マドモアゼル・ユリアが出会う、日本伝統の技 vol.10

2022.10.21

DJ、着物スタイリストとして活躍し、日本の伝統文化好きとしても知られるマドモアゼル・ユリアさんがさまざまな工房におじゃまし、匠(たくみ)の技に触れる本連載。第10回は1917年創業、歌舞伎、日本舞踊、芸舞妓の世界には欠かせない錺(かざり)かんざしを作り続ける「かざり工芸三浦」の4代目、三浦孝之さんを訪ねた。

YULIA’S NOTE

子どもの頃から、小さなものを集めてはそれを眺めるのが大好きです。その小さな作品のなかに広がる物語にひかれます。
 着物を着るようになってからは、特に帯留めとかんざしに魅了されました。古い和装小物はその細かく美しい細工もさることながら、モチーフのユニークさにいつも驚かされます。動植物をはじめ、身近なものまでがモチーフとなり、職人さんのセンスと遊び心にあふれています。
 現代でも、そういったかんざしを作られている方がいたらいいのになぁとずっと思っていて、ある日、私のYouTubeチャンネルでその話をしたところ、コメント欄に「東京の墨田区に伝統的なかんざし作りを続けていらっしゃる職人さんがいる」という書き込みが! すぐに調べて、今回取材に伺った次第です。
 三浦孝之さんは「かざり工芸三浦」の4代目として、歌舞伎や日本舞踊などの古典的な演劇用かんざしや、一般向けの和装小物も製作されていて、お誂えの制作もしてくださるのだそうです。また、古いかんざしの修理や復刻も行っておられるとのことで、まさにわたしが夢に見た職人さんでした。
 工房兼ショップである店内には、商品はもちろん、古いかんざしやその図案の本などが展示されていて、思わずテンションが上がってしまいます。壁には京都の芸妓さんのうちわがたくさん飾ってありました。みなさん、かんざしを誂えられたそうです。
 実は、芸妓さんの平打ちかんざし、ずっと気になっていました。以前、ある芸妓さんにご自身の名前が透かし彫りされているかんざしを見せてもらったのですが、それ以来、私も自分の名前のかんざしをいつか作りたいと密かに思っていました……早くも夢が叶いそうです! また、工房ではワークショップもされているそうで、さっそくちかぢかおじゃましようと思いました。
 YouTubeで情報を教えてくださった方に本当に感謝です!

左から、マドモアゼル・ユリアさん、かざり工芸三浦の4代目の三浦孝之さん。
左から、マドモアゼル・ユリアさん、かざり工芸三浦の4代目の三浦孝之さん。

かざり工芸三浦

大正6年(1917年)に創業。歌舞伎や日本舞踊、芸舞妓の日本髪のためのかんざしのほか、普段使いできるかんざしや根付も製作、販売。4代目の三浦孝之さんは広告代理店でキャリアをスタートしたが、祖父の死をきっかけに家業の大切さに気づき、現在の道に進んだそう。工房兼ショップは墨田区の産業や文化に関する製品や道具などのコレクションを展示する「小さな博物館」にも認定されていて、店内の一角にはさまざまな技巧を凝らした伝統的なかんざしが並び、かんざしの歴史や製作工程を学ぶことができる。

マドモアゼル・ユリアさん

DJ、着物スタイリスト。10代からDJ兼シンガーとして活動を始め、現在は着物のスタイリング、モデル、コラム執筆、BSテレビ東京「ファッション通信」のアンバサダー、アワードの審査員など、幅広い分野で活躍中。2020年には京都芸術大学の和の伝統文化科を卒業し、同年、英国のヴィクトリア・アルバート博物館で行われた展覧会「Kimono Kyoto to Catwalk」のキャンペーンビジュアルのスタイリングを担当。最近では東京エディション虎ノ門やkudan houseなどで着付け教室も開催。YouTube「ゆりあときもの」https://m.youtube.com/user/melleyulia

Movie & Photo: Hiro Nagoya
Model: Mademoiselle Yulia
Editor: Kaori Shimura
Director: Kaori Takagiwa

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