提供:リバスタ

建設業界の未来を語る

業界全体に役立つ技術を「共創」し、
本業領域での「競争」に生かす

伊藤 仁

建設RXコンソーシアム 会長

対談

高橋 巧

株式会社リバスタ 代表取締役

建設業界は、社会の基盤を作り上げる重要な存在だ。しかし、就労人口減少に加え、いわゆる3K(危険・汚い・きつい)の代表職種として若い世代から敬遠される傾向にあり、担い手不足が深刻化している。この喫緊の課題に効果が期待されるのが、ロボットやITなどのデジタル技術だ。「共創」で業界の価値を高めようとする「建設RXコンソーシアム」と、同じ想いを抱くITサービス企業「リバスタ」のトップが語り合う。

担い手確保が建設業界の課題、協調できる領域は「共創」を

写真:伊藤 仁 氏

伊藤 仁
建設RXコンソーシアム 会長

鹿島建設専務執行役員。IT推進や検査などの分野で現場をサポートする子会社「One Team」の社長を兼務。2021年9月に、竹中工務店、清水建設とともに建設RXコンソーシアムを設立。

――2021年9月に建設RXコンソーシアムを設立した背景をお聞かせください。

伊藤氏 建設業では、高齢化に伴う就労人口減少などの社会的背景を受け、将来の担い手確保や働き方改革の実現が喫緊の課題となっています。新規入職者が、いわゆる3K(危険・汚い・きつい)の代表職種である建設業を敬遠する傾向が強いということもあります。24年度から建設業においても残業上限規制が導入されますが、慢性的な労働力不足は、働き方改革を推進する上での妨げになるばかりでなく、建物への品質にも影響を与えかねません。

 ゼネコン各社では施工ロボットや、IoTを活用した施工支援・施工管理ソフトウェアなどの開発を進めていますが、個社で生産する台数では量産効果が限られ、結果的に価格が高額となり、現場への普及の妨げになっています。また、これら施工ロボットやソフトウェアを実際に使用するのは協力会社やサブコンであり、ゼネコン各社の仕様で開発されたロボットやソフトウェアの操作の習熟に時間を要すことが、生産性向上を阻む要因にもなっています。

 建設業界は、ライバル会社として各社が競合関係にありつつも、例えば現場の資材搬送・清掃といった付帯作業などを「協調領域」と位置付け、各社の保有技術や知恵を結集して早期にロボット導入を実現することで、生産性の向上や業界全体の魅力を高めることが重要です。そこで鹿島建設では19年12月に竹中工務店とロボット・IoT分野での技術連携を開始しました。

高橋氏 鹿島建設と竹中工務店のプレス発表を見たときは、従来のゼネコンの考え方を一新する画期的な取り組みだと衝撃を受けました。各ゼネコンが競争領域と協調領域を見極め、協調領域においては共同で技術開発を行い、業界全体で共通のロボットやシステムを利用することで現場の生産性向上を目指すというのは素晴らしいですね。

伊藤氏 その後、20年10月には清水建設が加わり、この3社の活動が21年9月の建設RXコンソーシアム設立につながりました。

建設業界の効率化に貢献するリバスタのサービス

写真:高橋 巧 氏

高橋 巧
株式会社リバスタ 代表取締役

2007年6月に株式会社イーリバースドットコムを設立し、産業廃棄物の物流を効率化するサービス「e-reverse.com」の提供を開始。2022年4月1日に株式会社リバスタに社名を変更。

――建設現場における付帯作業を効率化するという意味では、リバスタが提供しているサービスにも共通しますね。

高橋氏 そのとおりです。当社は創立以来、建設現場から排出される産業廃棄物の適正処理を支援する電子マニフェストサービス「e-reverse.com」を提供し、社名も株式会社イーリバースドットコムとして、建設業界の効率化をお手伝いしてきました。

 しかし、今後、建設現場施工管理サービス「Buildee」をはじめ多様なサービス展開をするうえで、一つのサービス名と社名が同じでは、お客様にとっても分かりづらくなります。そこで、22年4月1日に株式会社リバスタと社名を改め、新たなスタートを切りました。

