ファッション通でなくとも誰もが見覚えがあるのではと思われるYSLというイニシャルロゴ。YSLとは、すなわちYVES SAINT LAURENT。1970年代には“モード界のプリンス(貴公子)”。のちに“モード界の帝王”となったファッションデザイナー、ムッシュ イヴ・サンローランだ。その頭文字をシンボリックに組み合わせたYSLというデザインは、彼の友人でもあったグラフィックデザイナー、アドルフ・ムーロン・カッサンドル(1901-1968)が手がけたもの。以来、この明快でグラフィカルなデザインは、タイムレスな魅力を放ち、ブランドの成長と共に揺るぎないアイコンとなった。今でも、サンローランを代表する人気バッグ「ダウンタウン」を始め、イヴ・サンローラン自身にとって大切なインスピレーション源でもあった友人たちの呼び名を冠した「ルー」「ニキ」「ルル」などには中央にクロージャーとして施されたラインのほかに、「カサンドラ」という名のラインも存在し、不動の人気を誇っている。
イヴ・サンローランの印象的なポートレートを数多く撮影した名フォトグラファー、ジャンルー・シーフによる写真が表紙。アルジェリアのオランで過ごした幼少時代から、ディオール亡き後を継いだデビューコレクション、自身のメゾン設立、2008年6月1日に逝去するまでの軌跡を辿った一冊『ALL ABOUT YVES』(LAURENCE KING PUBLISHING刊)。
モード史に燦然と輝くイヴ・サンローランの代表作を捉えたファッションフォトでまとめられた一冊『YVES SAINT LAURENT AND FASHION PHOTOGRAPHY』(te Neues Publishing Company New York刊)。序文は、マルグリット・デュラスが寄せている。表紙は1983-84年秋冬コレクションで発表された、ピンクサテンのビッグボウがシンプルでいて華やかなソワレ。
パリのアヴェニュー・マルソーにある鏡張りのイヴ・サンローランのアトリエを通して、彼のクリエイティビティに関する神話に迫った『Yves Saint Laurent’s Studio Mirror and Secrets』(ACTES SUD刊)。ファッション歴史家の著者らしい洞察力に満ちたYSL論と過去の写真、イヴ本人の名言集で構成された一冊。表紙はトレードマークともいえるムッシュ・サンローラン愛用の黒縁眼鏡。