サステナビリティ経営の未来
~SXを支える企業価値創造と人的資本経営~

持続可能な社会と
生き残る経営を両立

さまざまな環境・社会・経済問題への配慮やその課題を解決することで、事業のサステナビリティ(持続可能性)を図る経営の実践において、自社らしい価値を創出することやその基盤である人への投資、企業文化の変革などが重要な課題になりつつある。先ごろ開催した日経スマートワーク「サステナビリティ経営の未来」では、サステナビリティ経営の実現に向けた企業価値創造、人的資本経営の観点から行政、学識者、機関投資家、実践企業らが一堂に会し、議論を交わした。

本シンポジウムは日経チャンネルで
アーカイブ視聴できます。
https://channel.nikkei.co.jp/202212smarkwork_sx/

基調講演

SXと人的資本経営を推進

一橋大学 CFO教育研究センター長/「人的資本経営コンソーシアム」会長 伊藤 邦雄氏

一橋大学
CFO教育研究
センター長/
「人的資本経営
コンソーシアム」会長

伊藤 邦雄

 自身の利益を追求すれば市場機能を通じて全体の富が最大化するという考えはさまざまな悲劇をもたらした。サステナビリティ、社会インパクトが投資判断の基軸に入り、企業価値の決定因子は有形資産から無形資産へ移ってきた。
 サステナビリティには企業中心の自社セントリック(中心とする)なサステナビリティと、社会セントリックなサステナビリティの2種類あるが、これは二項対立する場合がある。自社の存続に執着すると外部不経済への想像力が不足し、逆に社会に偏ると慈善事業的になり投資家を置き去りにする。2つを正反合するには、自利利他融合、循環・共生思考を持ち、2つのサステナビリティを同期化する、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)が必要になる

一橋大学 CFO教育研究センター長/「人的資本経営コンソーシアム」会長 伊藤 邦雄氏

一橋大学
CFO教育研究センター長/
「人的資本経営
コンソーシアム」会長

伊藤 邦雄

 SXに焦点をあてた伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)と価値協創ガイダンス2.0を経済産業省が昨年8月に公表。2020年に人材版伊藤レポートを公表した翌年にコーポレートガバナンス・コードが改訂、人的資本への投資と開示が明示された。人的資源から人的資本という見方に変え、人的資本の価値を高めてサステナビリティ経営と組み合わせ、それを通した企業価値の持続的創造が重要になる。
 サステナビリティ戦略と連動するサステナビリティ人材とは、自社の重要課題、マテリアリティーを踏まえた上で、ESG(環境・社会・企業統治)それぞれに精通している人材だ。ROE(自己資本利益率)という経済価値と、社会・環境価値を統合し、競争力と共創力を高めるESGを併せ持つROESG人材の育成が必要になる。
 SXを人的資本経営に組み込むには、サステナビリティを経営戦略の真ん中に置くことが前提となる。その上でガバナンスの重要アジェンダや従業員エンゲージメント、企業文化や社員対話、パーパスなどに組み込んでいく。人的資本の情報開示に関しては、岸田総理が国会で「わが国でも非財務情報の開示ルールを作る」と宣言。それを受け内閣官房に非財務情報可視化研究会が作られ、「人的資本可視化指針」を公表した。
 開示する人的資本情報は大きく分けて2種類ある。一つは女性管理職比率などの定量的な比較可能な情報。もう一つは自社の独自性のある取り組みだ。
 サステナビリティ戦略には実行力が大事だ。だが、これまで実行を担う人材情報が開示されてこなかった。人的資本の情報開示は企業側より投資家の方が関心がある。見せかけだけの「ESGウオッシュ」になっていないか、「非財務」が「財務」にどう転換するか、ガバナンスがEとS、サステナビリティを支えるものになっているかなどに関心が高い。
 さらにサステナビリティ経営の実行を担う人材戦略が構築・実践されているか、組織文化が心理的安全性を含め多様性を重視した個人の前向きな行動変容を促すものになっているか、サステナビリティを実現する社員エンゲージメントになっているかということが人的資本経営の中心的テーマになる。人的資本の本質を見つめ、SXを担うのは人材ということを認識して、人的資本経営を進めてほしい。