――建設現場施工管理サービス「Buildee」の開発姿勢についてお聞かせください。

高橋氏 建設現場施工管理サービス「Buildee」は、「調整会議」「入退場管理」「労務安全」といった複数のサービスからなるクラウドサービスで、3つの基本姿勢に基づいて開発しています。

 1つめは、「お客様との信頼と共創を大切にし、建設現場が求めるサービス仕様であること」です。「調整会議」では、鹿島建設様の多大なる協力のもとに創り上げたサービスです。また、今年リリースを予定しているサービスでも複数のゼネコン様と共同で仕様を検討しています。

 2つめは、「各種情報を共有し、オープンにすること」です。お客様の入力情報はお客様の資産であるという考えのもと、お客様が業務改善のために有効活用してもらうことを目指しています。

 3つめは、「他社とも協業し、相乗効果を生み出すこと」です。例えば、LINE WORKSとの連携で現場のコミュニケーションを活性化させることや、パナソニック コネクト様の顔認証技術との連携で、iPhoneやiPadを利用した作業員の入退場管理を実現させています。このほかにも新たなサービスリリースに向け数社と共同開発を進めています。

※iPhone、iPadは、Apple Inc.の商標です。

ゼネコンの正会員と、異業種の協力会員とがコラボレーション

――建設RXコンソーシアムでは、具体的にどんな活動をしているのですか。

伊藤氏 22年5月時点で正会員24社、協力会員は57社で計81社となっており、今後も会員数の増加を見込んでいます。研究開発機関を有する日本建設業連合会加盟のゼネコンが正会員となり、各技術を実際に活用する協力会社やサブコン、ロボットメーカー、ITベンダー、レンタル会社等が協力会員として参画しています。

 建設RXコンソーシアムには9つの分科会があります。そのうちの一つが、現場内での資材搬送を行う自動搬送システムに関する分科会です。具体的には、内装材や設備機器などを搬送するロボットや、そのロボットを運用するシステムの開発を進めています。また、タワークレーンの遠隔操作に関する分科会もあります。オペレーターは50mもの高さにある運転席まではしごを登り、1日中拘束されていますが、コックピットを地上に設置すれば身体的負担の軽減や作業環境の改善が期待できます。これ以外にも、工事中に発生する産業廃棄物をAIによって自動分別し、圧縮減容することによって環境負荷を低減する技術や、建材の取付位置を示す墨と呼ばれる線を現場の床に自動的に書き出す墨出しロボット技術の検討、さらには、建設業以外で生産性や安全性の向上に活用されている既製ツールを、建設業向けにカスタマイズして業界全体で供用するための分科会も立ち上げています。

 分科会以外の取り組みとしては、月例の運営委員会での協力会員の保有技術やサービスの紹介、コンソーシアム会員の技術展示会も行っています。

高橋氏 当社は、ゼネコンやサブコンの方々から意見を取り入れ、現場にとって有用なサービスを生み出すことで、自社の事業領域であるITの分野から業界に貢献していきたい、という思いで協力会員として参加しています。他の協力会員の企業も、みな我々と同じ姿勢だと思います。

業界を横断するプラットフォームが共創を加速させる

――建設RXコンソーシアムとリバスタ、それぞれの今後の取り組みをお聞かせください。

伊藤氏 建設業は、その建設生産プロセスを変革していく上で、これまで培ってきた建設技術を基軸にしつつも、今後は異業種の多様な新技術を積極的に採り入れて活用していく必要があると考えています。コンソーシアムには、こうした趣旨に賛同する建設会社や、それを支援しようとする異分野の多数の企業に参画していただいていますので、この活動を通じて、個社では難しかったロボットやIoTアプリの普及を加速させることができると期待しています。

高橋氏 当社は会員の皆様と協力し、建設現場にとって有益なソリューションを提供していきたいと考えています。

 Buildeeは建設現場のITプラットフォーマーを目指しており、今後もさまざまなサービスのリリースを計画しています。例えばKY(危険予知)について、ノウハウは業界全体で共有し、ノウハウに基づく具体的な対策を各社が工夫し、競争し合った方が、全体としては発展するはずです。そのベースとなるナレッジの共有部分をBuildeeが支えることができればと考えています。

