• Vol.1 従業員視点の「働きやすさ」と「やりがい」が企業成長の鍵を握る
  • Vol.2 なぜ「体験の変革」で「働きやすさ」を革新できるのか?
  • Vol.3 アサヒグループが実践する“働きやすさ”改革のアプローチとは?
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提供:ServiceNow Japan合同会社

“働きやすさ”で企業成長を実現

提供:ServiceNow Japan合同会社

“働きやすさ”で企業成長を実現

企業全体のあり方を根本から見直す「組織と働き方」の変革 従業員視点の「働きやすさ」と「やりがい」が企業成長の鍵を握る

  • 株式会社アクション・デザイン
    代表取締役
    加藤 雅則

  • ServiceNow Japan合同会社
    執行役員社長
    ジェームズ・マクリディ

コロナ禍の今、企業における従業員の働き方が大きく変わろうとしている。だが日本では、組織の業務生産性・効率化は話題になるものの、従業員視点の働きやすさについては置き去りにされているのが実情だ。労働人口減少が社会課題になる中で、働きやすい環境整備ができていない企業では、採用難や人材流出のリスク、さらには従業員のパフォーマンスを十分発揮できないことも懸念される。従業員にとって働きやすく、やりがいを感じられる環境とは、また企業に求められるものとは何であるのか。エグゼクティブコーチングや組織開発のコンサルタントとして著名な加藤雅則氏と、ServiceNow Japan合同会社 執行役員社長のジェームズ・マクリディ氏が意見を交わした。

企業成長の鍵となる「魅力的な働く環境づくり」

写真:株式会社アクション・デザイン 代表取締役 加藤 雅則氏

現在の日本の社会構造やコロナ禍も踏まえたビジネス環境の中、日本企業の現状や課題をどのように捉えていますか。

加藤 少子高齢化・労働人口減少時代を迎えた日本では、会社と従業員との関係性、力学に変化の兆しを感じています。特にコロナ禍において、会社と従業員の選び・選ばれるという関係性がよりフラットになるという状況が加速しました。そこでは組織のあり方も変わります。終身雇用を前提とした指示命令系統で従業員は動くのでなく、今後は会社が目指す世界観に対する“共感”、あるいは職場環境に違和感がないという組織カルチャーへの“共感”をベースに動く方向になっていくでしょう。

つまり企業は、会社の存在意義や世界観を納得・信頼して行動するように企業理念を浸透させなければ、従業員は次第に「何のためにこの会社で働くのか?」という疑問を抱き、「会社の先が見えない」「この会社で(自身が)成長できるか分からない」と人材流出を招くおそれがあります。しかし多くの日本企業では、こうした変化の兆しを感じ取れていません。ここに課題があると見ています。

マクリディ 確かに、従業員視点が欠けている企業は少なくないと感じています。コロナ禍でリモートワーク対応を行う中、多くの企業は「生産性向上」「時間・コスト削減」を課題と捉えていますが、これはあくまでも「経営者視点」であり、「従業員にとって働きやすい環境」をつくるという視点には至っていないのではないでしょうか。

次々と誕生する新たなビジネスモデルへの対応、少子高齢化への対応など数々の課題を抱える日本では、優れた人材を確保することが今後の企業成長のために優先的に取り組むべき企業戦略です。そのためにも企業は、従業員がパフォーマンスを最大限に発揮できる環境づくり、新しい人材にとって魅力的な働く環境づくりを進めることが重要です。これは何も人事・総務といった特定部門の課題ではなく、企業全体で取り組むべき課題だと考えています。

企業間競争は戦略レベルから組織能力レベルに

なぜ今、そうした組織についての課題を考える必要があるのでしょうか。

写真:ServiceNow Japan合同会社 執行役員社長 ジェームズ・マクリディ氏

加藤 2020年には非常に多くの日本企業が中期経営計画を策定し、私も「両利きの経営」の観点からアドバイスを求められました。ところが丸1年が経過した今、中期経営計画は策定したものの、実際に動き出せていない企業も少なくありません。これは、経営者が「中期経営計画はつくった。方針も決めた。あとはよろしく」というのでは組織が動かないことを示しています。両利きの経営は、もともと米国経営学者のマイケル・タッシュマン教授とチャールズ・オライリー教授が提唱した概念で、日本では企業がイノベーションを起こすために「知の探索」と「知の深化」を行うことと紹介されています。しかし実は本人たちはそういう言い方はしておらず、あえて言うなら「探索のカルチャー」と「深化のカルチャー」の両方を持つ必要があると説明しています。

ここで強調したいのは、企業間競争の次元が戦略レベルから組織能力レベルになっており、それに備えて組織カルチャーを醸成しなければならないということです。そのためにも組織を構成する一人ひとりの従業員が実現力、実行力をより発揮できる業務体験・環境を考える必要があります。

マクリディ おっしゃるとおりです。コンシューマー市場では優れたデジタル体験が実現される一方、企業の働く環境は大幅に遅れているのが実情です。今の日本企業では各部門・チーム内、さらには上長の承認などの業務プロセスに人手による作業が発生し、そのたびに時間や労力を費やさなければいけません。こうした部分にコンシューマーとしての体験と大きなギャップがあることが大きな課題です。

本来の業務のパフォーマンスを向上させ、新しいビジネスの開発に集中するためにも、人が組織の中を立ち回るのではなく、組織が人に必要な情報・サービスを提供する仕組みが必要となるわけです。それが企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現にもつながると考えています。

