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ニュースな腕時計、12のトピックス[前編]

2022.4.22

Photo: Iris Velghe © Cartier

時計王国スイスで毎春開催される、新作ラグジュアリーウォッチの祭典「Watches & Wonders Geneva」(旧SIHH=通称ジュネーブサロン)。その会場を駆けめぐったニュースをはじめ、最旬時計にまつわる12の話題を前後編にわたってレポート。いま注目すべき珠玉のタイムピースを先取りしよう。

【#01 カルティエ】 新コレクション「クッサン ドゥ カルティエ」がローンチ!

トライアングルセッティングを採用したダイヤモンド×ホワイトゴールド、ダイヤモンド×ピンクゴールドのモデルのほか、2色のストーンの天地を大胆にも反転させた2つのバイカラーモデルも登場。「クッサン ドゥ カルティエ」左から、(ケース縦27.13×横27.66mm、PG×ダイヤモンド、カーフストラップ、クォーツ)¥3,141,600 (ケース縦30.44×横33.78mm、YG×ダイヤモンド×ツァボライト×ブルートルマリン、カーフストラップ、クォーツ、世界30本限定)¥7,062,000 トップビジュアルの「クッサン ドゥ カルティエ」(ケース縦30.44×横33.78mm、WG×ダイヤモンド、カーフストラップ、クォーツ)¥3,946,800(すべて予定価格)/以上カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター フリーダイヤル0120-301-757)Photos: © Cartier

コロナ禍の影響下、3年ぶりのフィジカル開催実現となったWatches & Wonders Geneva。各メゾンが例年以上の話題作で競い合うなか、カルティエは2年ぶりとなるまったく新しいウォッチコレクションを発表して噂の的に。目を奪うトレードマークは、ふっくらとしたクッション型のケースとらせん状にセットされたジェムストーンの装飾。サイズグラデーションに施されたダイヤモンドが立体的なケースから躍動感を放ち、その流れるようなラインに寄り添うゴールドのパーツが幾何学的ムードを強調する。

絶えず新しい表現を追求し、限界を押し広げていくメゾン。新作「クッサン ドゥ カルティエ」コレクションでは、ダイヤモンドとゴールドを用いたモデルに「トライアングルセッティング」と呼ばれる石留め技法が初披露された。時計におけるセッティングの主流といえば、周辺の地金から爪を掘り起こして宝石を留めていくグレインセッティングだが、新たに考案されたトライアングルセッティングでは、ケースにダイヤモンドを直接セットするという高度なテクニックが要される。新技巧を駆使しメタルパーツを極限まで削ぎ落とすことで、ストーンの美しさを最大限に引き出した。“王の宝石商、宝石商の王”たるカルティエが、ジュエリーウォッチの未来を動かす。

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【#02 シャネル】 マドモアゼルがカムバック!伝説の「J12」と33mmのメカニカル

左から、「マドモアゼル J12 ラ パウザ」(ケース径38mm、高耐性ブラック セラミック×WG×ダイヤモンド、自動巻き、世界55本限定)¥14,960,000 「J12 キャリバー 12.2」(ケース径33mm、高耐性ホワイト セラミック×SS、自動巻き)¥863,500/ともにシャネル(シャネル カスタマーケア フリーダイヤル0120-525-519)

21世紀のアイコン、「J12」の挑戦は今年さらにヒートアップ。女心をわし掴みにしたのは、シャネルらしいウィットに富んだ「マドモアゼル 12」。マドモアゼル シャネルが両腕で時刻を示す初のキャラクターウォッチが登場し、瞬く間に完売したのは2017年のこと。ユーモラスかつチャーミングな伝説のシリーズがさらなる遊び心を携え、それぞれ世界55本限定の3モデルでカムバック! なかでも、シャネルスーツ姿のマドモアゼルが主役の初代モデルを彷彿とさせる注目作は、新たにマリンルックをまとった彼女がダイアルで出迎える「マドモアゼル J12 ラ パウザ」だ。豪華なバゲットダイヤモンドのベゼルに見守られて、ラグジュアリー感も最高潮に。

