ディオールを代表するラグジュアリーなスキンケア、プレステージ。2000年に誕生して以来、進化を重ね続けるプレステージの物語と、未来を見据えた大胆なプロジェクトを紹介しよう。
世界にたったひとつしかないスキンケアのためのバラ
「いつかはラインで使ってみたい」、「もう二度と手放せない」。そんなスキンケアの筆頭に挙げられるのが、ディオールのプレステージではないだろうか。そのプレステージが誕生したのは2000年。始まりは、極めて稀(まれ)な野生のバラだった。ディオールの創始者、クリスチャン・ディオール。彼が幼少期を過ごしたノルマンディー地方グランヴィルの邸宅近くの崖に自生するバラ。激しい嵐や突風、潮風など、この地方特有の過酷な気候にも負けず、力強く咲き続ける生命力に、ディオール社の植物学者たちは着目。著名なバラのブリーダー、ジェローム・ムトー氏が10年の歳月をかけて何千回もの交配や選別を繰り返し、ようやく誕生したのがスキンケアのための初めてのバラ、グランヴィル ローズだったのだ。
一方、ディオールの研究者たちは肌の微小炎症についての研究を長年にわたって続けてきた。そしてグランヴィル ローズに炎症性老化に対する効果があることを発見。グランヴィル ローズの抽出成分を搭載した、プレステージシリーズが誕生したのである。
新たな発見で、プレステージの進化は続く
プレステージの製品の魅力は、なんといっても使用することでもたらされる肌実感。が、それだけにはとどまらず、肌にのせるたびに感じ入らずにいられない極上のテクスチャー、心まで満たす香り、そしてラグジュアリーな使い心地にあることは間違いないだろう。最新の研究と技術、さらに根強い人気に支えられ、そのラインは拡充。クレンジング、洗顔から始まる一連のデイリーなスキンケア、スペシャルなケアアイテム、さらにはボディケアやベースメークなど、20以上のアイテムへ充実したラインアップを見せている。
他方、肌およびエイジングにまつわる研究、グランヴィル ローズが秘めるパワーについての研究もディオール社ではたゆまず継続されてきた。エポックメーキングな発見を反映したのが、2017年に発表されたプレ美容液「ユイル ド ローズ」だ。その画期的成果とは、グランヴィル ローズの花びらに含まれる22種類の微量要素だ。食事できちんと栄養摂取したつもりでも、それだけでは補えない栄養素がある。そんな不足分をサプリメントで補うように、肌にも必要な微量要素がある。それを目にも麗しいローズ色のマイクロ カプセルに閉じ込めたアイテムだ。発売されるやいなや瞬く間にプレステージのアイコン的アイテムとなったこの美容液。さらに2020年には高い修復力を持つグランヴィル ローズの茎からの抽出成分を加え、ローズ マイクロ カプセルの中身も2倍の濃度に。さらにパワーアップした内容の「マイクロ ユイル ド ローズ セラム」としてお目見えし、プレステージの名前をさらに高めるスターアイテムとなったのだ。
プレステージの未来とSDGs、そしてさらなる高みへ
幼い頃から花を愛し続けたクリスチャン・ディオール。メゾンの設立以来、花々は彼が生み出すモードにおける貴重なインスピレーション源でもあった。ミリ=ラフォレの別荘の庭園でも、晩年はプロヴァンスのラ コル ノワール城でも庭園の維持に自ら手をかけたほど、花、特にバラに注ぐ愛は深く、強いものだった。そう、「花々は、女性の次に最も神聖な創造物である」という言葉を残しているほどに。そんな彼の思いを受け継ぎつつ、ディオールのスキンケアの有効性を支える源である植物の栽培・育成を行なってきたのが、1992年にロワール渓谷に創設されたディオール ガーデンだ。そして2021年、グランヴィル ローズに秘められた類いまれなパワーを存分に発揮させるべく、ノルマンディー地方グランヴィルに、バラの栽培に特化した新たな農園を開設。ディオール ローズ ガーデンだ。クリスチャン・ディオールの生家にほど近い農薬未使用の牧草地へ。いわばこれはルーツの地への原点回帰であるが、ただローズの育成だけには終わらないのが、この試み。それは農業を超えた持続可能な開発への挑戦であり、壮大なプロジェクトなのだ。バラ栽培に理想的なエコシステムを備えた土壌へと時間をかけて最適化。多彩な植物を植え、野生動物のオアシスとなる池も設置。生物多様性も追求する場でもある。グランヴィル ローズはそんな環境下で、専門家による厳格な栽培法により、もちろん化学肥料や農薬は一切使用せずに栽培される。そうして育まれたグランヴィル ローズのパワフルで高純度の有用成分は、抽出法もまた環境に配慮した方法で実行され、プレステージのスキンケアをプレステージたらしめる源となって、一つ一つのアイテムに注ぎ込まれるのだ。貴重な原料、クラフトマンシップ(職人技)、そして環境との理想的な共存。プレステージの未来への宣言と道のりは、もうスタートしている。
問い合わせ先/パルファン・クリスチャン・ディオール(☎03-3239-0618)
Photo(header): Toshimasa Ohara(aosora) Photos(others): ©Dior Editor: Midori Kurihara