提供:Panasonic Group

社会のエネルギー変革にインパクトを与える中長期環境ビジョン Panasonic GREEN IMPACT

2022年7月13日にパナソニックグループは、東京ミッドタウン日比谷 BASE Q ホールにて、「パナソニックグループ サステナビリティ説明会 -カーボンニュートラル社会実現に向けた企業の責務と貢献を考える-」を開催した。

第1部では、同社グループCEOの楠見氏が、中長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ、2050年に向けて、現時点の全世界の排出総量約330億トンの「約1%」にあたる3億トン以上の削減貢献インパクトの創出を目指すことと、2024年までの具体的な行動計画を発表した。第2部のパネルディスカッションでは、産官学各々の立場から、カーボンニュートラル実現に向けた企業への期待と、企業が社会のCO2を減らす「削減貢献量」が可視化されることでどのように社会が変化していくかについて議論した。

Presentation

自社排出実質ゼロに加え
社会のCO2削減に貢献する

楠見 雄規氏楠見 雄規氏
パナソニック ホールディングス
代表取締役 社長執行役員
グループCEO
楠見 雄規

世界の総排出量の1%にあたる
3億トン以上の削減を目指す

パナソニックグループは今年の1月に「Panasonic GREEN IMPACT」のコンセプトを発表しました。2030年度までに全事業会社のCO2排出量を実質ゼロにすることを目標にし、50年度に向けては自社バリューチェーン全体のカーボンニュートラルを実現。さらに、自社排出量だけでなく、国内外のBtoBのお客様への省エネソリューションやクリーンエネルギー技術の提供を通じて、社会のCO2排出を減らす貢献をグループ一丸となって拡大していきます。

「Panasonic GREEN IMPACT」では社会に与えるインパクトを3つに分類し、現在の世界のCO2総排出量の約1%にあたる3億トン以上の削減を目指しています。1つ目は自社バリューチェーンにおいての排出削減による「OWN(オウン)」インパクトです。生産や部材調達にかかわる活動だけでなく、お客様が当社の製品を使用する際に排出するCO2も含んだ約1.1億トンを削減します。

2つ目は既存事業による社会への排出削減に貢献する「CONTRIBUTION(コントリビューション)」インパクトです。環境車の普及拡大などによる電化促進やエネルギー利用の効率化・最適化、水素エネルギー活用の本格化などを推進し、約1億トンを削減します。

3つ目は新技術・新事業による社会への排出削減に貢献する「FUTURE(フューチャー)」インパクトです。革新的なデバイス開発やエネルギー需給の調整など、新技術や新規事業の創出で約1億トンの削減を目指します。

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4月にグループとしての新体制となり、各事業の戦略が定まった段階で中期の行動計画が明確化しました。そこで24年度までの具体的な目標数値を定めた環境行動計画「GIP(GREEN IMPACT PLAN)2024 」を策定しました。オウンインパクトではスコープ1、2、3で1634万トンのCO2排出を削減します。20年度の段階で7工場だった「CO2ゼロ工場」を37工場へ拡大します。コントリビューションインパクトでは20年度時に2347万トンだった社会へのCO2削減貢献量を3830万トンへと引き上げます。また、3つのインパクトに含まれない領域である循環型経済(サーキュラーエコノミー)の取り組みを強化し、グローバルで工場廃棄物のリサイクル率99%以上を常態化します。再生樹脂の使用量(3年計)をこれまでの2倍以上の9万トンまで増やし、セルロース混合樹脂の事業展開など20年度に5つだったサーキュラーエコノミー事業を13以上に拡大します。

30年度には社会の脱炭素効果とくらし事業領域でのさらなる省エネ徹底によりオウンインパクトで3145万トン、コントリビューションインパクトでは電化やエネルギー効率など事業競争力を高めることで9300万トンのCO2削減貢献量を見込んでいます。ただ、削減貢献量についてはまだ統一された算定方法が確立されていないため、それが標準化された段階で見直しが必要となる可能性があります。