人材戦略の構想図
人材戦略の構想図

講演

自社らしい戦略を

日本能率協会コンサルティング 代表取締役社長 小澤 勇夫氏

日本能率協会
コンサルティング
代表取締役社長

小澤 勇夫

 サステナビリティ経営という考えは以前から存在していたが、主眼は企業がうまく生き残ることにあった。環境は大きく変わり、経済性と社会課題の解決を両立しながらステークホルダーと共存して持続的経営を行うことが求められている。経営のトランスフォーメーションを進める際には、企業に要求される価値創造の変化、ステークホルダーとの関係性の変化、多様な意見を企業がどう受け止め事業に反映させるか、といった経営課題への対応が必要だ。
 日本能率協会グループ3社では、サステナビリティ経営の現段階での変革状況把握のため「サステナビリティ経営課題実態調査2022」の結果を発表した。国内主要企業約3000社にアンケートを実施、有効回答数は約200社だった。設問ではサステナビリティ経営の取り組み姿勢をパッシブ、アクティブの2つに分け、カギになる設問として事業変革の方向性について聞いた。調査から見えたのは、主要事業の今後の見通しについて「10年後も通用する」と回答した企業は、長期的な視点で経営を行いサステナビリティ経営の先進企業といえるということだ。例えば「10年後も通用する」と回答した企業の約半数が「企業理念とサステナビリティ経営方針の連動のために取り組んでいることは何か」という設問に対して、企業理念、パーパスなどを見直していると回答した。さらに6割以上がグループ企業と共にビジョン戦略を策定していたのも特徴的だ。
 次に1990年代に提唱された市民主義経営を紹介する。当時の強すぎる日本企業に対し、謙虚かつ社会のためになるべき、と訴えた。経営の方向としては「最も重視すべきは新しい価値創造」「世界のあらゆる地域の市民から歓迎されることを目指す」「市民に支持される」「単に産物の供給者ではなく文化の発信者であるべき」が示された。時代背景は今とは異なるが、現代においても価値のある提言だ。今後のサステナビリティ経営実現では、この4つに加え、社員の参画機会の創出と当事者意識の醸成、自社らしさの追求、現場実態に根ざした「一挙両立」テーマの設定、外部との積極的な連携と人材育成を可能にする企業文化づくりがポイントだ。自社の未来を切り開き社会を変えていこうとする日本企業の参考にしてほしい。

セッション1

パネリスト

東京都立大学 大学院 経営学研究科 教授/
東京都立大学 経済経営学部 教授

松田 千恵子

経済産業省 経済産業政策局 企業会計室長

長宗 豊和

インベスコ・アセット・マネジメント
日本株式運用本部 ヘッド・オブ・ESG

古布 薫

日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー

菊池 健司

モデレーター

キャスター

榎戸 教子

経営人材の育成が必要松田氏

カギ握る人的資本長宗氏

榎戸:SXの重要性について聞きたい。

長宗:経済産業省では昨年8月にSXに焦点をあてた伊藤レポート3.0、投資家と企業が建設的な対話を行うための手引としてSXの意義を取り込んだ価値協創ガイダンス2.0も併せて公表した。SX実現にはトップの強いコミットメントが必要だ。経営者の意識改革も重要であり、特定の部局に限らず会社全体として取り組むべきだ。投資家との対話では長期戦略の共有もカギになる。

松田:企業価値のうち、経済的価値を左脳、存在意義などの社会的価値を右脳とすれば、左右をつなぎ、統合した将来の姿を語るのが経営陣の役割だ。しかし、現状では中期経営計画が経営戦略として機能していない、相対比較で企業を評価する投資家の視点を理解していない、といった課題がある。実効性ある価値創造ストーリー作成にあたっては、まず戦略的な視野を十分に持ち、資本市場を理解した経営人材の育成が重要だ。

