マドモアゼル・ユリアが出会う、日本伝統の技 vol.5

2022.05.20

DJ、着物スタイリストとして活躍し、日本の伝統文化好きとしても知られるマドモアゼル・ユリアさんがさまざまな工房を訪ね、匠(たくみ)の技に触れる本連載。第5回は、手描きの花詰技法を専門に活躍する石川県加賀市の九谷焼作家・鈴木朋子さんを訪問。

YULIA’S NOTE

前回に引き続き、今回も石川県加賀市の伝統工芸の作家さんのもとにおじゃましました。
 鈴木朋子さんは加賀市を代表する焼き物「九谷焼」の作家さんです。前回お話しさせていただいた「山中漆器」と同じく、九谷焼も分業で作業をするのが一般的ですが、鈴木さんは「素地づくり(器)」から「絵付け」まで、一貫してご自身で手がけていらっしゃいます。
 鈴木さんの作品は色鮮やかな花たちが器の中に広がっていて、一見すると西洋風な雰囲気のある絵付けなのですが、近くでよく見てみると、それらは牡丹や菊、桜など、日本の伝統的な花たちだということに気づきました。九谷焼は「ジャパンクタニ」の名で日本だけではなく、世界の人々を魅了し続けている焼き物で、その歴史は古く、江戸前期に発祥したと言われています。
 九谷焼と聞いて思いつくのは、緑(青)・紺青・黄・紫の4色を使用して素地の白が見えないほど塗り埋めた「青手」や、「色絵」という緑・紺青・黄・紫・赤の5色での絵付け、「赤絵」という赤色と金彩で絵付けしたものですが、鈴木さんの絵付けは「花詰技法」という、文字どおり、花を敷き詰めて描く華やかな技法です。この技法は焼き物の海外輸出が盛んになった明治・大正に生まれたと言われているのですが、私が今まで抱いていた九谷焼の概念を変える、可愛らしく、華やかな絵付けが特徴です。
 鈴木さんはもともと絵を描くことが大好きだったそうで、学生の頃にこの花詰の技法に感銘を受けて九谷焼の世界に入ったそうです。
 花詰はもともと海外を意識してデザインされたせいか、ティーカップなど、西洋の文化から生まれた器とのバランスもとてもいい技法だなと思いました。また、鈴木さんは伝統的なモチーフはもちろん、洋花もその作品に取り入れています。現代のライフスタイルのなかでアップデートされた伝統技法は、まだまだ進化しそうです。

左から、鈴木朋子さん、マドモアゼル・ユリアさん。
左から、鈴木朋子さん、マドモアゼル・ユリアさん。ユリアさん着用分ブラウス¥47,300、スカート¥53,900/ともにマメ クロゴウチ(マメ クロゴウチ オンラインストア https://www.mamekurogouchi.com/

鈴木朋子さん

1984年生まれ。北海道出身。もともと絵を描くのが好きで、大学時代に美術図鑑を眺めていた折、「花詰技法」の画風に魅了される。やがて、伝統的な「花詰技法」を継承する焼き物のなかでも特に自由度が高い九谷焼の世界に入ることを決意。石川県立九谷焼技術研究所で学んだのち、問屋勤務を経て、2010年に独立。現在は加賀市内の自宅で作陶活動を行う。

マドモアゼル・ユリアさん

DJ、着物スタイリスト。10代からDJ兼シンガーとして活動を始め、現在は着物のスタイリング、モデル、コラム執筆、BSテレビ東京「ファッション通信」のアンバサダー、アワードの審査員など、幅広い分野で活躍中。2020年には京都芸術大学の和の伝統文化科を卒業し、同年、英国のヴィクトリア・アルバート博物館で行われた展覧会「Kimono Kyoto to Catwalk」のキャンペーンビジュアルのスタイリングを担当。最近では東京エディション虎ノ門やkudan houseなどで着付け教室も開催。YouTube「ゆりあときもの」https://m.youtube.com/user/melleyulia

Movie & Photo: Hiro Nagoya
Model: Mademoiselle Yulia
Editor: Kaori Shimura
Director: Kaori Takagiwa

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