提供:パナソニック
“空気の質”に関心が高まるなか、不特定多数の人々が密集する通勤電車では、ウイルスやニオイといった空気の清潔さを脅かすリスクへの対策が急務となっている。小田急電鉄(以下、小田急)も、その対策にいち早く乗り出した。同社は2020年3月に営業運転を開始した新型通勤車両「5000形」にパナソニック独自のクリーンテクノロジー「ナノイーX」を導入、車内空間の快適性向上を実現している。小田急はなぜ「ナノイーX」を導入したのか。新型車両開発を担当する小田急の瀧浪遼さん、導入を支援したJR東日本テクノロジーの本杉勇人さん、およびパナソニックの仁田直宏さんに聞いた。
事例1
コープやまぐち
つくりたかったのは、お客さまと働く人たちが安心できる空間
事例2
小田急電鉄
脱臭効果を発揮する「ナノイーX」を新型通勤車両に採用
事例3
日本マクドナルド
郊外型店舗に「ナノイーX」搭載の空調機器を導入
事例4
日立ビルシステム
乗りかご内のクリーン運転を目指し「ナノイーX」を標準装備
事例5
ジャガー・ランドローバー
次世代の車内空気清浄化機能に「ナノイーX」を採用
車内環境向上の一環として導入を検討
パナソニックの「ナノイーX」を導入した新型通勤車両について教えてください。
瀧浪さん 「ナノイーX」を搭載したのは「5000形」という新型通勤車両です。2020年3月に10両1編成が営業運転を開始し、現在までに9編成(21年10月現在)が走っています。通勤車両としては12年ぶりの新型で、「より広く、より快適に」をテーマに開発しました。拡幅車体を採用して車内スペースを広げるとともに、車両間の仕切り扉や荷棚に大型ガラスを用いて明るさと開放感があふれる空間デザインを取り入れています。また車内に防犯カメラを設置したり、車両の異常を検知した際に自動的に作動する緊急停止装置を搭載したりと、「安心・安全」にはとくに気を配りました。さらに快適性にもこだわり、車内環境の向上を図るために各車両に8基ずつの「ナノイーX」発生装置を取り付けています。
「ナノイーX」を通勤車両に導入したのはどのような経緯からでしょうか。
瀧浪さん 通勤車両の車内は多数のお客さまが一定時間、同じ空間で過ごすことになるため、当社では設計段階から空調設備の配置や空気の流れについては十分に検証を行います。しかし鉄道車両の空調装置は使用環境が非常に過酷であり、長い期間使用するとカビやウイルスの温床になってしまうこともあるのです。その対策として、このような有害物質を抑制する装置の導入を検討することにしました。
人感による試験を経て「ナノイーX」を選定
有害物質を抑制する装置を選定するにあたり、どのような比較検討を行いましたか。
瀧浪さん イオン系、オゾン系、光触媒系の脱臭装置を導入候補に挙げ、車内の臭気が気になると指摘があった2世代前の通勤車両に実際に取り付けて試験を実施しました。試験は18年8~9月に、車両整備担当者6名が計3回ずつ官能評価で実施しました。パナソニックの「ナノイー」は、当社が相談を持ちかけたJR東日本テクノロジーから紹介されたものです。ただし、試験を実施した当時はまだ移動空間用「ナノイーX」発生装置がなく、従来の「ナノイー」発生装置を用いて試験を行いました。
本杉さん JR東日本テクノロジーでは、JR東日本 山手線、横須賀・総武快速線の新型通勤車両「E235系」をはじめ、複数の鉄道車両に「ナノイー」発生装置を導入した実績があります。今回の相談を受けた際も、自信をもって「ナノイー」をお勧めし、比較検討の試験方法についても支援させていただきました。
導入の決め手はどこにありましたか。
瀧浪さん まず一つは、車内に設置して常時稼働させても人体に無害であるという点です。カビや花粉、菌、ウイルスなど、さまざまな有害物質の抑制効果を実現する機能性も高く評価しました。なかでも一番の決め手は、「ナノイーX」発生装置がメンテナンスの手間が少なく稼働し続ける耐久性があるところです。車両は周期的に細部まで点検が必要なためメンテナンスの手間が少ないこと、また当社の通勤車両は平均40年ほど走り続けるため耐久性が高いことは、非常に重要な判断材料です。