「Panasonic GREEN IMPACT」の取り組みの目的は、地球環境を憂慮する世界中の人々と思いをつなげ、社会にカーボンニュートラルへ向かう波紋を様々な分野で起こしながらそれを広げていくことにあります。美しい地球環境と共存する社会形成のために国や企業、業界団体とも積極的に連携・協働し、全グループを挙げて一刻も早くカーボンニュートラルが実現するよう取り組んでまいります。

Panel discussion

企業がカーボンニュートラルに
積極的に取り組める循環へ

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市場創造やルール形成で
日本がリーダーシップを発揮するために

〇モデレーター

伊藤 聡子氏伊藤 聡子氏
フリーキャスター/事業創造大学院大学客員教授
伊藤 聡子
報道・情報番組でキャスターを務めたのち、NYフォーダム大学留学、事業創造大学院大学修了、MBA取得。地方創生や企業経営などをテーマに幅広く活動、メディアや講演会で発信する。国の有識者会議の委員や企業の役員も務める。
小野塚 惠美氏小野塚 惠美氏
エミネントグループ 社長CEO
小野塚 惠美
上智大学卒業後、1998年JPモルガン銀行入行。2000年からゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社において、多岐にわたる資産運用業務に従事。16年からは日本におけるスチュワードシップ責任推進の統括としてESG(環境・社会・企業統治)リサーチ、企業との対話を年間200社以上実施。20年4月にカタリスト投資顧問入社。22年5月から現職。
木原 晋一氏木原 晋一氏
経済産業省 大臣官房審議官(環境問題担当)
木原 晋一
1993年東京大学経済学部を卒業後、経済産業省に入省。国際エネルギー機関(IEA)シニアエネルギーアナリスト、資源エネルギー庁長官官房国際課長、通商政策局総務課長等を経て、2021年から現職。また98年に米国コーネル大学にてMBA取得。

伊藤(聡)カーボンニュートラル実現に向けた企業の取り組みが活発化しています。期待感が高まる一方、企業の取り組みが適切に評価される仕組みを求める声が様々な産業から上がっています。金融市場は脱炭素に向けた企業の新たな技術をどう評価しているのでしょうか。

小野塚日本企業の脱炭素技術に対する評価は非常に高いと思います。2020年の世界のESG(環境・社会・企業統治)投資額は35.3兆ドル(約3900兆円)で増加傾向にあり、これをどう日本に向けるかが課題です。まだ脱炭素技術に対する理解は進んでいるとは言えず、共通言語を持たない投資と科学には距離があります。そこで昨年、サステイナブルファイナンスによる新しい資金循環を促進して日本を起点とした環境・社会課題の解決を通じ、社会をアップデートすることを目指した一般社団法人を立ち上げ、日本の環境技術を世界に広く伝える人材を増やそうと考えています。

木原政府はカーボンニュートラルに向けた挑戦を行う日本企業が、経済社会システム全体の変革と新たな市場の創造をけん引し、国際ビジネスで競争力を発揮できる環境構築を目指した「GXリーグ」を立ち上げました。23年度の本格稼働に向けた準備段階ですが、主に3つの取り組みを提供します。1つはサステイナブルな未来像を議論・創造する場の提供、2つ目は市場創造やルールメイキングを議論する場の提供、3つ目は自ら掲げた目標の達成に向けて自主的な排出量取引を行う場の提供です。すでに440社からの賛同を得ていますが、市場創造やルール形成で日本の企業群が世界の中でリーダーシップを発揮できるよう進めていきたいと考えています。

伊藤(聡)気候変動問題の解決はいまや企業の成長の根幹を担うものになってきているということですね。

伊藤(元)いまの気候変動はイノベーション無しでは根本的な解決には導けない課題です。この10年ほどで環境やデジタル分野では創造的破壊が活発化しており、企業に対する期待感が非常に高まっています。ファイナンスやルールメイキングの必要性が叫ばれるのもそうした機運の高まりの表れです。企業が気候変動問題に対応する際、既存の事業活動のCO2排出削減という「責任」と、カーボンニュートラルへ向けた新たなビジネス提案という「貢献」の2つの方法があります。どちらも重要ですが、企業や経済の成長のためには後者を活発化させることが重要です。

