NIKKEI 100年の資産形成

GOOD LIFE JOURNEY

人生のBA(場) 創る、育てる

相次ぐ値上げやコロナ禍、環境問題など地球規模の懸念……。
私たちは新たな豊かさや暮らしを探し、つくり、育てることを問われています。
福島県に開いた「TOKIO-BA」でさまざまな「つくり育てる」に挑戦する
3人の思いを糸口に「GOOD LIFE」の場(BA)を実現する住まいや
お金について考えてみませんか。

株式会社TOKIO インタビュー TOKIO-BA

場づくり、武器は「経験」

設立から2年を迎えた株式会社TOKIOは会社としての方向性をさらに明確に打ち出そうと、思い入れも深い福島県に広大な土地を購入し、昨年5月に「TOKIO-BA」をスタートした。長年培ってきた「経験」を強みに、そこに新たな挑戦を積み重ねて、決して「折り返し」ではない人生100年の場をつくり、育てる──。新年を迎えた3人が強い決意と意欲を語った。

特別インタビュー株式会社TOKIO

2021年4月1日、社長に城島茂氏、副社長に国分太一氏、松岡昌宏氏が就任し、株式会社TOKIOを始動。コンセプトに「なんでもつくろう!」を掲げ事業を展開。出演者としての目線から、さまざまな企業との企画を実施。今後もまた新たな企画を順次発表予定。

「2期目」が大切

──株式会社TOKIOとして2年目を迎えた2022年。振り返ってみると、どんな年でしたか?

城島 2021年はTOKIOが会社を立ち上げたという話題もあり、注目される年でした。大切なのは2期目ですから、いろいろと準備をしてきました。そのなかでまずは、福島県の西郷村に広大な土地を手に入れて、「TOKIO-BA」として発表できました。

国分 「TOKIO-BA」は、会社立ち上げの際の企画書に“アウトドアプロジェクト”と書いてから、ずっと準備してきました。もちろん不安もありましたが、新たな挑戦に向けてスタートできてとてもよかったと思います。それに丸亀製麺さんやネスレさんなど、僕たちをいち企業として捉えて協業してくださる企業もあり、株式会社TOKIOとしてこれからやっていく自信になりました。

松岡 ネスレさんとは、沖縄の耕作放棄地で新しいコーヒー豆をつくるプロジェクトを数年計画で進めています。丸亀製麺さんとは昨年に引き続き、僕がレシピ開発から加わった新メニューの第2弾を昨年11月に発表できて、それも軌道に乗ってくれたのでまずはひと安心です。

インタビュー中の城島氏の写真

──新メニューは松岡さんからの提案だったそうですね。

松岡 料理が好きなので、「レシピありますけど、何かメニューつくりましょうか」と提案したところ、丸亀製麺さんが「いいんですか?」と乗ってくれたんです。国分が企画した「TOKIO-BA」もそうですが、自分から発信しないと物事は始まりません。

城島 タレントとしてなら単にCM出演だけだったかもしれませんが、僕たちの武器は経験です。それを生かしてこそ、起業の意味がある。

松岡 やりたい気持ちばかりでやらないと後悔しますけど、やって失敗してもそれは糧になりますから。

TOKIO-BA ロゴ
「TOKIO-BA」ってどんなところ?

福島県と栃木県の県境、那須東麓にある西白河郡西郷村。そこに東京ドーム約2個分の広さを誇る「TOKIO-BA」がある。「常に進化するBA=場」として、訪れた人とともに「つくり育てる」ことを楽しめる場になっている。ロゴは国分氏のデザインで、背景の丸は地球、そこに赤で「TOKIO-BA」の輪郭をかたどった。数字はこの場所の座標を示す。県と協業し、周辺市町村の産品を販売するマルシェ企画「フクシマBAルシェ」をはじめ、広くアイデアを募り、参加者とともに形にしていく取り組みを行っている。

リスク覚悟の上

──「TOKIO-BA」を最初に訪れたときの印象は?

国分 初めて3人で行ったのは3月の雨の降る日でした。何もない広大な土地を前に、おのおのがいろいろな想像を膨らませましたね。

城島 東京ドーム約2個分ですから、あまりの広さに、どんな地図を描こうかとワクワクしたのを覚えています。

松岡 野原があって、その向こうには森もある。動物のフンもたくさんの種類があって自然が豊かだなと。僕らはつくづく、自然に縁があるんだなと感じましたね。あと、「まず水出さなきゃ!」と思いました。インフラですから。僕らには担当があって、城島は土にうるさいですし、国分は全体の企画とか木工が得意。僕は水担当。いい水が出てくれて、これもひと安心でした。

水担当・松岡氏の開拓地。大きな池造りを計画中。
水担当・松岡氏の開拓地。大きな池造りを計画中。
畑担当・城島氏の開拓地。綿花の種が植えられている。
畑担当・城島氏の開拓地。綿花の種が植えられている。
森担当・国分氏の開拓地。秘密基地やツリーハウスを構想中。
森担当・国分氏の開拓地。秘密基地やツリーハウスを構想中。

──番組「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系列)でも自然を相手にされてきました。会社としてあえて「BA(場)」を持ったのはなぜでしょうか。

国分 会社を立ち上げるにあたり、僕たちがこれまで経験してきたことを生かせる場所をつくるのは必然だと思いました。最初は夢でもいいと。それがこうして形になり、すぐにはかなわなくともアイデアを持っておくことが「はじめの一歩」になるんだという経験をさせてもらいました。

松岡 正直に言えばリスクです。何かを始めるにはお金がかかる。でも、背負わなければダメなんです。それを背負うことで責任感が生まれて、良い緊張感も持てますから。

城島 実は簡単なことで、やりたいか、やりたくないかではないかと。企画担当の国分がずっと考えてきたアイデアを聞いたとき「面白い!」と思いましたし、素直にやりたいと感じたんですよ。

──「TOKIO-BA」は、どんな場所になるのでしょう。

国分 商業施設や遊園地のように、普段は完成したところに遊びに行きますよね。でも、何もないところにみんなで何かをつくっていけたら、「あれは俺がつくったんだ!」って自慢できるじゃないですか。アトラクションをみんなで道具を使ってつくることが一つの目玉にもなりますし、そこが唯一無二の場所になるのかなと。とはいえ福島まで頻繁に来られない方もいるので、アプリで今の様子を細かく発信しながら、みなさんからはアイデアをもらっています。

松岡 僕らの活動の根本には、「どうすればみんなが喜んでくれるか」という共通点があります。うどんのレシピもそう、曲づくりも芝居だってそうです。「TOKIO-BA」も、そこでしか経験できないことがあるとすれば、大人も子どもも関係なくて、永遠に少年・少女の心を持った人たちがいつでも訪れることができる場所にしたい。

城島 みんなでつくって、「TOKIO-BA」を育てていけたら絶対に楽しい。大きな先行投資ですが、そこに笑顔が生まれるのならやるべきではないかと思っています。

インタビュー中の松岡氏の写真