NIKKEI 100年の資産形成

【100年の資産形成 リレーインタビュー】資産形成の潮流を語る vol.4「まずは投資を始める。そして続けること。 「二十歳になったら2万円」」 みずほフィナンシャルグループ 執行役 リテール・事業法人カンパニー共同カンパニー長 福家 尚文氏

人生100年時代を迎えるいま、多様化するニーズに応えるために金融機関には、顧客の資産状況やライフプランを正しく理解し、最適な金融商品を最適なタイミングで提供することが求められる。みずほフィナンシャルグループは、銀行・信託・証券が一体となった総合資産コンサルティングを実践することで、幅広い顧客ニーズに対応する。同グループの福家尚文氏は「投資を通じて家計資産を活性化させることは、日本のサステナビリティーに寄与する」と話す。

アイコン銀・信・証一体となった
別次元の総合資産コンサルティング

 政府が掲げる「資産所得倍増プラン」の柱となるNISAの抜本的拡充は、貯蓄から投資への流れを加速する上で満点の制度改革だ。国民がこの投資を促す税制優遇の機会を捉えるために金融機関が果たすべき役割は大きい。2,000兆円を超える家計資産(*1)を活性化させることは、日本社会のサステナビリティーに大きく寄与する取り組みだ。

 Life Shift100年時代を迎え、ライフスタイルの多様化が進んでいる。お客様一人一人に寄り添って丹念にお客様との信頼関係を積み上げなければ、ライフプランの考え方に基づいた人生ポートフォリオ全体を捉えることはできない。そこで重要になるのが「聞く力」だ。データ分析を超えた”嗅覚力”が問われている。お客様のニーズを「捉える、察知する、明らかにする、先取りする」領域が、人が介在する相談(コンサルティング)の存在意義と考える。

 そして、預金や決済機能を中核に、保険、資産運用、相続、不動産まで、あらゆるお金にかかわる相談に的確に応えることができる、別次元の総合資産コンサルティング態勢が〈みずほ〉の強みだ。

イメージ図

アイコン金融サービスは、
人の心を動かすビジネス

 金融商品は形がないし匂いも色もない。また購入後に価格が変動し価値が変わる。それだけに人(言葉)による丁寧な説明が極めて重要。言葉によってお客様に正し理解を求め判断を促す。お客様のニーズを正しく理解してわかりやすい説明を通して、幅広い選択肢の中から最適な提案を継続的に提供すること。お客様の最善の利益の追求や、ふさわしいサービスの提供にこだわる。たとえお客様が欲しいと言ってもトータル的に判断してノーと言える矜持(きょうじ)が求められる。プロの倫理観「知りながら害をなすな」を徹底的に追及する。もっとも何千もの金融商品を並べて「どうぞお選びください」の自動販売機型では、自分に合ったものを見つけ出すのは極めて困難だ。IT(情報技術)基盤がますます進化する中で、魅力的なアドバイザーや店舗などのリアルなお客様接点の重要性が高まる。もちろん個人技に頼るのではなく組織としてのコンサルティング態勢を磨く。生産性の向上やコンサルティング力の補完、顧客満足度の向上に向けITツールやDXを加速する。人による説明力とそれを補完するITが相乗効果を発揮するハイブリッドモデルだ。人、店舗、PC、スマホ、コンタクトセンターそれぞれのチャネルが上質で有機的に連携するオムニチャネルによる接点を深めることがポイントだ。ただし、人手不足の時代の決め手は人間力。キーワードは丁寧できめ細やかな対応とふれあいと考える。

アイコン投資アドバイスの軸は、
Time,Not Timing
まずは投資を始める。
そして継続すること。

 世界経済はいままでの100年もこれからの100年も、不安定で、不透明で、不確実なことが確実だ。足元でもウクライナ情勢に新型コロナウイルス禍にインフレ懸念等、不安要素がたくさんある。でもだからと言って一定のリスクを取らないで円預金に置いているだけでは、投資の果実を得ることはできない。投資で成功する秘訣は、「長期・分散・継続」だ。ただし実践している人は少ない。まずは始める。そして継続すること。世界経済は、テロ、天災、戦争、疫病といろいろな危機をすべて飲み込んで成長を続けている。目先の恐怖で右往左往しないこと。 投資で大切なのはマーケットに居続ける時間であってタイミングではないと歴史は語っている。Time,Not Timing。「二十歳になったら2万円」。世界株式で70歳まで50年間毎月積み立てると、過去実績では年複利6.9%、1億円を超える計算になる。(*3)より早い段階からの積立投資が有効だ。老後資金不足問題や年金不安も一掃できる。積立投資は日本社会のサステナビリティーに大きく寄与する。未来は今作る。今やらないと未来に輝くことはできない。

アイコン日本の家計資産の偏りを改め、
豊かさの増進に貢献する
FDをエートス
(変えることのできない行動様式)
レベルまで昇華する

 〈みずほ〉の個人資産運用ビジネスの大義は、「日本の家計資産の偏りを改め、豊かさの増進に貢献する」ことだ。投資信託や保険など金融商品は、一般的には複雑で難しい商品が多い。だからこそお客様の購買代理人としての支援ニーズは大きく、納得いくまでのきめ細かな説明が必要だ。お客様のニーズを正しく把握し、金融商品の正しい理解を促し、お客様にとって最適な商品を提案する。FD(Fiduciary Duty=受託者責任)をエートス(変えることのできない行動様式)レベルまで昇華する。愛ある取引を大切に。愛は心で受ける。ロボットには心はない。目指すモデルは自分の母親を紹介したくなるアドバイザーだ。

(*1)日本銀行「資金循環統計」、2022年9月末時点の数値。

(*2)R&I 顧客本位の投信販売会社評価」(以下、「本評価」)は、R&Iが投資信託販売業務を行う、銀行・証券会社・信用金庫などの金融事業者がいかに「顧客本位の業務運営」を行っているか、その取組方針や取組状況を評価するものです。本評価は、投資信託販売業務を行う販売会社の「顧客本位の業務運営」の取り組みに関するR&Iの意見であり、事実の表明ではありません。R&Iが本評価を行うに際して用いた情報は、R&Iがその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、R&Iは、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。また、その正確性および完全性につきR&I等が保証するものではなく、特定商品の購入、売却、保有を推奨、または将来のパフォーマンスを保証するものではありません。本評価に関する著作権等の知的財産権その他一切の権利はR&Iに帰属しており、無断複製・転載等を禁じます。なお、株式会社みずほフィナンシャルグループに対する本評価は、株式会社みずほ銀行、みずほ信託銀行株式会社、みずほ証券株式会社の各社に対する本評価を総合したものです。

(*3)1969年12月から2021年6月の期間のうち、世界株式指数(円ベース)で各月末から50年間積み立てした場合の実績の平均値。また70歳まで50年間積み立てした場合は、同様に50年間積み立てした実績の平均値。過去の実績をもとにしたシミュレーションであり、将来の投資成果を示唆、保証するものではありません。

リレーインタビューをもっとみる