小川イノベーションという観点では、脱炭素社会につながる代表的な技術はやはり蓄電池で、社会貢献のインパクトも大きい領域です。一方で、デジタルテクノロジーを駆使したサプライチェーン全体の効率化や、空調・換気の効率化といったソリューションなどは目に見えて実感できない「責任」の領域ですが、実はCO2削減に大きなインパクトを放つ技術です。未来に向けてはクリーンな水素をつくる技術などに注力しながら、あらゆるエネルギーをコントロールして配分するエネルギーマネジメントの仕組みを構築し、カーボンニュートラル社会の早期実現に全力で貢献したいと考えています。

「削減貢献量」の評価が
カーボンニュートラル社会の実現を促す

伊藤 元重氏伊藤 元重氏
東京大学名誉教授
伊藤 元重
79年米ロチェスター大学経済学博士号取得。専門は国際経済学。東京大学大学院教授を経て16年4月から学習院大学国際社会科学部教授(22年3月で退任)、6月から東京大学名誉教授。13年から6年間わたり経済財政諮問会議の議員を務める。
小川 立夫氏小川 立夫氏
パナソニックHD グループCTO/執行役員
小川 立夫
本社R&D部門で材料開発に従事。米国ジョージア工科大学に留学し、先端実装技術開発を経験。本社R&D部門の材料・プロセス開発センター所長を経て、17年から生産技術本部長、19年からパナソニック執行役員、マニュファクチャリングイノベーション本部長に就任。

伊藤(聡)そうしたカーボンニュートラルに向けた企業の取り組みを評価するために、自社の排出量だけでなく、例えば「CO2削減貢献量」といった新たな指標の整備や世界からファイナンスを呼び込むためのルールづくりが必要なのですね。

伊藤(元)マーケットメカニズムは公正な指標に基づく数字が無ければ機能しません。排出量を計るだけでなく、排出抑制などの企業努力も測定するのは高度な仕組みが必要ですから様々な企業が同じテーブルについて議論を進め、あらゆる観点から合意を計るべきです。多彩な企業が意見を交換するステップで、問題点や新たな未来像を共有することが何より重要です。

小野塚単にヘッジファンドから評価を得る手段としての削減指数ではなく、海外の投資家にも企業の技術をきちんと理解してもらえるように、グローバルでコンセンサスのとれた評価指数が必要だと思います。そのために企業はカーボンニュートラルに向けた投資の比率や成果の計り方なども発信するガバナンス強化も同時に重要になります。

木原企業の取り組みには既存商品を脱炭素化商品へ代替したり、将来的な革新技術の実装に向けた投資もあります。こうした脱炭素社会への移行に貢献する「機会」の面が適切な評価をされていないのが現状の課題です。例えば、企業が社会のCO2排出が大きく削減する製品を開発しても、その企業の活動量の増加と共にCO2排出が増えてしまいます。カーボンニュートラルに貢献する技術開発は日本企業の強みでこの価値を正しく評価する仕組みづくりができれば世界からファイナンスが集まり、新たな資金循環も生まれます。GXリーグでのルール形成でもグローバルに通用するものへと議論を進めたいと思います。

小川カーボンニュートラルという社会課題に向けて様々な業界で技術開発が進んでいます。すばらしい活動をする企業が公正に評価されてグリーンボンドやカーボンクレジットの活発化やESG評価へとつながり、それがインセンティブとなってオポチュニティが増えるという循環をつくり、カーボンニュートラル社会が早く実現することが当社の願いです。国や社会変革に挑む多様な企業と連携しながら議論を進めていきたいと思います。

伊藤(聡)皆さんの議論を伺い、脱炭素への企業の取り組みが進み、新たな循環によって社会が変革する時に私達は立ち会っているのだと感じました。私たち一人ひとりが新たな社会創出に挑む企業を応援する、あるいは脱炭素に貢献する消費をすることが大切なのだと思います。貴重なご意見をありがとうございました。