商品先物取引は、主に以下の機能を有している。産業インフラとして企業の安定経営に寄与するだけでなく、資産運用の場として投資家に利用されている。
1透明かつ公正な価格形成機能
商品先物市場では、明確なルールに基づいて多様な市場参加者が取引を行い、形成された先物価格はリアルタイムで公表されている。この先物価格は、需給を反映した透明性の高い価格指標として、商品の生産・販売を行う事業者などに広く利用されている。
2価格変動リスクのヘッジ機能
先物価格は現物価格と連動した動きをするため、これを利用して先物市場で現物市場と反対の取引を行い、それぞれで生じる損益を相殺することで、事業者は原材料の購入価格の安定化や製品の販売価格の固定化を図り、大きな価格変動によるリスクを抑制することが可能となる。このような取引を「ヘッジ取引」という。
ヘッジ取引は、現物市場で発生する損失の回避や利益確保に役立つため、事業者に広く利用されている。
3受渡機能
商品先物市場では、決済期限(納会日)までに当初の取引と反対の取引を行う差金決済により市場離脱が行われなかった建玉は、受渡決済を行う商品設計が多くの商品で採用されている。石油製品、貴金属、ゴム、農産物を取り扱う事業者は、この受渡決済に着眼し、商品先物市場を現物売却や現物取得の場として活用している。金や白金などの貴金属の先物市場では、主に現物調達を目的として個人投資家も受け渡しに参加している。
4資産運用機能
商品先物取引は、納会日までに差金決済により取引を終了することができる。相場の上昇が予想される場合には「買い」から、相場の下落が予想される場合には保有している現物の有無にかかわらず「売り」から取引を開始することによって、相場の上昇と下落の両局面で利益を狙うことができる特性を持っている。また商品先物取引は証拠金取引であることから、資金効率の高い運用が可能だ。同時に、商品価格は株や債券などの伝統的な金融商品の値動きと相関性が低い傾向にあることから、金融商品と組み合わせることにより分散投資効果が望める。こうしたことから、多くの投資家がポートフォリオの一部として商品先物取引を利用している。