マドモアゼル・ユリアが出会う、日本伝統の技 vol.1

2022.01.21

DJ、着物スタイリストとして活躍し、日本の伝統文化好きとしても知られるマドモアゼル・ユリアさんがさまざまな工房を訪ね、匠の技に触れる新連載。第1回は、江戸小紋染めの技術を今につなぐ八王子の石塚染工におじゃまし、5代目・石塚久美子さんにお話を伺いました。

YULIA’S NOTE

石塚久美子さんとは、実は去年の緊急事態宣言中にclub houseで出会いました。そこからSNSでお話しするようになり、今回ようやく実際に工房におじゃますることができて、とても感激しています。
 江戸小紋は柄次第でさまざまなシーンで大活躍してくれるので、お着物を着る人であれば一着は持っていたいもの。一見すると、無地のお着物のように見えますが、近づいてみると細かい柄が染められています。しかもその柄が、江戸小紋という名のとおり、江戸の洒落の効いた柄なんかもたくさんあって、豊かな文化が垣間見える点も大好きです。たとえば「大根」と「おろし金」が描かれた柄は、薬味の大根をおろす、つまり「薬をおろす」から「厄を落とす」に転じた柄だったり。
 江戸時代には「奢侈(しゃし)禁止令」という、庶民が贅沢をしてはいけないというお触れがありました。そのお触れがあったために、江戸の着物文化はちょっと特殊な発展をした背景があり、派手さは抑えているけど、すごく手間のかかるこの江戸小紋などの渋くて通好みなおしゃれが誕生しました。
 今回工房を訪ねてみて、型付け、色を作って地染め、蒸し、水洗、湯のし、地直しなど、こんなにもたくさんの工程を職人さんが一人で担当されているとは知りませんでした。伝統的な手法や図案を継承しつつも、オリジナルの図案や新しい図案など、現代の「江戸小紋」が生まれている工房見学はとってもワクワクしました。

左から、石塚久美子さん、マドモアゼル・ユリアさん。
左から、石塚久美子さん、マドモアゼル・ユリアさん。ドレス(ユリアさん着用)参考商品/ステラ マッカートニー(ステラ マッカートニー カスタマーサービス ☎03-4579-6139)

石塚染工
石塚久美子さん

石塚染工の5代目。女子美術大学で日本画を学び、大学卒業後はアパレル会社に入社。2011年、父・石塚幸生さんに弟子入りし、江戸小紋染めの修業をスタート。2018年、第67回全国小紋友禅染色競技会 伝統的工芸品産業振興協会賞を受賞。手ぬぐいや浴衣、バッグなど、手軽に取り入れられるアイテムの開発にも励む。石塚染工は1890(明治23)年頃に小田原で染物業として創業。その後、糊落としに最適な清水の流れる淺川近くの現在の八王子の地に移り、現在に至るまで、江戸小紋染めの技術を継承している。

マドモアゼル・ユリアさん

DJ、着物スタイリスト。10代からDJ兼シンガーとして活動を始め、現在は着物のスタイリング、モデル、コラム執筆、BSテレビ東京「ファッション通信」のアンバサダー、アワードの審査員など、幅広い分野で活躍中。2020年には京都芸術大学の和の伝統文化科を卒業し、同年、英国のヴィクトリア・アルバート博物館で行われた展覧会「Kimono Kyoto to Catwalk」のキャンペーンビジュアルのスタイリングを担当。最近では東京エディション虎ノ門やkudan houseなどで着付け教室も開催。YouTube「ゆりあときもの」https://m.youtube.com/user/melleyulia

Movie & Photo: Hiro Nagoya
Model: Mademoiselle Yulia
Editor: Kaori Shimura, Kaori Takagiwa

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