幸せを運ぶハイジュエラー
ヴァン クリーフ&アーペルの世界 vol.3

2021.7.30

詩的な時を刻む、特別なタイムピースたち[前半編]

時計の世界に革命を起こしたメゾンのウォッチ。創造性に満ちたエスプリと、その豊かな歴史を2話にわたり紐解きます。人生を詩的に見つめ、時をともに刻むジュエリーウォッチの魅力がここに。

「時を告げるジュエリー」。そう表現されるヴァン クリーフ&アーペルの時計は、ポエティックなテーマを感性豊かに表現したスタイルが特徴だ。創業から現在に至るまで、ハイジュエラーならではの宝石への情熱と、メゾンに引き継がれる卓越した職人技、発明の精神、そして豊かな独創性がひとつとなり数々の名作をうみだしてきたのだ。

例えば、時計といえば男性のダンディズムの象徴であり、まだまだ懐中時計が中心だった1910年代、繊細なアール・ヌーヴォーの装飾をほどこした女性用ペンダントウォッチを発表。当時、エレガントな女性は人前で時間を見ないことが慣習となっていたことから、表はペンダントに、裏に時計が隠された「シークレットウォッチ」だ。

「ウォッチ ペンダント ネックレス」1912年(プラチナ、エナメル、パール、ダイヤモンド/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
「ウォッチ ペンダント ネックレス」1912年(プラチナ、エナメル、パール、ダイヤモンド/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

そして、かつてウエスト部にひっかけて使用した「シャトレーヌ」スタイルのウォッチも多く残されている。1920年代のウォッチには、当時全盛を迎えたアールデコスタイルが映し出され、オリエンタル趣味をうかがい知る中国の風景が描かれている。

「中国風ラペル ウォッチ」1924年(イエローゴールド、プラチナ、ジェードを模したブラックとグリーン エナメル 、ローズカットダイヤモンド)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
「中国風ラペル ウォッチ」1924年(イエローゴールド、プラチナ、ジェードを模したブラックとグリーン エナメル 、ローズカットダイヤモンド)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

1933年に登場して以来、メゾンを代表するクリエイションとなった「ミノディエール」は、まさに芸術品だ。「ミノディエール」とは、時計を始め、女性が外出時に必要となる、鏡、口紅、パウダーコンパクト、シガレットホルダー、ライターなどを収めるケースのこと。そのままクラッチとして使用したり、パーティバックにそっとしのばせていたという。本作品は1930年に発表された、「ミノディエール」の前身となるパウダーボックスで、歴史を物語るうえでも大変貴重な作品といえる。

風景モチーフの「パウダーボックス」1930年 (ゴールド、エナメル)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
風景モチーフの「パウダーボックス」1930年 (ゴールド、エナメル)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

フランス語で“南京錠”を意味する「カデナ ウォッチ」は、1935年に誕生したジュエリーウォッチの名作だ。一見ブレスレットに見えながらも、そのわずかな傾きから、つけている女性にだけ文字盤が見えるデザインとなっているのだ。女性が斜め45度に視線をずらし、さりげなく時刻を確認するその美しい仕草までをも計算。大胆かつモダンなウォッチは、今もなおメゾンを代表するモデルのひとつとなっている。

ケースの直線とクラスプの曲線が優美な「カデナ ウォッチ」1943年(イエローゴールド、ルビー)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
ケースの直線とクラスプの曲線が優美な「カデナ ウォッチ」1943年(イエローゴールド、ルビー)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

1940〜60年代には、手の込んだ彫金細工や遊び心あふれる華やかなウォッチが女性の手首を飾るようになっていく。そんな“クチュール”のエスプリ漂うジュエリーウォッチには、メゾンの「ジュエリーやウォッチは、単に高級なオブジェとみなされるだけのものであってはならず、それを所有する人に幸運やめぐみを伝えるものでなければならない」という哲学が感じてとれるだろう。

「フォイユ シークレットウォッチ」1950年(イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、サファイア)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
「フォイユ シークレットウォッチ」1950年(イエローゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、サファイア)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

そして近年の作品にも、メゾンが紡いできた“時計の歴史”が息づいている。
1949年に、創業者一族の一人であるピエール・アーペル自らがデザインした「PA49」。超薄型ケースとセントラルアタッチメントが特徴のウォッチは、現在もメゾンを象徴する人気のモデルのひとつだ。

「PA49スケルトン メンズウォッチ」 1977年 (イエローゴールド、マザーオブパール、自動巻き、ブラックレザーストラップ)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
「PA49スケルトン メンズウォッチ」 1977年 (イエローゴールド、マザーオブパール、自動巻き、ブラックレザーストラップ)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

また、ヴァン クリーフ&アーペル創業100周年に当たる、2006年に発表されたパーペチュアルカレンダー『レディ アーペル センテナリー ウォッチ』も、メゾンの真髄を映し出すかのように独創的でユニークな複雑時計といえる。クロワゾネ技法で描かれた文字盤の絵には、365日をかけてゆっくりと1回転し、うつろいゆく四季の移り変わりを示すという仕掛けが隠されているのだ。

1年をかけて1回転するディスクを搭載した「レディ アーペル センテナリー ウォッチ」2006年(ホワイトゴールド、ダイヤモンド、エナメル、マザーオブパール、機械式)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
1年をかけて1回転するディスクを搭載した「レディ アーペル センテナリー ウォッチ」2006年(ホワイトゴールド、ダイヤモンド、エナメル、マザーオブパール、機械式)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

宝石における熟練の技と時計製作技術の融合だけにとどまらず、作品に夢と魂を吹き込むヴァン クリーフ&アーペルのウォッチ。次回は、進化し続けるメゾンのウォッチの“今”をお伝えします。

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
0120-10-1906

Editor: Asako Kanno

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