信託未来プロジェクト ~みんなの未来のために信託ができること~

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#キックオフミーティング次の100年の資産形成と社会課題解決を支えるみんなの未来のために信託ができること
「信託未来プロジェクト」

1922年の信託法制定から100年。信託銀行4社が一致団結して、次の100年を切り開くプロジェクトを立ち上げた。その名も「信託未来プロジェクト」。少子高齢化で人々の資産形成の重要性が一段と高まる一方、企業は持続可能な社会の実現に向け、様々な社会課題への対応を迫られている。信託の力をさらに広く世間に伝え、誰もが充実した人生を送れる社会実現に貢献することを目指す本プロジェクトについて、4社の社長と経済キャスターの小谷真生子氏が語り合った。

登壇者

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経済キャスター小谷 真生子
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三菱UFJ信託銀行 取締役社長長島 巌
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みずほ信託銀行 取締役社長梅田 圭
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三井住友信託銀行 取締役社長大山 一也
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りそな銀行 代表取締役社長岩永 省一

相続・事業承継… 
4社で力合わせ、信託をもっと身近に

小谷 信託銀行4社はライバルですね。「信託未来プロジェクト」に4社で取り組む目的は何ですか。

長島 そうですね、営業上はライバルですが、信託を使って、相続、少子高齢化対策とか、いろいろな共通の取り組みをやっています。そこで、一度4社で力を合わせたら、商品開発や広報宣伝でもっと新しいことができると考えました。残念なことに信託は若い方たちによく知られていない。より多くの人に知ってもらうことに取り組みたい。SNSやYouTubeなどで情報発信することも考えています。

小谷 認知度を上げて、信託の力で社会課題の解決を図ろうということですね。そもそも信託とはどのようなものだと考えればいいですか。

登壇中の小谷氏の写真
経済キャスター 小谷 真生子氏

岩永 信託には様々な機能があります。一つは時間の転換機能。大事な資産をしっかり次の世代に譲りたい方には、遺言信託でお手伝いができます。元気なうちに承継の想いを託していただき、いつか訪れる相続で想いと資産を次世代の方々に伝えます。高齢になると健康に不安が生じるし、認知症も気になってくる。しっかりした判断ができるうちに考えることが大事です。若い人たちには資産形成をどんどんしてもらいたい。信託が財産を守ります。

梅田 信託の特徴として資産転換機能もあげられます。企業が保有する不動産などへの投資は、資産規模やリスクが大きすぎることが多い。でも、分けたり束ねたりして小口にすれば、個人や企業が投資しやすくなります。不動産投資信託(REIT)はその代表例です。ほかにもブロックチェーンを使った小口化商品などがあり、商品性を日々改良しています。

金融知識の浸透・少子高齢化・ESG・人的資本経営 
4つの課題に照準

小谷 プロジェクトではどのような社会課題の解決を探っていくのでしょうか。

長島 金融知識の浸透、少子高齢化、ESG(環境・社会・企業統治)、人的資本経営の4つのワーキンググループを考えています。共同研究や商品開発といった活動も考えていきます。

小谷 4つとも大事なテーマですね。中でも金融知識の浸透は日本が遅れていると言われて久しい。どう啓蒙し、広げていきますか。

大山 まず、時代の変化を知ってもらう必要があります。昭和の時代は金利が高かったから、退職金を預金にすれば一定水準の老後生活を送れた。ところが、令和においては若いころから老後に備え資産形成に取り組まなければならない。働いて稼ぐだけでなく、お金にもしっかりと働いてもらう必要がある。三井住友信託銀行の調査では、学校や職場で金融教育を受けた経験のある・なしで、その後の資産形成に年間15万円ほどの差がつくという結果が出ています。

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三井住友信託銀行 取締役社長 大山 一也氏

大山 やるべきことは2つ。1つ目は職域における金融教育。信託銀行は確定拠出年金(DC)を通じて企業の従業員向け投資教育に携わってきましたが、今後はDCにとどまらない教育の準備をしていきたい。2つ目は学校における金融教育。今年から高校での金融教育が義務化され、当社にも相談が来ています。国民全体の金融リテラシーの向上に貢献したいと考えています。

