SHISEIDO
OUR MISSION is BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD
代表取締役 社長 兼 CEO 魚谷 雅彦氏

ダイバーシティ深め多彩な美を追求ダイバーシティ深め多彩な美を追求

代表取締役 社長 兼 CEO 魚谷 雅彦氏

女性の活躍推進にいち早く取り組んできた資生堂。同社では女性の活躍に限らず多様な人材による様々な働き方が進んでおり、コロナ禍でも多くのイノベーションを生みだす原動力となったという。多様性の推進による同社の強みとは何か。ダイバーシティ経営を加速する同社社長の魚谷雅彦氏、執行役員の岡部義昭氏、同・堀井清美氏、プレミアムブランド事業本部の北原規稚子氏に聞いた。

魚谷 雅彦氏
ダイバーシティを深めた成果は、前例にとらわれず、突出を恐れない自由な発想が社内に生まれたことだと魚谷社長は語る。

先日英国のビジネススクールの研究者に取材を受けた際に、資生堂のダイバーシティに対し高い評価を受けました。当社は女性社員の割合が高く、早くから育児休暇や保育施設の導入など女性が働きやすい環境づくりを進めてきました。女性の役員も多く、私自身現在、企業の役員に占める女性の割合向上を目的とする「30% Club Japan」の初代会長でもあります。

もちろん当社におけるダイバーシティとは、男女比のことだけではありません。日本人も外国人も、生え抜きの人も中途採用の人も、職歴も能力も様々な人材が様々な働き方をしている状態を指します。

なぜそうした働き方が必要なのか。それは今後の成長にダイバーシティが不可欠であるとの思いからです。例えばニューヨークの女性になぜ化粧が必要かを聞くと「自信を得るため」と答えが返ってきます。同じ質問を東京の女性にすると「身だしなみのため」、北京の女性に聞くと「内面の美を引き出すため」と化粧に求める価値もそれぞれです。もちろん男性のニーズも考慮しなくてはなりません。こうした多様なニーズに応えるモノやサービスを生み出すためには、やはり多様なタレントが不可欠です。

多様性向上のための取り組みも必要です。例えば、男性の管理職には後継者選びに際し必ず女性候補を挙げることを義務付けています。中途採用にも力を入れており、即戦力の能力を持つ人を性別も人種も国籍も問わず採用するジョブ型採用を進めています。

社内でダイバーシティが進み何が一番うれしいかというと、いろいろな人、特に若い社員が「私はこう思う。こうすべきです」と声を上げてくれることです。経営方針などに意見するのは勇気がいることだと思います。でも今の資生堂は異なる様々な意見に耳を傾け、尊重する風土があります。

彼らの声は危機に際し大きな力を発揮します。今回のコロナ禍でも現場のビューティーコンサルタント(BC)の知恵でレッスン形式の接客が考え出されました。またお客様の困りごとを受け、今まででは考えられないような短期間でマスクにつきにくいBBクリームや、消毒液の手荒れに配慮したハンドクリームを開発できました。こうした成果は、前例にとらわれず、突出を恐れない自由な発想からこそ生まれます。今後のグローバルでの成長の中でも大きな力を発揮してくれることでしょう。

多様性が生み出すイノベーション期待を上回る価値の提供へ多様性が生み出すイノベーション期待を上回る価値の提供へ

岡部 義昭氏
執行役員
チーフブランドオフィサー
ブランドSHISEIDO
岡部 義昭

資生堂という会社の名を冠したブランド、それが「SHISEIDO」というブランドです。世界87か国・地域に展開するグローバルプレステージブランドと位置付けられており、銀座の旗艦店ではあらゆる肌に対応する30色のファンデーションや五感を使って化粧品を試せるデジタルテスターを導入するなど多様なお客様のニーズに対応できます。

「SHISEIDO」をプロデュースするチームもまた多様性に富んでいます。メンバーの国籍は10以上、マーケティング担当に加え、商品開発、海外との交渉やファイナンス担当、PRやデジタル担当の人材もそろい、まるで一つの会社のようです。

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※撮影時のみマスクをはずしています。

私は多様性の一番の果実はイノベーションであると考えていますが、今年はこのチームから、消毒液の手荒れに悩んでいるというお客様の声をヒントにアルティミューンのハンドクリームが生み出されました。企画から発売までわずか数カ月。そのこと自体もイノベーションですが、他にもミレニアル世代のサステナブル志向にマッチした製品開発なども進めています。常にお客様の期待を上回る新しい価値の提供。それが「SHISEIDO」の使命であると考えています。

コロナの影響で営業や接客制限も新たな工夫や意外な才能続出コロナの影響で営業や接客制限も新たな工夫や意外な才能続出

堀井 清美氏
執行役員
チーフビューティーストラテジー
オフィサー
堀井 清美

コロナの影響により、当社が従来おこなってきた百貨店や専門店などへの直接の営業や、BCによるお客様との対面でのカウンセリングなどが難しくなりました。そんな中でも、BCからの発案でレッスン形式という新しい接客スタイルが生まれたことは収穫でした。消毒をした化粧品をトレー経由でお渡しし、BCの説明を聞きながらお客様自身が鏡を見ながらメイクしていただくというスタイルです。BCがメイクを施すのではなくお客様自身にしていただくことで、実際にお客様にとってどんな点が難しいのかといった新たな気づきが生まれました。最近は男性BCも増えており女性とは異なる視点でのアドバイスが好評です。

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ライブストリーミングに出演する営業担当。

以前からデジタルコミュニケーションの導入を進めていましたが、一気に進んだのがライブコマースです。営業担当が得意先と調整しながら配信内容に斬新なアイデアを出してくれたり、意外なタレント性を発揮するBCが現れたり。そんな多様な才能を生かせたのは管理職としてもやりがいがありました。お客様や会社の未来を考えようというプロジェクトが立ち上がったときは、こうした現場社員からの積極的な意見が相次ぎ頼もしかったですね。

チームは宝の山の本棚不測の事態にも迅速に対応チームは宝の山の本棚不測の事態にも迅速に対応

北原 規稚子氏
プレミアムブランド事業本部
メイクアップマーケティング部
バイスプレジデント
北原 規稚子

マキアージュやインテグレートなどのブランド戦略を任されています。同ブランドで日本の女性の美をリードしているという自負がありますが、特に気を配っているのが生活者のニーズを捉えているかということです。今回のコロナ禍で聞こえてきたのは「マスクにファンデーションがついて化粧が崩れてしまう」という切実な声。そこでマスクにつきにくく、しかもつや肌が保てるBBクリームを、通常1年ほどかかるところを前例にないスピードで開発、11月に発売しました。

これを実現したのが、研究者やBC、マーケティングのプロなど多様な職歴や人材からなるマキアージュチームです。私自身はこうしたチームを「宝の山の本棚」と考えています。少し意見が散らかっても、一つ一つ整理しながら「何かいいものが出てきたよ」と見つけていくのが私の役割だと思います。

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※撮影時のみマスクをはずしています。

今はチームでSNSでのライブコマースなどに挑戦しています。今後もコロナのような不測の事態が起き市場が不安定になる可能性がある中で、デジタルの役割は高まるばかりでしょう。そんなときに迅速に対応していくにはこうした多様性を持つチームが欠かせません。