松田 千恵子氏

松田 千恵子

長宗 豊和氏

長宗 豊和

菊池:日本能率協会グループの「サステナビリティ経営課題実態調査2022」では自社の事業が「10年後も通用するか」との問いに67%が「懸念がある」と答えた。一方サステナビリティ経営に先進的に取り組む企業の多くは「10年後も通用」と回答。強い企業とは未来の先取りができ、自社らしさを創出できる企業だ。現場課題の解決とサステナビリティ経営の実現という2つが一気にそろう「一挙両立」の経営が大事になる。

古布:サステナビリティ情報は企業価値拡大の持続性を判断するための重要な指標となる。だが投資家と企業の間には認識のギャップがあるのが実情だ。中期経営計画においてはIT(情報技術)投資、研究開発、人材投資に関する議論を資本市場と行うことが必要だ。投資家が企業との対話で確認したい点は、企業価値拡大の持続性に対して確信を得られるか否かだ。投資家と企業は企業価値拡大という同じ方向性を共有することが重要で、そのためにサステナビリティに関する対話が重要と考える。

投資家との対話が重要古布氏

未来語れる人材育てる菊池氏

榎戸:市場への発信、対話を進め十分な成果を得るポイントは何か。

松田:企業は、外部・内部資源、時間軸や優先順位を考えた上で、将来の目標への道のりを示す経営戦略を立てることが一つ。また討議の際は社外の目を入れること、社内では投資家の思考を知ることもポイントだ。経営戦略から財務、サステナビリティ推進など、各機能が連携して、一気通貫で会社のストーリーを外に出すことも必要。

菊池:社会の主役は若い世代で、社会や顧客、さまざまな業界の変化を知ることも重要だ。

古布:対話の場では、企業側からも資本市場との間に認識ギャップがある場合は積極的に質問してほしい。どのような目的、成果を求めて対話しているのか、双方で確認することも重要になる。

長宗:有益な対話には、統合報告書をより良くすることが前提。価値協創ガイダンスを活用して企業の価値創造ストーリーを構築してほしい。

古布 薫氏

古布 薫

菊池 健司氏

菊池 健司

榎戸:人的資本経営とSX推進のポイントは。

古布:SXを遂行すると事業撤退など痛みも伴うだろう。企業は変化に対応できるような人的資本構築が必要。個人には変化に応じ能動的なキャリアパス構築も必要だ。

長宗:カギは人的資本。社員一人ひとりにSXが浸透することが重要。

松田:経営人材の育成が重要。マネジメントのプロを育ててほしい。

菊池:未来を語れる人材をトップから新入社員まで育てることがポイントだ。サステナビリティ経営を支えるのは人材。他国から評価される日本型サステナビリティ経営の実現に期待したい。


「価値創造ガイダンス2.0」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/Guidance2.0.pdf

セッション2

パネリスト

【ビデオ登壇】早稲田大学大学院経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授

入山 章栄

コニカミノルタ常務執行役 人事、ダイバーシティ推進 担当

岡 慎一郎

積水化学工業取締役執行役員 人事部長

村上 和也

日本能率協会マネジメントセンター代表取締役社長

張 士洛

コーディネーター

日本経済新聞社 編集委員

石塚 由紀夫

【ビデオ登壇】

長期志向の「両利き経営」を

早稲田大学大学院経営管理研究科 早稲田大学ビジネススクール 教授

早稲田大学大学院経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授

入山 章栄

 変化が激しい時代では、企業はイノベーションを起こすことが求められる。それには「両利きの経営」という視点がカギであり、これはSXそのものだ。イノベーションを起こすには、自分から離れた知を幅広く見て組み合わせ(「知の探索」)、そこから選択して「深化」させていく。この両方を行うのが「両利きの経営」だ。
 ただし探索は失敗が多いため深化に偏りがちだ。それでも探索を続けるには、ざっくりとした未来像を描き、従業員や取引先などに納得して腹落ちしてもらう必要がある。これを「センスメイキング理論」と呼ぶ。ポイントは長期志向。未来にも残される課題、例えば環境や社会問題に注力してビジョンを考えること。一方で利益が出そうなものは深化して生き残る必要も出てくる。社会サステナビリティと企業生存サステナビリティの両方が重要。また変化を常態化する企業文化を作ることや、意思決定できる人材の育成に時間をかけてほしい。

