クリスチャン ディオールの聖地「30モンテーニュ」が、リニューアルオープン

2022.05.27

パリのディオール旗艦店が、かけがえのない体験を提供する複合施設へと生まれ変わった。壮大なメゾンの歴史と夢を詰め込んだこの場所で、ディオールの世界観を堪能したい。

パリのモンテーニュ30番地。それは、クリスチャン ディオールにとって、伝説の住所だ。
 「モンテーニュ通り30番地こそ、運命の場所。私の創業の地は、ここ以外にはありえないと思った」この場所についてこう語ったムッシュ ディオール。そして、その言葉のとおり、1946年12月15日に“メゾン ディオール”をオープンし、その数週間後となる47年2月12日には、この場所でメゾンのコードであり、革新的であった「ニュールック」と「ミスディオール」のフレグランスを発表。世界中の注目を浴びることとなる。さらに同年、この場所に初のブティックをオープンさせたのだ。
 そんな、メゾンの神髄を象徴するディオールの本店が、2年以上におよぶ改装を経てリニューアルオープンした。

ディオールのクリエーションと豊かな歴史をあますことなく堪能できる「ラ ギャラリー ディオール」。
ディオールのクリエーションと豊かな歴史をあますことなく堪能できる「ラ ギャラリー ディオール」。ディオラマと呼ばれる白い螺旋階段を囲むショーケースには、クチュール作品のミニチュアドレスや、精巧な3Dプリントによって再現したバッグ、アクセサリー、香水など、計1874点がオブジェとなって展示されている。Photo: Kristen Pelou

動画から、壮大なディオラマの展示作業をのぞくことができる。

面積1万平方メートルを超えるこのスペースには、メゾンの世界最大となるブティックをはじめ、ブランドの歴史が展示されたギャラリー、レストラン、カフェ、庭園、オートクチュールとジュエリーのアトリエ、さらには宿泊施設やスパを備え、ディオールの世界観を伝える複合施設へと再生されたのだ。

建築家のピーター・マリノは「さまざまな劇が繰り広げられるようなある種の劇場、あるいはセットデザイン」というコンセプトのもと、メゾンの多彩な世界観と、あらゆるアートの形を融合させたと語る。
 例えば、木製のモールディングと露出した梁が目を引く円形の空間「ロトンド」には、現代美術界を代表するアーティストのひとり、イザ・ゲンツケンの巨大なバラの作品を配置するなど、ディオールとピーター・マリノがアーティストに依頼した、多数の特別な作品が飾られている。

ブティックからエントランスをのぞむ一画。
ブティックからエントランスをのぞむ一画。フローリングは、メゾンが大切にしているルイ16世時代の古典主義を思わせるヴェルサイユ張りで仕上げられている。Photo: Kristen Pelou
ブティックの「ロトンド」周辺には貴重なアート作品が多数展示されている。
ブティックの「ロトンド」周辺には貴重なアート作品が多数展示されている。2階までのびるのは、イザ・ゲンツケンの8mものバラの彫刻。Photo: Kristen Pelou

美食家を自任していたムッシュ ディオールへ敬意を表し、ガストロノミーについてもメゾンならではのスペシャルな空間が用意されている。レストラン「ムッシュ ディオール」と、カフェ「ラ パティスリー ディオール」を率いるのは、気鋭のシェフ、ジャン・アンベールだ。レストランでは、メゾンの伝統と歴史を生かしたメニューを考案。また、ワインにおいても、メゾン初のブティックが誕生した1947年から現在までの至高のセレクションがそろう。見事なバラ園を見下ろす「ラ パティスリーディオール」では、ディオールのシンボルをさりげなく再解釈したオリジナルスイーツに加え、バリスタがセレクトした希少なコーヒーを提供してくれる。

ディオール メゾンのテーブルセッティングを堪能できるレストラン「ムッシュ ディオール」。
ディオール メゾンのテーブルセッティングを堪能できるレストラン「ムッシュ ディオール」。奥にはアーティストのクラウディア・ヴィーザーによる幾何学パネルの鏡、壁にはギー・リモーヌのピクトリアル作品が展示されている。Photo: Kristen Pelou
ムッシュの愛したバラや植物に囲まれた「ラ パティスリー ディオール」。
ムッシュの愛したバラや植物に囲まれた「ラ パティスリー ディオール」。朝食からティータイムまでリラックスタイムを約束する憩いの場だ。Photo: Kristen Pelou

ぜひ足を運びたいのは、メゾンの歴史とクリエイションをたどることができる展示―スペース「ラ ギャラリー ディオール」だ。13のテーマに分けられた壮大な展示をデザインしたのは、パリ装飾美術館で開催された2017年のディオール展をはじめ、数々の舞台装飾を手掛けてきたナタリー・クリニエール。
 例えば、「アリュール ディオール」と呼ばれる部屋では、クチュリエであり調香師でもあったクリスチャン・ディオールと、6人の後継者たち————イヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリの先見性を目にすることができる。

展示室「アリュール ディオール」。
展示室「アリュール ディオール」。時代背景とともに、各デザイナーの才能や個性があふれる空間。Photo :Kristen Pelou

また、「ディオール舞踏会」と呼ばれる展示では、壮大な音楽のなか、夜の星座から雲の景色へと、時間と共に移り変わる演出がされている。歴代のコレクションからセレクトされた華やかなイブニングドレスが圧巻だ。

「ディオール舞踏会」の展示。
「ディオール舞踏会」の展示。夜から昼へと変化していく天空のなかで、オートクチュールドレスがまばゆく映える。Photo: Kristen Pelou

展示の途中には、ムッシュ ディオールがコレクションを発表する際に、モデルたちが着用の準備をした支度部屋「キャビン」をそのまま復刻した部屋もあり、当時の光景を垣間見ることができる。

フランスのファッション史が生まれてきた「現場」を体感しに、この驚きと魅惑に満ちた空間「ラ ギャラリー ディオール」を、女優アニャ・テイラー=ジョイの案内とともにのぞいてみよう。

さらに、謎に包まれた非公開の「ラ スイート ディオール」での宿泊。それは、他では得られない特別な体験だ。歴史あるサロンでのプライベートなカクテルパーティー、ハイジュエリーのアトリエの特別なツアー、ブティックでの夜のショッピングなど、あらゆる望みを24時間体制でかなえるオーダーメイドの時間が、ここにある。

「30モンテーニュ」。それは、過去から現在、そして未来へと続くタイムトラベルマシンに乗ったかのような「夢の王国」だ。“エクスペリエンス”という唯一無二の宝物を探しに、ぜひ訪れてみたい。

LA GALERIE DIOR ラ ギャラリー ディオール

住所:11, rue François Ⅰer, 75008 Paris
開館:11:00〜19:00
入館料:12€(オンラインにて来館日時の事前予約が必要)

チケットの購入・詳しい情報は公式サイトへ

Edit: Asako Kanno

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