小谷 少子高齢化でも信託の活用はポイントになると思います。

梅田 人生100年時代の到来で、老後の備えや財産の承継に関連したニーズが高まっています。加えて、高齢化社会には自宅の見守りサービスや詐欺防止のシステムなども欠かせません。金融から少し離れたところもプロジェクトに組み込みたいと思っています。

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みずほ信託銀行 取締役社長 梅田 圭氏

梅田 また、新型コロナウイルスの感染が広がってから、社会貢献を意識した相談が増えています。例えば貧困家庭や発展途上国の教育、社会インフラの整備などに、亡くなった後に自分の財産を使って貢献したいという方々です。その橋渡しもやっていきたいですね。

小谷 もっと早く取り組んでほしかったという方が大勢いらっしゃると思います。自分の財産を誰に信託するか。コロナ禍で高齢者だけでなく若い方々も不安を感じています。若いときから備えるためのメニューを、プロジェクトで打ち出してほしいと思います。

ESGは大きな投資機会 
信託で資金の好循環を実現

小谷 次はESGにまいりましょう。ESGでは資金供給者、つまり機関投資家の立場から取り組んでいくということですか。

大山 脱炭素社会の実現には巨額の資金が必要です。それは資産形成をする人々の投資機会が増えることを意味しています。信託の機能で双方のニーズをマッチングさせ、資金の好循環を実現すれば日本の持続的成長につなげられます。

信託銀行は、機関投資家として企業に価値向上を促すとともに、銀行機能や不動産機能を活用したソリューションを提供できます。企業価値向上の果実を、年金や投資信託を通じ個人に提供することもできる。投資のあらゆる場面に関わっているからこそ、資金の好循環の担い手として役割を果たせる。それが信託銀行の歴史的使命であり、未来に向けた社会的使命なのです。

岩永 銀行機能の活用も重要です。例えば、サステナビリティ・リンク・ローンという商品があります。企業が環境対策などで設定した目標の達成状況により、金利等の融資条件が変動するもので、脱炭素など取り組みの後押しとなります。また、日本は中小企業が非常に多く、リソース面で取り組むのが難しいケースがあります。中堅・中小企業向けのパッケージやコンサルティング機能を提供することも欠かせません。

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りそな銀行 代表取締役社長 岩永 省一氏

小谷 4つ目は人的資本経営。旬なキーワードですが、信託はどう関わるのでしょうか。

長島 経済がソフト化していくと、設備を買うだけでなく、働いている人たちが知恵を出しあって商品を作ることが大切になる。働いている人を大事に教育しなければならない、ということです。

これまで私たちは年金信託で従業員の皆さんの年金を管理・運用してきました。ESOP信託で従業員の自社株保有の管理も手掛けてきています。今後は従業員教育や福利厚生の充実に取り組む企業が増えると思います。

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三菱UFJ信託銀行 取締役社長 長島 巌氏

小谷 企業で働く従業員や様々なステークホルダーと直接関わっていくということですか。

梅田 コーポレートガバナンスのあり方は大きく変わり、どんどん進化しています。利益還元だけでなく、より長期的、持続的な成長戦略を求めるようになった株主にどういう情報発信をするか。従業員のエンゲージメントを高めるために、年金信託、ESOPをどう導入し、改良するか。取り組む余地はたくさんあります。

信託をもっと世の中の
役に立つものに

小谷 プロジェクトにとても期待しています。意気込みを一言ずつお願いいたします。

長島 信託銀行4社でプロジェクトをやるのは初めてだと思います。知恵を出し合って、発信、提言、調査に取り組み、信託をより世の中の役に立つものにしたい。知ってもらいたい。いいアイデアが出てくるといいですね。

梅田 わくわくしています。テーマが4つ上がっていますが、半年、1年とやっていくと、予想しなかった社会課題がまた出てくると思います。4社でしっかりやっていくことが大事だと思います。

各社の代表4名による記念撮影

大山 日本の持続的成長には資金の好循環が必要です。そのためにも、より多くの方に信託を知っていただき、お客さまと社会の豊かな未来を実現する。次の信託100年を切り開いていきたいと思っています。

岩永 我が社も盛り上がっています。資産形成や承継といった信託が得意とするサービスをもっと定着させたい。信託が身近な存在になるように力を合わせていきたいと思います。

小谷 若い人から高齢の方まで、皆さんに関心をもっていただけるといいですね。プロジェクトからの発信をお待ちしています。

各社のマスコットキャラクターの写真