

NIKKEi マネーのまなび春に考える金融経済教育セミナー今こそ考えたい「お金」のこと

金融経済教育の拡充や2024年開始予定の新しいNISAへの関心が高まる中、
日本経済新聞社は「お金」や資産形成について考える
「春の金融経済教育セミナー」を開催しました。

スタートスピーチ

金融庁 総合政策局 総合政策課 課長補佐 野村 泰蔵氏

写真野村今、金融教育が注目を集めています。背景には、資産所得倍増プランの柱の一つとして「安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実」が明記されたこと、学習指導要領の改訂により金融教育の内容が拡充されたことがあります。また資産所得倍増プランでは少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や恒久化も柱の一つになっており、大幅に進化した新しいNISAが活用されるよう金融経済教育をセットで進めていく必要もあります。これまで金融教育を受ける機会がなかった方々も、ぜひ子どもたちとお金について話し、一緒に学び、日本の金融経済教育を盛り上げていってほしいと思います。

講演中の写真
金融庁 総合政策局 総合政策課 課長補佐野村 泰蔵
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QuizKnock伊沢 拓司
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タレント藤本 美貴

スタートトークセッション「まずは知りたい基本から!
金融経済教育、なぜ大事?」

タレント 藤本 美貴氏

QuizKnock 伊沢 拓司氏

金融教育家 塚本 俊太郎氏

写真塚本(俊)昨年4月に高校家庭科の金融教育が拡充され、内容が充実しました。

写真伊沢実際に授業で使われる教材を見ましたが、お金を通じて社会を見るための勉強になると感じました。若い頃に学んでおいて損はない内容になっていると思います。

写真藤本子ども・若者に対する金融教育推進のための国際的な啓発活動「グローバル・マネーウィーク」のような取り組みもそうですが、子どもにはグローバルな考え方を身につけてもらいたいと思っています。

写真伊沢物価上昇などの現象も世界とつながっていますから、世界の動きに目を向ける習慣を身に付けることは大切ですね。

写真藤本お金については、家族の間でもっと話したほうがいいと思います。一緒に人生を闘っていくチームですから。

写真塚本(俊)日本ではお金のことはあまり話さないという家庭が多いと思いますが、学校教育でこれほどお金について触れるようになってきているわけですから、家庭の中でも普通にお金の話をするようになればいいですね。

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パネルディスカッション①「春に考えよう!家計管理とライフプラン」

タレント 藤本 美貴氏

FPパートナー(マネードクター) 執行役員 丸山 明仁氏

写真丸山家計管理では家計簿に収入と支出をつけて過去を記録します。しかしFPとして私が受ける相談では「子どもの大学進学までに学費を用意できるか」「老後のお金がためられるか」などの「未来」の話が多いのです。

写真藤本将来に向けてまとまった資金をためられるのか。不安なのはそこですよね。

写真丸山未来のお金の状態を見るために必要なのが、ライフプランやキャッシュフローです。最近はライフプランへの関心が高まっていますが、これは私たちを取り巻く環境が大きく変わってきたからでしょう。少子高齢化により高齢者を支える現役世代の負担は増しています。郵便局定期貯金1年物の金利は1991年には6.08%でしたが、現在は0.002%です。このような変化に対して不安を感じ、「お金をためよう」と考える人は多いと思います。

写真藤本老後資金は2000万円ほど必要だと聞きますが、2000万円で足りるのか、それほど必要ではないのか、全く分かりません。

写真丸山考え方はシンプルです。まず老後の生活費としていくら必要なのか。次に老後資金としてどれくらい準備できているか。この2つが分かれば老後資金が足りそうかどうか分かります。それを判断した上で、家計を見直したり個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)やNISAといった国の制度を活用して資産形成していけばいいでしょう。

写真藤本老後の生活費の総額はどう計算すればよいのでしょうか。

写真丸山一番大切なのは「自分の人生をどう生きたいか」を考えることです。やりたいことを決め、その目標から逆算して今何をすべきかを考えるのがライフプランニングです。足りない金額が分かったら、改善策を考えます。様々な専門家に相談するのではなく、「全体最適」を考えてお金の専門家であるFPに家計の見直しや制度の活用について相談してもよいでしょう。

