提供:ペイパル

「2022年ペイパル海外通販レポート」に見る
越境ECの現在

日本企業の海外ネット通販事業を
強力に支援するペイパル

ペイパル
日本事業統括責任者
ピーター・ケネバン氏

新型コロナウイルス禍をきっかけに“巣ごもり需要”が拡大し、世界のEコマース市場はかつてないほどの活況を呈している。国境を越えた商取引も盛んに行われ、いまや海外の事業者から容易に商品を購入できるようになった。ところが日本では、海外の消費者を相手にネット通販事業を展開する企業はそう多くない。せっかくのビジネスチャンスを、指をくわえて見ているだけの状態なのだ。日本企業の海外ネット通販事業参入を阻む課題は何か。どうすれば課題を解決できるのか。世界最大規模のオンライン決済サービスを提供するペイパル(PayPal)の日本事業統括責任者、ピーター・ケネバン氏に話を聞いた。

コロナ禍で急拡大したネット通販市場

―― コロナ禍に見舞われたこの2年の間に、世界のインターネット通信販売(ネット通販)市場は急拡大しました。世界のネット通販市場はいま、どのような状況になっていますか。

ケネバン そもそもネット通販市場は年々成長することが予測されていましたが、パンデミック(世界的大流行)の影響により成長スピードが3~5年程度早まったと見ています。その大きな要因は消費者の購買行動がリアルからオンラインへと変化したことにありますが、企業側もこの消費者の変化に合わせて新たな販路やビジネス機会を求めて模索した結果、ネット通販事業へ続々と参入しました。これにより市場全体が拡大したわけです。

 実際、当社が2022年8月に発表した「2022年ペイパル海外通販レポート」によると、ネット通販は、20年から21年にかけて7000億米ドル急増しています。またその売上高は25年までに50%増加し、7.4兆米ドルという市場に発展すると予想されています。

ペイパル 日本事業統括責任者 ピーター・ケネバン氏

ペイパル
日本事業統括責任者
ピーター・ケネバン氏

 そうしたなか世界的に広がっているのが、海外ネット通販、いわゆる「越境EC」です。越境ECを利用したことのある消費者は全世界で57%にも上り、世界中の企業が自国内だけでなくグローバル市場を意識したネット通販事業に取り組み始めています。そうした傾向は大企業のみならず、中小企業でも見られる現象です。

日本企業の越境EC参入を阻む壁

―― 一方で世界の事業者に比べ、越境ECに参入する日本企業は少ないと感じます。いったい何が障壁となっているのでしょうか。

ケネバン 日本企業のなかでも、例えばゲームのようなコンテンツサービスを提供する業界は早くから越境ECに参入し、成功しています。しかし商品を販売する多くの日本企業、とくに中小企業は越境ECに参入できずにいます。当社が日本の中小企業を対象に実施した調査によると、越境ECに踏み込めない一番の理由は物流などのコストの高さで、次いで人手不足が挙がっています。この人手不足には、海外向けの営業・マーケティングを担当する人材がいないこと、言葉の壁があることも含まれます。また海外との取引リスクなど面倒事を避けたいという理由も、日本の中小企業の間で顕著に見られます。

―― とはいえ、ネット通販市場が拡大し越境ECの利用者が増え続けるなか、日本企業が越境ECに参入しないのはビジネスチャンスを逃していることになりませんか。

ケネバン まさにその通りです。実は世界の消費者は、日本に強い関心・興味を持っています。当社の調査でも、日本の商品を購買したいと考える消費者が多いことが分かっています。私は米国人ですが、米国でも日本への関心が高く、友人から「日本の食器が欲しい」と言われて合羽橋道具街に探しに行ったこともあります。ほかにも、「輪島塗のような伝統工芸品が欲しい」「日本酒やウイスキーが欲しい」といったリクエストが届きます。また、日本のイノベーティブなファッションブランド、自動車や高級時計、スニーカーなど状態の良い中古品に興味を示す人もいます。こうしたさまざまな日本の商品が人気なのは、商品力に優れ品質が高く、またものを大切にする文化があり、安心して取引できると信頼されているからです。さらに最近の円安傾向による“お得感”も、海外の消費者の購買意欲を掻き立てています。

 このように日本が評価されているのにもかかわらず、日本の売り手側がリスクや面倒を恐れ、越境ECに参入しないのはとてももったいないことだと思います。

ペイパル 日本事業統括責任者 ピーター・ケネバン氏

ペイパルが提供する価値とは?

