提供:パナソニック
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、社会のあらゆる場所で公衆衛生に対する意識が高まっている。なかでも不特定多数の人が頻繁に出入りするビル内の移動を支えるエレベーターは、とくに「清潔さ」が気になる共用空間と言えるだろう。そんなエレベーターの安全・衛生面に気遣って製品づくりに取り組んでいるのが、国内有数のエレベーターメーカーである日立ビルシステムだ。同社はエレベーターの「感染症リスク軽減ソリューション」強化策の一環として、パナソニックのクリーンテクノロジー「ナノイー X」を搭載した空調設備を乗りかごに標準搭載した。日立ビルシステムはなぜ「ナノイー X」を選択したのか。製品開発を担当する日立ビルシステムの山田愛介さん、島田勝博さんに聞いた。
事例1
コープやまぐち
つくりたかったのは、お客さまと働く人たちが安心できる空間
事例2
小田急電鉄
脱臭効果を発揮する「ナノイーX」を新型通勤車両に採用
事例3
日本マクドナルド
郊外型店舗に「ナノイーX」搭載の空調機器を導入
事例4
日立ビルシステム
乗りかご内のクリーン運転を目指し「ナノイーX」を標準装備
事例5
ジャガー・ランドローバー
次世代の車内空気清浄化機能に「ナノイーX」を採用
“シンプル”“クリーン”を目指す日立のエレベーター
新型コロナウイルス禍が長く続き、エレベーターにも安全・衛生面で高い品質が求められています。このような状況のなか、日立はどのような取り組みを進めていますか。
山田さん 日本国内のエレベーター市場はここ何年も横ばいの状態が続き、メーカー間の競争は激しさを増す一方です。そうしたなか、快適さといかに効率良く運行できるかという部分が、競争に勝ち抜くために非常に重要となっています。とくにコロナ禍の現在は、清潔ニーズに応える対策への関心が高まっています。
島田さん 以前はビルのデザインにマッチしたエレベーターが求められる傾向がありましたが、コロナ禍の現在は“シンプル”“クリーン” というキーワードがエレベーターを選ぶうえで重要な要素になっています。
エレベーターも“クリーン”がキーワードになる時代なのですね。どのような機能を取り入れていますか。
山田さん 日立は2021年4月に「アーバンエース HF」という標準型エレベーターの新機種をリリースしました。 エレベーターホールの乗り場ボタンや乗りかご内の行先階ボタンに設置したセンサーに手を近づけるだけで登録できる「センサー 一体型タッチレスボタン」、LINE連携のタッチレスエレベーター呼びサービス「エレトモ」などを新たに開発しました。さらに、従来はお客さまの要望に応じて乗りかご内に取り付けていた「ナノイー X」発生装置を標準装備にし、強制換気ファンと組み合わせた換気・空気清浄ソリューションも取り入れています。
「ナノイー」の「脱臭効果」を決め手に採用を決断
日立は2010年からエレベーターに「ナノイー」を採用しました。どのような経緯から「ナノイー」を選択するに至ったのでしょうか。
山田さん 当時、競合メーカーでもエレベーターに空気清浄機能を搭載する動きがありましたが、日立ではなかなか対抗策が打てずにいました。そうしたなか、エレベータードアの安全装置センサーで以前から取引関係にあったパナソニックから「ナノイー」の提案を受けたのが最初でした。
重成さん パナソニックでは2008年頃から「ナノイー」をグループ外の製品向けに提供するための活動を開始しました。その一環としてエレベーター業界への拡販を目指し、日立にコンタクトしました。おかげさまでエレベーター業界の第一号として採用いただきました。
日立とパナソニックと言えば、一般的にはライバル関係にあると認識されていますが、「ナノイー」の採用にあたって苦労した面もあるのではないでしょうか。
山田さん おっしゃるとおり、少なからず反発や抵抗がありました。それに対し、パナソニックの担当者も参加する社内説明会を何度も開催し、「ナノイー」に対する社内の理解を深めることで製品化につなげました。
島田さん 採用の決め手になったのは「ナノイー」の脱臭効果です。当時、マンションのエレベーターでは生ゴミの臭いがこもりやすいことが問題になっており、日立では強い風で臭いを押し流すという方法をとっていました。しかしどうしても臭い残りが課題であり、「ナノイー」を利用すれば非常に効果的に脱臭できることが日立の実験でも明らかになりました。