伊藤氏 KYの共有はいいですね、安全面の効果が期待できます。業界各社が気軽に使えるプラットフォームさえあれば、多くの建設会社が参加してくれると思います。

高橋氏 逆に言えば、今はその仕組みが存在していないわけですよね。お客様の賛同がいただけるなら、ぜひ我々がプラットフォームを作って、業界全体の幸せに貢献したいと考えています。Buildeeでは登録データはお客様の資産であるという考えから、お客様自身のデータはサービスの中で自由に引き出せるようにしています。各社それぞれのデータ活用の仕組みと連携させ、独自の工夫に生かすことができるのです。

伊藤氏 鹿島建設でも、Buildeeの3サービスを全現場で採用していますし、建設RXコンソーシアム正会員の多くも利用していて心強いですね。今後リリース予定の「Buildee進捗・歩掛」では工事の進捗や下請業者ごとの歩掛の把握ができ、「CO2管理サービス(仮称)」ではCO2排出量を現場ごとに算出できるとのことなので、それらにも期待しています。

建設業界の魅力を高め、そして認知を拡大していく

――建設RXコンソーシアムやリバスタの活動が変えようとしている建設業界、その将来像は、どのようなものになるのでしょう。

伊藤氏 建設業は“一品生産”かつ“現地生産”。製造業と比べて、安全・環境・品質・工程・コスト(SEQDC)の管理が難しいのです。そのことが、建設業で働く作業員たちの就労環境にも影を落としており、正当な評価を受けることを難しくすることや、重層下請構造といった課題にもつながっています。しかし、こうした数々の課題も、今後はITの活用で改善していけるでしょう。

高橋氏 現場ごとの一品生産とはいえ、どの現場にも共通する要素があり、近年のデジタル技術の発達で、その要素を生かせるようになってきました。例えば、作業員の仕事振りや成果を正当に評価しようとする取り組みの一つに、国土交通省主導の「建設キャリアアップシステム(CCUS)」があります。当社ではBuildee入退場管理をCCUSに連携させているほか、今後は作業員の行動に応じてポイントを付与するソリューションを検討するなど、さらなる普及促進に努めています。

 重層下請構造についても、Buildee上には膨大な現場のデータが蓄積されており、これを元請各社がさまざまな形で分析すれば、協力会社の評価に役立つはずです。これにより下請企業も健全な競争が進み、業界全体の体質改善につながると期待しています。

伊藤氏 一品生産ならではの課題に対しては、着工前にデジタルで仮想的に施工を行って課題を洗い出すBIM(Building Information Modeling)が役立ちます。鹿島建設も他のゼネコンも活用していますが、元請ごとに要求仕様が微妙に異なるため協力会社の負担が課題となっており、今後は建設RXコンソーシアムの分科会で仕様の共通化を検討していく方針です。

 さまざまなデジタルツールが普及すれば、現場も若い世代に適した仕事のやり方に変わっていくことでしょう。それらは省力化のための道具であると同時に、若い世代の人たちにとって建設業という職場に魅力を感じてもらう要素にもなると思います。建設RXコンソーシアムでは今後、リバスタのような専門性を持つ企業との協働を進めていくとともに、その成果を積極的に発信していきたいですね。より広く、異分野の企業にも協力していただき、建設業界の魅力が高まることを願っています。

写真:伊藤氏と高橋氏

建設現場をICTでスマートにする「Buildee」

 株式会社リバスタが提供する「Buildee」は、建築現場の施工管理業務をサポートする「Buildee調整会議」「Buildee入退場管理」「Buidlee労務安全」の3サービスをクラウドサービスで提供。LINE WORKSとの連携による現場のコミュニケーションを活性化、パナソニック コネクトの顔認証技術と入退場管理の連携なども実現し、今後も新たなサービスを投入しラインアップを拡充していく計画だ。

 2022年4月末時点で180社の元請企業に導入されており、導入現場数は9,020現場、導入ユーザー数は421,686人にのぼる。その中には建設RXコンソーシアムの正会員24社のうち19社が含まれる。

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Buildeeの詳細はこちらから

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