誕生から20年目を迎えた2019年、ディテールを丹念に磨き、高性能な新ムーブメントを搭載して初のリニューアルを果たした「J12」。その進化はとどまるところを知らず、今年は直径33mmケースに独自の新型オートマティックムーブメントを搭載した「J12 キャリバー 12.2」をリリース。今回採用するキャリバー 12.2は、COSC(スイス公認クロノメーター検査協会)の認定を受け、小型ムーブメントでありながら約50時間のパワーリザーブを誇る本格派。カラーはブラックとホワイトの2色展開。“完全な円”を表現した美しいローターをケースバックからのぞかせれば、モードも時計も上級者の証し!

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【#03 ヴァン クリーフ&アーペル】 バレリーナが蝶に。ポエティック コンプリケーション最新型

左から、「レディ アーペル バレリーヌ アンシャンテ ウォッチ」(ケース径40mm、WG×サファイア×ダイヤモンド×シャンルヴェエナメル×プリカジュールエナメル、自動巻き)¥27,192,000 「レディ アーペル バレリーヌ アンシャンテ ローズゴールド ウォッチ」(ケース径40mm、RG×ダイヤモンド×シャンルヴェエナメル×プリカジュールエナメル、アリゲーターストラップ、自動巻き)¥16,500,000/ともにヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク フリーダイヤル0120-10-1906)

ジュエリーだけでなく、複雑時計にも“夢”という価値観を吹き込むヴァン クリーフ&アーペル。メゾンの手にかかると、過ぎゆく時は芸術的なまでにポエティックな物語へと変貌する。象徴的な「ポエティック コンプリケーション」コレクションに、華麗なラインナップが仲間入り。その代表作のひとつが「レディ アーペル バレリーヌ アンシャンテ」ウォッチだ。

2013年に誕生し、同年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリでレディスコンプリケーションウォッチ賞に輝いたエポックメイキングなモデル。今年メゾンは、大切な着想源であるダンスというテーマに再び取り組んだ。蝶へと変身するバレリーナのチュチュには、シャンルヴェエナメルとプリカジュールエナメルが施され、瑞々しい色彩とテクスチャーに一新。2013年のファーストモデル同様に、ボタンを押すと羽のごときチュチュのベールが時刻を表示する仕掛け。タイムオンデマンド機能を持つダブルレトログラード機構によって、このうえなく優雅な動きを叶えている。最高峰のクラフツマンシップ(職人技)で詩情を紡ぎ出す、奇跡のような魔法にかけられて。

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【#04 グランドセイコー】 和の美意識が、ハイジュエリーウォッチの扉を開く

「マスターピースコレクション スプリングドライブ 8Days ジュエリーウォッチ 限定モデル」(ケース径44.5mm、Pt×ダイヤモンド×ブラックスピネル、クロコダイルストラップ、手巻き、世界5本限定)¥29,700,000/グランドセイコー(セイコーウオッチ お客様相談室 フリーダイヤル0120-061-012)

日本が世界に誇る腕時計の最高峰、グランドセイコー。時代を経ても変わらない美しさと、高い精度を追求し続けてきた名門から、実用性と華やかな装飾性が共存するハイエンドなジュエリーウォッチがお目見え。着想源となったのは、1960年、初代グランドセイコーの誕生とともにケースバックにあしらわれたシンボリックな「獅子」の紋章。気高き白いライオンをテーマに、独創的な限定モデルが世に送り出された。

