人生100年は折り返さない
「楽しむ」を急ぐ
──これまで番組などでつくること、育てることを長く経験されてきました。そこで得られたものとは?
国分 つくり育てるって、すごい喜びなんだと思います。例えば野菜なんて、手を加えると素直に大きくなってくれます。もちろん失敗もします。でも、自分でやるから失敗もポジティブに考えられるんです。「カタチは悪いけど、かっこよくない?」って。
松岡 僕らなんて失敗だらけですからね(笑)。ものをつくるって、失敗も含めて学びが多いんです。だから、年齢に関係なく新しいことにチャレンジすることは楽しいですよ。
城島 株式会社TOKIOの強みはものづくりですが、何か成し遂げようと行動して、うまくいかないことも見せていこうと思っています。それを経験として、次にどうしようか考えて、また進む。それも僕らの強みだと思います。

──2023年はどんな年にしたいですか?
国分 例えば、夏野菜は夏にしかつくれません。失敗したらまた来年です。でも人生であと何回、夏を迎えられるんでしょうか。そういう時間軸で考えると、急いで遊ばなきゃダメなんですよね。
松岡 本当にそう思う。面白いことって、その時々で見えてくるものなので、それをずっと面白がっていたいですね。
城島 僕も52歳になり人生100年時代も折り返しといわれますけど、折り返して同じ景色は見たくない。真っすぐ進んで新しい景色を見たい。50歳を過ぎても夢がある、夢だけはデカい会社であり続けたいと思います。
国分 人生っていろんなことが起きます。でも変化を楽しむことが大切です。僕らにも大きな変化があり、会社を立ち上げ今がある。今年もそういう気持ちを持ち続けて、何事も楽しみたいですね。




僕たちの「場」、TOKIO-BAへようこそ!
時間はかかってもいい
みんなの手で、だからいとおしい
鈍色(にびいろ)の空に吐く息が白い。前日に初雪もちらついた厳寒の森には一人、早朝から黙々と鉈(なた)をふるう国分太一氏がいた。
「おはようございまーす!」
振り返った笑顔は寒さで少し赤らんでいたが、張りのある、よく通る声だった。
福島県の南に位置する西郷村。地域の人が、「みんな那須までは来るけど、白河までは来ないねえ」という場所に、TOKIOの3人は新天地を見いだした。
「TOKIO-BA」と名付けられた東京ドーム約2個分の広大な土地。彼らはここに「まだ、なんにもない。だから、なんでもできる」と思いを寄せる。城島氏は綿花を植え、国分氏は森を切り開き、松岡氏は水場に手を加える。少しずつだが、何もなかったところに可能性が芽吹いていた。


あるとき遊びに来た人が「頑張って掘れば、ここらは温泉が出るんだよ」と教えてくれた。すかさず「じゃあ頑張ります。でもお手伝い、お願いしますよ!」と返す。以来「温泉」も夢の一つに加わった。地元の人々と仲間意識が生まれる交流も楽しい。
地下80メートルまで掘った井戸は、夏場には子どもたちが夢中になって水を出した。あふれた水で周りの土が掘れて、傾斜に沿って流れができた。芝は水浸しだ。それを逆手にとって、池をつくり、畑へ水を引こうと計画しているという。彼らの発想は実に豊かだ。番組で20年以上、自然と親しんできたからこその視点がある。
TOKIO-BAには3年後、5年後を見据えたプランもあるが、その通りでなくていいと国分氏は言う。
「いろんな方のアイデアを募りながらつくっていきたいんです。人が喜ぶ場所やものをつくるって、時間がかかるということを知ることが大切ですよね。だからこそいとおしくなるんじゃないかな」
夢を追う少年のように語る横顔から、「場づくり」への尽きない思いが伝わってきた。
