提供:NIKKEI Realestate Summit 2023特集

都市の未来を展望する大型サミット NIKKEI Real Estate Summit 2023

不動産の力で、
社会課題を超えていく

日本経済を再び上昇基調に乗せるために不動産が果たす役割とは。生活者の価値観やライフスタイルがますます多様化し、また様々な社会課題が顕在化する中で、日本の不動産業界はどのように対応していくのか。

#03 都市開発 多様な自然や価値、育む都市へ

時代とともに、都市も進化する。自然を守り、共生する場として。様々な人や企業が集まり、新たな価値を創出する場として。社会を育むために今、都市に求められるアップデートとは。不動産活用、再開発、環境保全の各業界をリードする3社の展望から、多様性を受け入れ活用する都市のあり方が見えてきた。

企業講演野村不動産グループまだ見ぬ、Life&Time Developerへ価値創造に向けた取り組み

野村不動産 代表取締役 副社長兼副社長執行役員
コーポレート統括芳賀 真

価値創造、3つの事業モデルで

賃貸事業を機能ごとに分解した場合、デベロッパーの主戦場は「開発・商品企画」「運営」になり、「資産保有」は不動産ファンドが担うとの構造変化・将来像がある。

その上で、当社の経営の方向性として1番目に伝えたいのは「デベロッパーとファンドとのバランスシートの使い分け」だ。おのおので必要な自己資本利益率(ROE)、総資産利益率(ROA)を設定し、株主へのコミットメントを実現する。当社グループでは「賃貸バリューチェーンモデル」と呼ぶ資産循環モデルを構築し実行している。

2番目に「オペレーショナル分野での価値創造力の研さん」。単純な不動産賃貸は「大家業」にすぎないため、多様なサービスを重ねることで資産価値を最大化させる。当社が今春立ち上げる「NOMURA WORK-LIFE PLUS(ノムラワークライフプラス)」では、テナント企業のみならずワーカー個々人にシェアオフィスやフィットネスクラブの利用などオフィス価値を超えた様々な付加価値を提供したい。

3番目は「共有空間の充実によるプロジェクト全体の価値最大化」。開発中の「芝浦プロジェクト」では、28階の空中フロアに充実した共有空間を創造し、日本企業の課題である「多様化する働き方ニーズへの対応」を支援する。空と海、世界へ開かれたこの街で人も社会もWell-Beingになれる空間の実現を目指す。

芝浦プロジェクトS棟(2025年2月竣工予定)
28階に充実した共有空間を設置
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企業講演多様性を活かしてエリア全体の価値を高める東急不動産の広域渋谷圏における取り組み

東急不動産 取締役 常務執行役員 都市事業ユニット長榎戸 明子

「創造」「発信」「集積」を循環

渋谷駅周辺では、100年に1度といわれる大規模再開発が進んでいる。東急グループでは、渋谷駅から半径約2.5キロの範囲を「Greater SHIBUYA=広域渋谷圏」と定義し、「働く」「遊ぶ」「暮らす」の3つを融合させた「Greater SHIBUYA2.0」という街づくり戦略を策定。東急不動産では、渋谷駅桜丘口地区、神宮前六丁目地区、代官山町、代々木公園の4つの地域で、街の特徴やポテンシャルを最大限生かした開発事業を進め、エリア全体の価値向上を目指している。

広域渋谷圏で推進中の開発事業
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    Shibuya Sakura Stage
    (渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業)
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    神宮前六丁目地区
    第一種市街地再開発事業
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    (仮称)代官山町プロジェクト
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    (仮称)代々木公園Park-PFI事業

施設の竣工、開業後は「創造」「発信」「集積」の3つの施策を循環させる運用フェーズに入る。「創造」ではコンテンツ開発や官民連携によるスタートアップ共創を試みる。「発信」では渋谷のネームバリューを生かし、イベントと屋外広告を連動させた都市メディアや仮想空間を利用したデジタルツインに取り組む。不動産の新たな価値創出や認知向上にもつながるはずだ。不動産業界初となる、空間を3DCG化したデジタル背景アセット事業も始動している。「集積」では起業や新規事業の立ち上げ支援を通じてエリア全体の多様性強化を図る。多様な人が働き、遊び、暮らす魅力的な国際都市として渋谷を発展させるべく、行政、地元関係者と連携しながら取り組みを続けていく。

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企業講演サステナブルなまちづくり~脱炭素社会の推進と生物多様性の保全~

東京建物 専務執行役員加藤 久喜

再エネ利用 都心部に本物の森も

SDGsへの貢献が求められる中で、脱炭素社会の推進と生物多様性の保全は車の両輪といえる。東京建物では社会との共有価値として「地球環境との共生」を掲げ、行政や周辺地域、パートナー企業と連携し、「社会課題の解決」と「企業としての成長」のより高い次元での両立を目指す。

その事例の一つが再生可能エネルギーの創出と有効活用を行う環境配慮型物流施設「T-LOGI」だ。郊外の採光条件の良い広大な敷地を生かし、屋上に可能な限りの太陽光パネルを設置。LED利用などによる省エネルギー化と併せ、エネルギー消費量実質ゼロを実現、『ZEB』(ゼロ・エネルギー・ビル)認証を取得している。余剰電力は自社保有の別施設に送る「自己託送」でロスを防ぎ、竣工済み物件における1次エネルギー平均削減率は136%と高い省エネ効果を発揮している。

環境配慮型物流施設「T-LOGI」
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余剰電力を「自己託送スキーム」で当社保有物件に融通。
発電された太陽光エネルギーを余すことなく有効に活用。
東京都心で再生した本物の森「大手町の森」
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生物多様性保全の実例としては大手町タワーの敷地面積全体の約3分の1にあたる3600平方メートルに本物の森を再現した「大手町の森」がある。「都市を再生しながら自然を再生する」をコンセプトに敷地とは別の場所で森の一部を再現し3年にわたる実証実験などを行い、生きている森をつくり上げた。都心に位置しながらも129種の昆虫や13種の鳥類、208種類の植物類が生息しており、その中には絶滅危惧品種も含まれる。

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NIKKEI CHANNEL都市開発 企業講演 東京建物
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