企業が「本来の」DXを推進していくには

変革への取り組みは、すでにDX推進の一環として行っている企業も多いかと思います。そうした取り組みでは不十分でしょうか。

加藤 ここで原点に返り、今一度「組織とは何か」を考えてみましょう。組織とは、ある目的を実現するために関係者が協働する活動そのものを意味します。それは箱のような容器ではなく、あくまでも組織活動の集合体です。したがって組織のDXというのは単に既存の業務プロセスをデジタル化するにとどまらず、組織活動そのものを見直す必要があります。組織活動を見直すには、誰が何をどのように実行し、それをどう評価するのか、「組織目標×業務プロセス×担い手×組織文化」をセットで考えなければなりません。

マクリディ 私は今の組織や業務プロセスにこだわらず、人を中心としてどのような仕組みが必要なのかを改めて棚卸しして検討すべきだと考えています。日本企業では、アナログのものをデータ化するにとどまっているケースが多く見られますが、DXとは本来、これまでの組織全体にまたがる働き方をデジタル技術で変革していくことを意味しています。つまり、企業全体の取り組みとして組織横断的に検討すべきなのですが、実際には各部門のタスクをいかに効率的に処理するかというところに踏みとどまっています。

写真:加藤 雅則氏とジェームズ・マクリディ氏

「やりがい・働きやすさ」の醸成はビジネスの成功への近道

企業の成長を組織的に考えるとき、具体的にどのような取り組みが必要になるのでしょうか。

加藤 企業は事業の成長ステージ、すなわち勃興期、成長期、成熟期のどのステージにあるのかに応じた事業システムをつくる必要があります。この事業システムとは「経営者のリーダーシップ」「戦略」「組織」がそれぞれ連動・連鎖する仕組みのことです。

その中でも、企業が考えなければいけないのが、従業員にとってやりがいを感じられる働きやすい組織づくりです。それを実現するには、業務プロセス・評価制度・組織構造といった組織目標を達成するためのハードウェア的な仕組みだけでなく、人材開発や組織カルチャーの醸成といったソフトウェア的な取り組みの両面から考えていかなければなりません。

マクリディ ServiceNowはまさにそれをITシステムの面から強力に支援できると考えています。当社は自社の存在意義(パーパス)を「We make the world of work, work better for people」と定義しています。つまり働く人、一人ひとりにとってより良い環境をつくることです。組織で働く従業員、すなわち人だからこそ創造できる価値を生み出せる、働きやすい環境を整備すれば、仕事にやりがいを感じるようになり、それが企業の新しいビジネスの成功につながります。

そこで必要となるのが、従業員が仕事をする上で不可欠なあらゆるリソース(ヒト・モノ・カネ・プロセス)を部門・組織を超えて、意識することなく活用できるワークフローを構築する取り組みです。

写真:加藤 雅則氏とジェームズ・マクリディ氏

働きやすい環境・働きがいのある環境を実現する上で、経営者はどうあるべきでしょうか。

加藤 働きやすい環境・働きがいのある環境を実現するために、経営者の役割はこれまでのような組織の規則やシステムをつくる「ルール型」から「コンテキスト型」へと変えていくことが求められています。コンテキスト型とは、経営の大きな方向性を示すとともに、従業員が能力発揮しやすい環境を整備し、従業員に継続的な働きかけ・刺激・支援を行うことです。

日本型組織の基本はボトムアップであり、ここに日本型組織の強さがあります。経営者はボトムアップを誘うトップメッセージ、経営者としての意思表示・シグナルを発するとともに、新しい行動様式を実践することで、働きやすい環境・働きがいのある環境へと組織カルチャーを変革していくことが望まれます。

マクリディ そのとおりですね。経営者はこれまでの考え方にとらわれず、会社全体の組織を一新するつもりでリーダーシップを発揮していくべきだと考えています。さらに付け加えると、日本企業はこれまで、事業・部門組織ごとに分かれてそれぞれが事業の強靭化を実現してきました。しかし、働きやすい環境・働きがいのある環境を実現するためには、そうした日本企業の特徴がむしろ足かせになっているのではないでしょうか。組織をまたいだ変革を実行できるのは、経営者自身であることをぜひ認識していただきたいと思います。

そうした取り組みは、企業にとって大きな変革となります。そんな変革に挑戦する経営者にメッセージをお願いします。

加藤 私は、組織変革というのはトップダウンとボトムアップがミートするところに生まれると考えています。先に述べたように、経営者にはボトムアップを引き出すトップダウンの取り組みが必要ですが、一方で従業員にもトップダウンを引き出すボトムアップが求められます。

今、日本の組織に求められているのは、働く人の視点で業務システムや組織を見直し、デザインし直すこと。経営者の明確な意思表示と思い切った価値判断を契機に、やりがいや働きやすさを重視した職場環境を提供できれば、新たな組織能力を生み出すことも可能となるでしょう。

マクリディ 日本において少子高齢化・労働人口減少は待ったなしの状況にあり、優れた人の確保が今後の企業成長を支えるといっても過言ではありません。企業の成功を支える従業員にとっての働きやすさ・働きがいを得られる環境づくりは今すぐに検討すべきテーマだと言えます。この変革に挑戦しなければ企業は競合優位性を失う危険性が高いことをぜひ認識し、一刻も早く立ち上がっていくべきだと考えます。

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