仁田さん パナソニックの「ナノイーX」発生装置は、それぞれのデバイスごとに独立して稼働します。万一故障した際には、デバイスを交換するだけで対応できます。このようなメンテナンスが容易なデバイスの提供により、導入・運用にかかるトータルコストを削減できることも、「ナノイーX」を採用いただいた理由の一つと聞いています。
「ナノイーX」発生装置を各車両8基ずつ搭載
「ナノイーX」の導入を決定してから車両に搭載するまでのスケジュールを教えてください。
瀧浪さん 18年9月の試験結果を受けて導入を決め、11月から具体的な設置位置などの設計に入りました。19年8月には各車両に8基ずつ「ナノイーX」発生装置を取り付けるという仕様が確定し、10月に最初の車両に搭載しました。
本杉さん 移動空間用「ナノイーX」発生装置の開発段階からパナソニックとは連携させていただき、「ナノイー」での車両への搭載ノウハウが活用できるように筐体設計を行っていただいたため、車両に搭載するにあたっても大きな問題なく取り付けができました。
臭気発生の抑制効果を確認
「ナノイーX」の導入後、どのような効果が得られましたか。
瀧浪さん 従来の通勤車両と比較して、明らかにニオイの発生が抑えられていると感じています。実際に車両に乗ったお客さま、あるいは乗務員や車両整備担当者から否定的な意見はまったくありません。不満の声が上がらないのは効果が表れている証拠です。長期的に車両を運用したなかでも、車内空間が現在と同様に維持できるかを今後見ていきたいと思います。
経営層は「ナノイーX」の導入をどのように評価していますか。
瀧浪さん 「ナノイーX」の導入を含め、新型通勤車両の車内環境の快適性が向上したことについては、社内からも高い評価を得ています。
今後も車内の快適性を追求
今後、「ナノイーX」の適用を他の車両にも広げていく計画はありますか。
瀧浪さん 「ナノイーX」発生装置を搭載した5000形については、先日9編成目の営業運転を開始いたしました。小田急では今後も車内の快適性を追求していこうと考えております。将来的には特急型車両も含めて「ナノイーX」のような有害物質を抑制する装置の導入を推進することになると考えています。
● 「小田急電鉄」
1927年に開業した大手私鉄の1社。小田原線、江ノ島線、多摩線の3路線・120.5営業キロ、計70駅を運営。鉄軌道部門収益は大手私鉄16社中5位。全事業収益に占める鉄軌道部門収益の割合は70.4%(2020年3月31日現在)。
● 「小田急5000形」
2020年3月に営業運転を開始した最新型の通勤車両。小田急全線で運用されている。現在までに全90両9編成が製造され、パナソニックの「ナノイーX」発生装置は各車両に8基ずつ合計720基が導入されている。
● 「ナノイーX」
パナソニック独自の微粒子イオン技術。「ナノイー」は空気中の水を集め高電圧を加えることで生成されるナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの微粒子イオン。高い酸化力を持つ「OHラジカル」を多く含んだ微粒子イオンが、空気中の有害物質の働きを弱める。「ナノイーX」はOHラジカルの発生量を増やす改良が続けられており、パナソニックが2021年8月に発表した最新技術ではOHラジカル発生量は2009年に比べて100倍になっている。
事例1
コープやまぐち
つくりたかったのは、お客さまと働く人たちが安心できる空間
事例2
小田急電鉄
脱臭効果を発揮する「ナノイーX」を新型通勤車両に採用
事例3
日本マクドナルド
郊外型店舗に「ナノイーX」搭載の空調機器を導入
事例4
日立ビルシステム
乗りかご内のクリーン運転を目指し「ナノイーX」を標準装備
事例5
ジャガー・ランドローバー
次世代の車内空気清浄化機能に「ナノイーX」を採用