特別な石、ダイヤモンドが秘める愛の物語

1906年、愛し合う二人の名前を冠してパリ ヴァンドーム広場に誕生した、ヴァン クリーフ&アーペル。

王侯貴族やセレブリティたちに愛され続けてきたメゾンの歴史と、宝石にまつわる物語を連載で紐解いていく。第1回目は、宝石の王様“ダイヤモンド”について。

1956年に制作されたネックレス。バゲットカット、ラウンドカットのダイヤモンドがタイムレスな輝きを放つ。ネックレス(プラチナ、ダイヤモンド)参考作品/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

ヴァン クリーフ &アーペルの始まりは、1895年のパリにまで遡る。宝石商の娘、エステル・アーペルと、代々続く一流のダイヤモンド商かつ宝石職人の家に生まれた、アルフレッド・ヴァン クリーフが結婚。そして1906年、愛と宝石への情熱によって結ばれた二人の名前を組み合わせたハイジュエラーが、パリのヴァンドーム広場22番地に誕生した。ここから宝石とともに輝く、ヴァン クリーフ &アーペルの未来が始まったのだ。そして、その伝説のアドレスには今も変わらずメゾンの本店が存在し、人々に夢を贈る場所となっている。

古来から現代に至るまで、世界中の女性たちを魅了してきた宝石“ダイヤモンド”。貴石の中でも最高の輝きを放つダイヤモンドが、ブライダルジュエリーにも選ばれるようになった理由はどこにあるのだろう。“不屈の、征服できない”を意味するギリシャ語「アダマス」を語源に持つダイヤモンドは、その名の通り、地球上で最も高い硬度を持つ。そのため、愛するふたりの「硬い絆」を象徴するにふさわしい宝石といわれるようになったのだ。また古代より、平和や健康を約束する、幸運の守護石であったこと、さらには「純愛、永遠の絆、純潔」といった結婚に最適な石にまつわる言葉を持っていることもあげられる。

ジャスミンの花をイメージしたリングには、4.41Ctものダイヤモンドがセットされている。リング「ジャスミン ソリティア」(プラチナ、ダイヤモンド) ¥102,300,000/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

しかし、この魅力的ながらも難易度の高い石の美しさを最大限に引き出すには、卓越した職人の技が必要とされる。まず、ヴァン クリーフ&アーペルでは、専属の鑑定家により厳密な評価が行われている。ダイヤモンドの価値を決定する重要な要素に「カラー」がある。ダイヤモンドは無色に近いほど希少性が高いとされており、世界的権威である米国宝石学会(GIA)の基準に基づき、メゾンではD(無色のダイヤモンド)からZ(薄く色づいたダイヤモンド)のグレードのなか、最上級のカテゴリーに属するD(無色+)、E(無色)、F(エクストラホワイト+)に属するダイヤモンドのみが選別される。さらに、センターストーンにおいては、DとEのグレードに絞られているのだ。また、メゾンの強いこだわりは、GIAの品質基準である、カラー(Color)、クラリティ(Clarity)、カット(Cut)、カラット(Carat)の“4C ”に加え、独自に5つ目のCを基準に加えていることからもうかがい知れる。それは“キャラクター(Caracter)”と呼ばれる「石の個性」のことで、知識と経験豊富な宝石鑑定家は、外見の美しさのみならず、見るものの心を揺り動かすメゾンらしい個性を持つ石を選び出しているのだ。

メゾンの宝石鑑定士の審美眼に叶う、希少なダイヤモンドだけが選ばれてゆく。

例えばソリティアリングの場合、石の個性に合わせて台座のデザインが決められる。ハイジュエリーには最適な技法で石がセットされ、その特徴が最大限に際立つように配慮がなされる。様々な職人の魔法の手により、新たな生命の息吹を与えられたダイヤモンドは、あふれんばかりの光を通し、宝石の中に小宇宙を見るかのような輝きを放つ。「特別に素晴らしい石を、至高のジュエリーに生まれ変わらせる」。メゾンが創業当時から掲げてきた哲学は、唯一無二のジュエリーとなり、人々の愛と幸福を見守り続けてくれるのだ。

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ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク

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Text: Asako Kanno Editor: Asako Kanno