稲妻さん プレゼンテーションを通じ、臭いの課題解決に優れた効果があることを理解していただき、採用への動きが一気に加速したと記憶しています。日立が模擬エレベーターを製作して行った実験でも、パナソニックは図面や情報をスピーディーに提供しました。
平井さん その当時、「ナノイー」機能を搭載していたのはパナソニック製品のみであり、他社の異なる製品領域でどれだけの効果が得られるのかわかりませんでした。当時、日立と密接に協力・連携しながら、技術評価・検証を入念に実施したノウハウはその後の製品開発にも活かされています。
コロナ禍のなか「ナノイー X」搭載機の需要が伸長
日立は「ナノイー」の採用に続き、2021年からは「ナノイー X」を搭載したエレベーターの提供を開始しましたね。
山田さん 「ナノイー X」を採用することになったきっかけは、大手ホテルチェーンからの要望がきっかけでした。そのホテルではすでに客室へ「ナノイー X」発生装置を導入していたため、エレベーターも「ナノイー X」にしてほしいという話があり、製品化を進めたのが経緯です。まだコロナ禍に見舞われる前のことですが、この経験を製品開発に生かして「ナノイー X」を含む換気・空気清浄ソリューションを標準装備することになりました。そしてコロナ禍以降は、「ナノイー X」の採用率が一気に伸びています。新機種では乗りかご内の液晶パネルに「ナノイー X」のロゴアイコンを表示するようにしています。最近は、例えばマンション入居者募集のパンフレットに、「ナノイー X」搭載のエレベーターが設置されていることを記載したいという問い合わせも増えています。
島田さん 「ナノイー X」搭載の新機種はオフィスビル、マンション、公共施設を問わず、導入されています。また最近は、既設のエレベーターに「ナノイー X」発生装置を含む換気・空気清浄ソリューションを機能追加したり、設置から20~30年経過して更新時期を迎えたエレベーターを新機種に入れ替えたりするリニューアルでの需要も伸びています。
稲妻さん 販売の現場でも「ナノイー X」をよく理解してもらうため、代理店説明会に「ナノイー X」を紹介する時間を設けていただきました。説明会は非常に大きな反応があり、日立からパナソニックへの発注量も急増しています。
「空気の質の向上」を実現する製品開発を今後も推進
日立では今後、どのようなエレベーター製品を提供してこうと考えていますか。
山田さん コロナ禍に限らず、当面は感染症対策のニーズがあると考えています。日立ではエレベーターを利用する方々が安心・清潔・快適に使えるように、「ナノイー X」をはじめとする「空気の質を向上させる」製品開発を積極的に推進し、その良さを訴求していきたいと考えています。
島田さん エレベーターの乗りかごという狭い空間では、空気清浄や脱臭に対する需要が確実にあると考えています。今後もパナソニックと協力しながら、エレベーターのかご内の空気をきれいにするための製品開発を進め、お客さまに提供していきたいと思います。
● 日立ビルシステム
1956年に日立製作所のエレベーター保守・修理業務を継承して設立された。1996年に現社名へ商号変更。現在は昇降機(エレベーター/エスカレーター)の設計開発・製造・販売・メンテナンスを中心に、ビル・建物の監視・制御・管理に係る事業を幅広く展開している。日本国内で最も高い場所にある東京スカイツリー展望回廊行きエレベーターに採用されるなど、多数の導入実績を誇る。2019年に中国・広州市のCTF金融センターに納入したエレベーターは、上り世界最高速エレベーターとしてギネス記録に認定されている。
● 「ナノイー X」
パナソニック独自のクリーンテクノロジー。「ナノイー」とは、空気中の水を集めて高電圧を加えることで生成されるナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの微粒子イオンのことで、電荷を帯びた水分子を微粒子化したものを指す。高い酸化力を持つ「OHラジカル」を多く含んだ帯電微粒子水が、空中のカビや花粉、菌・ウイルス、臭気成分、アレル物質などに作用して抑制するという。「ナノイー X」は従来技術を改良し、OHラジカルの発生量を10倍(※)に増やした。
(※パナソニック調べ)
事例1
コープやまぐち
つくりたかったのは、お客さまと働く人たちが安心できる空間
事例2
小田急電鉄
脱臭効果を発揮する「ナノイーX」を新型通勤車両に採用
事例3
日本マクドナルド
郊外型店舗に「ナノイーX」搭載の空調機器を導入
事例4
日立ビルシステム
乗りかご内のクリーン運転を目指し「ナノイーX」を標準装備
事例5
ジャガー・ランドローバー
次世代の車内空気清浄化機能に「ナノイーX」を採用