押さえておきたいアート展の見どころを解説!――ウォーホル、大竹伸朗、岡山の国際展

2022.10.28

アート好きならぜひ足を運びたい、おすすめの展覧会を厳選してご紹介。ここで見どころをチェックしてから鑑賞に出かけよう。

伝説のアーティストの日本文化への憧れを知る。「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」

「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展示風景
「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展示風景

ポップ・アートの旗手として、米国の大量消費社会の光と影を描いたアンディ・ウォーホル。いまなお世界的な人気を誇るこのアーティストが日本を二度訪れ、とりわけ京都に魅せられて、その文化に影響を受けていたといわれていることをご存じだろうか。
 京都とウォーホルの関係に着目し、若き日の彼の心をとらえた京都の姿に思いを馳せる展覧会が、京都市京セラ美術館で開催されている。
 1956年、28歳のときに友人のチャールズ・リザンビーとの世界旅行中に初めて来日し、京都を訪れたウォーホルは、カメラを持たず、スケッチブックに写生しながら旅をした。本展では、京都滞在中のドローイングなどの作品をはじめ、旅程表や地図、お土産などの資料も展示されている。

「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展示風景
「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展示風景

ちなみに、1950年代初頭から60年代にかけて、商業イラストレーターとして一躍有名になった時期の作品には、珍しく金や銀の箔も使用されている。これにはウォーホルがカトリック信者であったことだけなく、世界旅行のなかで日本をはじめアジア各国の寺社で見た金箔も影響しているという。
 また、1974年に再来日した際には「生け花」をモチーフにした作品を発表している。当時、ウォーホルはすでにシルクスクリーンで作品を制作していたが、このシリーズでは手で彩色していることに注目したい。
 本展では絵画や彫刻など約200点および映像15点が展示されており、門外不出であった《三つのマリリン》を含む100点以上が日本初公開。キャンベル・スープ缶や花、著名人の肖像画といった「ウォーホルといえばこれ」という作品と、知られざる側面の両方を楽しむことができる。

アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO

会期:開催中~2023年2月12日
会場:京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」(京都市左京区岡崎円勝寺町124)

圧倒的な創作のエネルギーに触発される「大竹伸朗展」

大竹伸朗《ダブ平&ニューシャネル》1999年 公益財団法人 福武財団
大竹伸朗《ダブ平&ニューシャネル》1999年 公益財団法人 福武財団

1955年生まれの大竹伸朗は、80年代初頭のニュー・ペインティングの旗手として鮮烈なデビューを飾って以来、コラージュ技法を用いた絵画や廃材を集めて作った彫刻をはじめ、絵本やエッセー、音やインスタレーション、巨大な建造物まで多岐にわたる作品を精力的に発表し続けている。香川県直島町の銭湯「I♥湯」、東京2020 公式アートポスター展、愛媛県松山市の道後温泉本館(国指定重要文化財)の保存修理工事現場を覆う巨大なテント幕作品などでも知られる、現代の日本を代表するアーティストだ。
 その40年以上におよぶ創作活動を体感できる大回顧展が東京国立近代美術館で開催される。16年ぶりの大回顧展となる本展では、およそ500点もの作品が、7つのテーマ「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」に沿って構成される。圧倒的な物量と密度で繰り広げられる大竹の作品世界に没入し、そのエネルギーを体感してみては。

大竹伸朗展

会期:2022年11月1日〜2023年2月5日
会場:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
※2023年5月3日~7月2日には愛媛県美術館、2023年8月5日〜9月18日[仮]には富山県美術館で巡回展を開催予定。

わたしたちは同じ空のもと夢を見ているのだろうか? 「岡山芸術交流2022」

©Okayama Art Summit 2022
©Okayama Art Summit 2022

岡山芸術交流は2016年に始まり、3年に一度、岡山県岡山市で開催されている国際現代美術展。総合プロデューサーは岡山出身の実業家でアートコレクターである石川康晴氏(公益財団法人石川文化振興財団理事長)が、総合ディレクターはギャラリストの那須太郎氏(TARO NASU 代表)。世界の第一線で活躍するアーティストがアーティスティック・ディレクターを務め、社会や個人の問題について深い思考を促すような質の高い現代アートが街のあちこちの文化施設で展開されるのが特徴だ。
 今年のアーティスティック・ディレクターはタイ出身で、見る人を巻き込みアートとつなぐアーティスト、リクリット・ティラヴァーニャ。リクリットは彼が以前から掲げている言葉「Do we dream under the same sky」を今回のタイトルとして、「同じ空を見てお互いの夢を理解するとはどのようなことなのか。みなさんが夢に対して、目と心を開けることを願っています」と語っている。リクリットが「旅人」として選んだアーティストを含む13カ国28組の作家たちの作品を巡りながら、あらためてこの問いへの答えを考えたい。

岡山芸術交流2022

会期:開催中~11月27日
会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、林原美術館ほか

Text: Sayuri Kobayashi
Editor: Kaori Shimura

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