―― 越境ECを利用する日本の消費者、越境ECを展開する日本企業に対し、ペイパルはどのような価値を提供できますか。

ケネバン 越境ECを展開する日本企業に対する価値としてはまず、現地で主に使用されている決済手段を提供している会社とその都度、契約など面倒な手続きを踏むことなく、ペイパルのビジネスアカウントを作成するだけでキャッシュレスの決済手段を用意できることが挙げられます。また、全世界で約4.3億人いるペイパルユーザーを相手に越境ECを展開できるところも、ペイパルの大きな価値と言えるでしょう。ユーザーがペイパルで支払う際にはアカウントにログインするだけなので、消費者にとって最も容易な決済手段であり、クレジットカード情報の入力中に離脱するようなこともないので、コンバージョン率(成約率)向上やリピート購買も期待できます。

 さらにペイパルの価値として知っていただきたいのが、強力なセキュリティープラットフォームを有していることです。サイバー攻撃や怪しい取引も、AI(人工知能)などをフル活用しながら24時間365日体制で監視しています。こうしたペイパルが提供するさまざまな価値が評価され、ペイパルはすでに全世界で約3500万社の企業に選ばれています。

 また、消費者に提供できる価値としては、安全に安心して海外のオンラインショッピングを利用していただけることが挙げられます。ペイパルはクレジットカードや銀行口座引き落としなどさまざまな決済手段を提供していますが、これらの情報はすべてペイパルの内部で管理しており、その情報がネット通販事業者など外部に出ていくことはありません。

―― これから越境ECに参入しようと検討中の中小企業には、何か支援を行っているのでしょうか。

ケネバン ペイパルはShopify、Adobe Commerce(Magento)といったECサイト構築サービス、WorldShopping BIZやBuyee、FROM JAPANやZenPlusといった越境EC向けの代行購入サービスを手掛ける事業者などを「導入パートナー」に位置付け、それらのツール/サービスを利用して越境ECに参入を検討している中小企業への情報提供など、さまざまな支援を行っています。また、パートナー各社と協力して中小企業向けのイベントやセミナーを開催するといった取り組みも進めています。

ブラジル 消費者基本データ

図:ブラジル消費者基本データ(「2022年ペイパル海外通販レポート」より)

「2022年ペイパル海外通販レポート」のダウンロードページはこちら>

世界の通販事情が分かるレポートを提供

―― 越境ECを展開する日本企業への支援という意味では、冒頭に紹介のあった「ペイパル海外通販レポート」も有益な情報源です。これはどのような狙いから発行しているのでしょうか。

ケネバン ペイパルは「金融サービスの民主化」をビジョンとして掲げていますが、越境ECについては消費者や中小企業の不安を可能な限り払しょくすることで誰にとってもハードルなく利用できるよう決済面でのサポートに取り組んでいます。その一貫として、世界の主要市場におけるネット通販の最新動向や消費者に対するグローバル調査を実施し、それを「ペイパル海外通販レポート」としてまとめています。その狙いは、日本以外の国の海外通販の消費動向を知ってもらい、越境ECの積極的な展開の一助としていただくことにあります。

―― 8月に発表した22年のレポートの、どんなところに注目したらよいでしょうか。

ケネバン 「2020年の時点よりも海外通販を利用することに抵抗がなくなった」「価格が安いなら配送に時間がかかっても待ちたい」「人と社会に有益な取り組みを行うブランドを優先して利用したい」「バーチャル体験やデジタル体験を提供する小売業者を優先して利用したい」といった世界の消費動向の傾向・変化についての解説は、EC事業者にとって大きなヒントになるでしょう。また、14の市場のなかで日本の商品の購入率の高い国はどこか、その国の消費動向はどうなっているかなどの分析は通販の海外展開の参考になると思います。加えて、日本市場のデータは、国内での販売の参考になるでしょう。

―― 最後に、越境ECに関心を持つ読者の皆さんにメッセージをお願いします。

ケネバン 日本の商品やサービスには、世界の消費者に支持されるだけのポテンシャルがあります。今回ご紹介したレポートもそうですが、ペイパルは越境ECに参入する日本企業への支援を惜しみません。リスクを恐れずに、挑戦してみてはいかがでしょうか。

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