早稲田大学大学院経営管理研究科 早稲田大学ビジネススクール 教授

早稲田大学大学院
経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール 教授

入山 章栄

SXによる成長を実現するための課題と方策
SXによる成長を実現するための課題と方策

新しい発想で人を育成岡氏

役割型人事制度を導入村上氏

組織・個人が自律を張氏

石塚:SX経営の先進企業の事例を聞きたい。

:当社の「人財」の基本方針は会社をプロフェッショナル「人財」集団に変貌させること。持続的成長の実現施策では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)「人財」育成、居住地や国籍などによらない適所適材の「人財」活用に注力。経営層に医学や心理学的観点から人と組織が最高のパフォーマンスを出すために必要な要素を学ぶレジリエンスプログラムを導入。経営層の変革は、会社全体がプロフェッショナル「人財」集団へ変貌する根幹になると考える。

村上:人事戦略は長期ビジョンと明確に連動させ、事業目的の達成と共に一人ひとりの活躍、挑戦を生む組織にしたいと考えている。2020年度に管理職層の人事改革に着手、今年度から役割型人事制度を導入した。誰にどんな役割を任せるのが最適かを経営主導でオープンに意思決定、役割に応じて報酬が決まる仕組みだ。同時に従業員の共感を伴う挑戦風土の醸成のため評価制度を改定、ビジョンの浸透にも力を入れている。

岡 慎一郎氏

岡 慎一郎

村上 和也氏

村上 和也

:人的資本経営で重要なのは、経営事業戦略と人事・人材開発戦略との橋渡しがしっかりできていること。「一挙両立」で重要な2つを同時並行、かつ自社らしくバランスを取って進められる会社はSX時代に生き残れる。人材に関しては、理念に共感してくれる良質な人材が重要。また「まず動く」という風土。結果を恐れず動き、後から振り返る文化に変えるべきだ。これからは組織も個人もどれだけ自律できるかがカギになる。

>張 士洛氏

張 士洛

石塚:見直すべき取り組みは何か。

:今までの人材育成は役員層の成功体験が元になっていた。社会の動きが激しい時代には新しい発想が必要になってくる。さまざまな人材の交わりを作り若い時から修羅場を経験させることが大事。短期的な売り上げ重視の発想をどう打ち破るかも課題だ。

村上:付加価値で勝負する加工メーカーとして、顧客や社会の変化を先取り、仕組みを変える必要性がさらに増している。そのために各人が変革を模索して行動を起こすことそのものを役割として認識し、実行してもらうことが課題だ。

:バックキャストで次に何をやるのか考えることが重要。プロダクト、プロセス、マインドに領域を分けてイノベーションに取り組むといい。主従の関係ではなく対等な関係で、マネジメントイノベーションを起こさなければサステナビリティ経営は難しい。

張 士洛氏

張 士洛

石塚:先進企業だからこそ見える課題は何か。

:世界中にいる社員を活用するという課題に取り組んでいる。しかしながら文化の違いを互いに受け入れる土壌がまだできていない。新規事業の目利き役をしっかり見極めることは課題だ。ベンチャー人材を社内に取り込んでイノベーションを起こしてもらう取り組みも始めた。

村上:これからの世代に企業経営は面白いと思ってほしい。役割が大きくなると苦労や責任が伴うものだが、管理職には何が役割なのかを明確に示し、"その仕事の魅力"が次代を担う人材の目標にもなってほしい。