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FPパートナー(マネードクター)
執行役員丸山 明仁
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野村アセットマネジメント
資産運用研究所長稲岡 夏紀
講演中の写真
金融教育家塚本 俊太郎

パネルディスカッション②「今始める資産形成 ~NISAの最新活用術~」

QuizKnock 伊沢 拓司氏

野村アセットマネジメント 資産運用研究所長 稲岡 夏紀氏

写真稲岡2023年までのNISAは多くの人が投資を始めるよいきっかけになりましたが、年間投資枠や非課税保有期間の観点から、長期的な資産形成には活用しづらい面もあったと思います。一方、24年にスタートする新しいNISAは、年間投資枠は引き上げられたほか非課税保有限度額が1800万円に拡大し、恒久化も実現しました。今までよりも幅広い年代、幅広い所得層の方が活用できる制度になったといえます。

写真伊沢投資枠が大きくなったと聞くと「初心者が手を出しづらいのでは」という誤解も生じそうです。

写真稲岡新しいNISAには「つみたて投資枠」があり、毎月コツコツ積み立て投資をすることもできます。また、従来はつみたてNISAと一般NISAの併用はできませんでしたが、新しいNISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能です。つまり、コツコツ積み立てをしつつ、まとまった金額で投資をしたいという場面でも活用できるのです。

写真伊沢選択肢が増えただけだということが広く伝わっていくといいですね。私は細かい手続きが苦手なのでNISA口座の開設に身構えてしまう気持ちが分かるのですが、NISAにはひと手間かけるだけのメリットが十分にあると感じます。とはいえ、昨今は物価上昇などで家計が厳しく「投資するようなまとまった資金がない」という方もいそうです。

写真稲岡金融機関にもよりますが、月500円など少額から投資を始められるところもあります。負担の少ない金額から始めることは可能です。

写真伊沢「始める」がキーワードですね。

写真稲岡同じ目標金額へ積み立てていくと考えると早く始めたほうが毎月の負担が小さくすみますし、複利効果を長く享受できるので、できるだけ早く始めることをお勧めしています。

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ラップアップセッション

FPパートナー(マネードクター) 執行役員 丸山 明仁氏

野村アセットマネジメント 資産運用研究所長 稲岡 夏紀氏

金融教育家 塚本 俊太郎氏

写真塚本(俊)海外に目を向けるとアメリカやイギリスでは資産形成への意識が高いと感じます。アメリカの場合、社会保険制度があまり発達していないこともあり老後への備えとして自ら資産形成に取り組むケースが多いといえますし、イギリスにはNISAのモデルになった制度があり、公的な制度を活用して資産を増やす考え方が根付いています。日本でも資産活用や資産形成にもっと力を入れていく必要があるのではないかと思います。

写真丸山たとえば65歳に退職して95歳までの30年間、旅行なども楽しみたいので年金以外に月8万円ほどのお金が必要だとすると、およそ3000万円の老後資金を準備する必要があります。35歳からなら30年の準備期間があり、単純計算すると月々およそ8万3000円ずつためることになるわけです。準備を始めるのが遅いほど、状況は厳しくなるでしょう。人生100年時代といわれる中、安心して暮らしていくためには、一日も早く家計管理に取り組んで資産形成を始めることが大切だと思います。

写真稲岡最近ではお金、資産形成に関するさまざまな情報が発信されており、私たち野村アセットマネジメントもイベントや動画などを通じて「お金を育てる」=資産運用の考え方を発信しています。興味を持って意識を向けさえすれば、学ぶ場はたくさん見つかるでしょう。特に若い世代の方は時間という宝物を持っているわけですから、ぜひその宝物を有効活用できるよう行動を起こしてほしいですね。投資を始めるのはごく小さな金額からでもよいと思います。最初は分からないことがあっても、興味を持って投資を始めてみることによってものの見方が変わり、新たに学ぶことがどんどん広がっていくでしょう。とにかく、まずは行動してみてほしいと思います。

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