日本人がいとおしむ光と影の調和をコンセプトに、ダイヤモンドとブラックスピネルを隣り合わせるようにセットし、互いの輝きを強調。大胆に張り出したラグにも百獣の王の爪の輝きを連想させるダイヤモンドを、ダイアル中心部にはたてがみのごときオーガニックな型打ち模様を施した。さらに、現代の名工らを擁するマイクロアーティスト工房が手がけた、1週間以上のパワーリザーブを誇るスプリングドライブムーブメントを搭載している点にも注目を。細部に至るまでこだわり抜き、和の美学を結集した才色兼備な1本が、ハイジュエリーウォッチの新基軸になるはず。

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【#05 ウブロ】 コンパクト&上品に刷新!シルバー色の日本限定モデルが到着

「ビッグ・バン ワンクリック モノクローム スチール ダイヤモンド」(ケース径33mm、SS×ダイヤモンド、アリゲーター×ラバーストラップ、自動巻き、日本限定)¥1,606,000(2022年5月発売予定)/ウブロ ☎03-5635-7055

独自のコンセプト「アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)」を信条に、時代の最先端を歩んできたウブロ。今年も多彩なカラー&素材のコンビネーションで圧倒する新作が目白押しだが、レディスウォッチとしては王道「ビッグ・バン」の日本限定モデルがおすすめ。2018年の登場以来、女性たちからのラブコールが絶えない「ビッグ・バン モノクローム スチール ダイヤモンド」が、ケース径38mmから33mmへとサイズダウン。さらに、ケースラグのボタンを押すだけで瞬時にストラップ交換可能な“ワンクリック”システムを搭載して、スタイリッシュにアップデートを遂げた。

ケースから針、インデックスといったディテール、ダイアル、ストラップに至るまで、すべてを特徴的なシルバーカラーで統一。多層構造の立体的なケースは華奢な女性の手首にも心地よくフィットし、アリゲーターストラップに裏打ちされたラバー素材が耐久性と軽やかな装着感を約束してくれる。スタイルになじみ、スタイルの主役になる研ぎ澄まされたタイムピースを、生涯のパートナーに選びたい。

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【#06 ブルガリ】 進化が止まらない!時の宝石、「セルペンティ」神話

左から、「セルペンティ セドゥットーリ」(ケース径33mm、PG×SS×ダイヤモンド、クォーツ)¥1,584,000 「セルペンティ スピガ」(ケース径35mm、PG×ダイヤモンド×マラカイト、クォーツ)¥9,295,000/ともにブルガリ(ブルガリ ジャパン ☎03-6362-0100)

ブルガリのシンボルであり続ける、聖なる「セルペンティ」の存在。1940年代、腕時計という道具の中に初めて、かつ独創的にヘビモチーフを採用したのは、他ならぬブルガリである。ブランド初となったセルペンティのシークレットウォッチ誕生から80周年を記念して、“TIME IS A JEWEL − 時は宝石”というコンセプトを掲げ、スネークヘッドに文字盤を収めた往年の意匠を継承する4つの傑作シークレットウォッチを登場させた。

真のアイコンは、ヘビをモダンに解釈した幾何学的デザインにおいても、ひときわ華やかにパワーアップ。マテラッセパターンを施したブレスレットを特徴とする「セルペンティ スピガ」には、マラカイト文字盤がエントリー。しなやかに腕に巻きつくダブルスパイラルのブレスレットは、まさに芸術品の域。モジュラー構造と呼ばれる伝統の技法を駆使し、70ものエレメントを手作業でひとつずつ繋ぎ合わせて完成させる。また、ドロップ型ケースにうろこのごとき六角形モチーフのブレスレットを組み合わせた「セルペンティ セドゥットーリ」には、センシュアルなブラックラッカー文字盤がラインナップ。ローマン ハイジュエラーの耽美(たんび)な感性によって、現代女性の時間はもっときらめきだす。

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※この特集中、以下の表記は略号になります。PG(ピンクゴールド)、YG(イエローゴールド)、WG(ホワイトゴールド)、RG(ローズゴールド)、SS(ステンレススティール)、Pt(プラチナ)

※掲載の商品は、すべて税込価格です。

Text: Etsuko Aiko Editor: Maiko Hamano