:投資家は今の状態ではなく、変化できるか、挑戦しているかを評価する。失敗の容認風土を作ることも重要になる。「ING」、学び続ける思考が人的資本経営には必要だ。

石塚:強調したいポイントはあるか。

:企業の最重要資産は人。中長期視点で腰を据えて取り組みたい。

村上:人的資本に対し企業がどんな意思を持つのかオープンにする方向が強まるだろう。我々の人的資本への考えを社内外に示していきたい。

:一人ひとりを成長に導くには、誰がどこでどんな状態なのかといったログやエビデンスが重要。ポイントはさまざまな領域との対話。経営者には未来思考を持ってほしい。

企業メッセージ

クロスフィールズ共同創業者・代表理事 小沼 大地氏

クロスフィールズ
共同創業者・代表理事

小沼 大地

社会課題の現場へ「越境」

 クロスフィールズは「社会課題が解決され続ける世界」をビジョンに掲げるNPO法人で、ビジネスと社会課題の現場をつなぐ「越境」活動に2011年から取り組んできている。
 ビジネスと社会課題の関係性はこの10年で劇的に変化し、企業がビジネスを通じて社会課題の解決に取り組む機運が高まった。一方で、SDGs(持続可能な開発目標)をポーズだけ掲げて実体が伴わない「SDGsウオッシュ」も散見されるようになっている。
 昨今SXという概念が注目される背景には、こうした現状に警鐘を鳴らし、サステナビリティの実現に向けて人・組織・社会が本質的に変わらねばならないというメッセージがあるように感じる。
 ただ危機感を強く覚えるのは、社会課題の当事者をはじめとしたステークホルダー(利害関係者)の声を十分に取り入れず、企業だけでSXを推進しようとする姿勢だ。また、脱炭素分野のような定量化しやすい社会課題にだけ注目が集まっていることも懸念している。「企業による企業のためのSX」に陥らないためには、社会課題の専門家であるNPOなどと対話の場を持ったり、課題の現場を実際に訪問したりして多角的な視点を持ってSXを推進することが重要だ。
 こうした問題意識から、クロスフィールズは企業社員が社会課題の現場に「越境」する機会を提供している。「留職」は、若手人材が国内外のNPOや社会的企業で数カ月間の課題解決に取り組むという長期型越境だ。「フィールドスタディ」は、役職者層が社会課題の現場を体感する数日間の短期型越境となっている。このような越境を通じ、社会課題を自分ごととして捉える企業人が日本社会でどんどん増えてほしい。
 SXという概念が社会と企業の本質的な変革につながることを期待しているし、そのために我々も一緒に行動していきたい。

SmartHR プロダクトマーケティングマネージャー 佐野 稔文氏

SmartHR
プロダクトマーケティングマネージャー

佐野 稔文

人事業務の効率化に貢献

 人的資本経営に取り組んでいる会社は国内全体の約3割といわれる。多くの企業が人的資本経営の意義や重要性を理解しておらず、まだ情報収集段階と考えられる。技術革新や外部環境の変化が激しい時代では、ビジネスモデルや市場の成熟化、衰退化のスピードも速くなり、中長期で優位性を保ち続けることが難しくなってくる。これからは人材を資本として捉えて投資し、未来を担う人材を育成することが重要になる。
 人的資本経営では最初から完璧を求めず、できるところから人材戦略の立案や人的資本開示を始めて、徐々にブラッシュアップする方法がいい。人事担当者の既存業務を効率化することで人的資本経営の推進に時間を割けるようにする。人事データを収集・蓄積する仕組みを整備することなどが重要だ。
 例えば人事データの中には、採用や育成など業務を行う組織ごとにデータが違う「ばらばら病」や手入力によりデータが不ぞろいな「ぐちゃぐちゃ病」、データが非連続な「まちまち病」に陥っているケースがみられる。
 当社のスマートHRは、さまざまな人事情報が「集まり・たまって・活用できる」便利なクラウド型ソフトウエアだ。雇用契約や入社手続きがペーパーレスで完結し、従業員情報も自動で蓄積される。年末調整にも対応、蓄積した人事データを活用した組織図や分析リポート、人事評価など人材マネジメント領域の機能も備える。導入企業では、給与明細の配布工数が96%削減、雇用契約書の回収期間が78%短縮した例もある。登録数は5万社を突破し利用継続率は99%以上となっている。
 当社ではエンプロイー・ファースト、「すべての人が、信頼しあい、気持ちよく働くために」というサービスビジョンを掲げ、そうした労働環境をサポートできるプロダクトづくりに取り組んでいる。

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