幸運のクローバーから着想を得た、アルハンブラ コレクション。

メゾンを象徴するジュエリーとして、誕生から半世紀以上に渡る現在まで、世界中の人々を魅了しつづける奇跡のジュエリーだ。その豊かな、輝きの歴史をたどっていく。

幸運のシンボル、アルハンブラ の奇跡

1968年、秋。シンプルなフォルムに遊び心を秘めた、一度目にしたら忘れることのできないジュエリーが誕生する。それがアルハンブラ コレクションだ。最初に発表されたのは、モチーフ部分にしわ加工をほどこし、繊細なゴールドビーズで縁取ったイエローゴールドのロングネックレスだった。驚くべきは、この変容していく時代のなか、当初の特徴をそのまま受け継いだロングネックレスが今なお色あせることなく、世界中で愛用され続けていることだろう。「今を生きるクラシック」とも呼ばれる、アルハンブラ コレクションの秘密はどこにあるのだろう。

一重でまとうロングネックスとしても、チェーンを二重にしてショートネックレスにも変容。 「ヴィンテージ アルハンブラ ロングネックレス」(イエローゴールド)¥2,019,600/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

まずひとつに、アルハンブラ コレクションには、メゾンの確かなDNAが宿っていることがあげられる。“クローバー”は、メゾンが長きにわたり大切にしてきた、幸運のモチーフなのだ。

「幸運になりたければ、幸運を信じなさい。」これは、メゾンの創業者の甥であるジャック・アーペルの口癖だ。天性の蒐集家でもあったジャックは、自邸の裏庭で四つ葉のクローバーを見つけるたびに摘み取っては、アメリカの詩人ジョン・グリーンリーフ・ウィッター作とされる、「Don’t Quit(決して希望を失ってはならない)」の詩を添えてスタッフに贈ったという。この逸話からも、アルハンブラ コレクションが、幸福の伝道師ともいえるメゾンの哲学と深く結びついていることがうかがい知れる。

詩人ジョン・グリーンリーフ・ウィッター作とされる詩« Don’t Quit » と、ジャック・アーペルが添えた四つ葉のクローバー。

また、アルハンブラ コレクションの歴史に華をそえたセレブリティたちの存在も欠かせない。そんな一人に、モナコ公妃グレース・ケリーがあげられる。さまざまな色石のアルハンブラ ロングネックレスを愛用していたモナコ公妃は、1979年に久々の舞台にあがる。朗読会で詩を朗読することとなったのだ。その大事なシーンのために、グレース公妃自ら選んだ3本のアルハンブラ ロングネックレスは、公妃の気品をさりげなく引き立てるという魔法のパワーを放ちながら、セレブリティたちとの蜜月をそっと物語ってくれる。

エジンバラで開催された朗読会にて、イエローゴールド、オニキス、象牙の3本のアルハンブラ ロングネックレスを重ねづけするモナコ公妃グレース・ケリー。

モナコ公妃が、アルハンブラを収集していたことからもわかるように、その豊富なバリエーションもコレクションの大きな魅力だ。発表当時はイエローゴールドのネックレスのみだったアルハンブラ も、1970年代にはオニキスやラピスラズリをはじめとする色石が、そして80年代にはマザーオブパールやダイヤモンドといった、多様な素材に加え、ピアスやブレスレット などのアイテムが登場する。

また、2001年にはモチーフを新たに解釈した、「ピュア アルハンブラ」コレクションが発表され、デザインにも変化が生まれ始める。宝石とゴールドをなめらかに鏡面仕上げしたデザインは、ゴールドビーズで縁取ったヴィンテージ アルハンブラとはまた違う魅力をたたえている。

「ピュア アルハンブラ ネックレス」(9モチーフ、イエローゴールド、ホワイト マザーオブパール)」¥1,438,800/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

さらに、2006年には3つの新しいアルハンブラが発表される。「ビザンチン アルハンブラ」は、ソリッド モチーフとオープンワーク モチーフを組み合わせたミニマムなデザインが特徴で、「マジック アルハンブラ」は、さまざまなサイズのアルハンブラ モチーフがリズミカルな表情を作り出す。そして、「ラッキー アルハンブラ」は、メゾンが愛する自然のモチーフをちりばめたコレクションで、ハートや蝶、葉、クローバーのモチーフが豊かな色彩とフォルムによってポエティックな世界へと誘ってくれるのだ。

左から「ビザンチン アルハンブラ ブレスレット」(イエローゴールド)¥332,200 「マジック アルハンブラ イヤリング」(ホワイトゴールド、ホワイト&グレー マザーオブパール、カルセドニー)¥1,148,400/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

「ラッキー アルハンブラ ロングネックレス」(イエローゴールド、カーネリアン、タイガーズアイ、ホワイト&グレー マザーオブパール、マラカイト)¥2,085,600 /ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

そして、アルハンブラ誕生から50年を迎えた2018年には、初めてモチーフにギヨシェ彫刻をほどこしたイエローゴールドのコレクションを発表。ギヨシェ彫刻とは、太陽光線のような深い彫り込みが金属の表面に繊細なレリーフ効果をもたらし、光が巡るかのような輝きを生みだす技術だ。メゾンでは、1910年代に時計の文字盤を装飾するために用いはじめ、その後1930年代には、ケースやパウダーコンパクト、ミノディエールに取り入れられるなど、アイコニックな伝統技術のひとつだ。そんなギヨシェ彫刻を施した新作が、ローズゴールドとカーネリアンの温かみある色合いで登場した。シンプルなデザインを支える、卓越した技術と選び抜かれた素材の魅力あふれる作品だ。

「ヴィンテージ アルハンブラ ブレスレット」(ローズゴールド、カーネリアン)¥572,000/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

“幸福”というテーマに生命を吹き込み、時の流れとともに新しさを追求し続けてきたアルハンブラ コレクションは、“どんなシーンでも使いやすく、遊び心のあるジュエリー”という当初のコンセプトを守りながらも変化し続けてゆく。だからこそ、「今を生きるクラシック」と呼ばれているのだ。

アルハンブラは、どんな時代にも静かに寄り添い、まとう人のお守りとして幸福の種をまく。そして、まだ見ぬ未来を生きる人々にも、幸せの花を咲かせていくに違いない。

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Editor: Asako Kanno