幸せを運ぶハイジュエラー
ヴァン クリーフ&アーペルの世界 vol.18

2022.10.21

ミノディエールという芸術作品にみる、職人たちの競演

ヴァン クリーフ&アーペルを象徴する作品のひとつ「ミノディエール」。その小さなケースに宿る、メゾンの豊かな歴史と、職人たちの超絶技巧の秘密を紐解いてゆく。

ブラックタイ ミノディエール
意匠を凝らしたミノディエールは、繊細なダイヤモンドのオープンワークやピンクサファイアのリボンなど、ハイジュエリーと同様の技巧がほどこされている。ブラックタイ ミノディエール(ホワイトゴールド、ピンクゴールド、ピンクサファイア、オニキス、養殖ホワイトパール、エボニー、べっ甲、ダイヤモンド)2016年/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

メゾンが大切にしてきた作品のひとつに「ミノディエール」と呼ばれる、メゾン独自のアイテムがある。このヴァニティケースとハンドバックを独創的に融合したアイテムは、メゾンの誇るクラフツマンシップ(職人芸)をすべて注ぎこんだ、アート性の強い魅力的なハイジュエリーだ。ケースの表面には、宝石で描いた絵画を見るかのような、緻密かつ詩的な表現がほどこされ、中の仕切りはオーダーメイドでどのようなデザインをも可能とする、まさに贅をつくした宝飾工芸品なのだ。

ブラックタイ ミノディエールの内部。
ブラックタイ ミノディエールの内部。
ブラックタイ ミノディエールの内部。鏡や口紅、パウダーケース、カードケース、小さな時計など、女性の必需品をすべてセットしている。

ミノディエールの誕生は1933年まで遡る。創業者一族の一人、シャルル・アーペルが、米国の鉄道王、フランク・ジェイ・グールドの妻で、米国人社交家のフローレンスに出会った時、あるインスピレーションを得る。彼女が、素っ気ない金属の箱に必要な小物を詰め込んでいるのを見て、かつて1920年代に人気を博したヴァニティケースを復活させることを思いついたのだ。そして、その新しい作品の名前には、パリ郊外にある一族の邸宅の名にちなみ「ミノディエール」と名付けられた。

エグランティン ミノディエール
エグランティン ミノディエール
優美な花のクラスプは、取り外すとクリップとしても使用できる。限られた空間の中に、ライターやパウダーコンパクトなどもセット。当時、女性が公然と時計を確認することはエチケットに反する時代だったため、内部に時計が隠されているのも優美なアイデアだ。エグランティン ミノディエール(イエローゴールド、ファセットルビー)1939年/ヴァン クリーフ&アーペルのアーカイブス

ミノディエールの内部や、超絶技巧を映像から体感できる。

ミノディエールの制作過程は、まずマケット作りから始まる。そのすべてのデザインを実現するために、3次元でボリュームを再現し、正しい比率が確認されるのだ。そのマケットは慎重に幾度となく検証されたのち、最後にはメゾンが重要視する、ヴァン クリーフ&アーペルらしい詩情あふれる世界が表現されているかを確認し、ようやく職人たちは仕事にとりかかることとなる。まず、ミノディエールのスペシャリストである職人が、金またはプラチナのプレートでコンテナと蓋を成形する。その後、研磨職人により、表面は平になるまで鏡面仕上げがほどこされてゆく。妖精や花などのモチーフをセットする際も、宝飾職人が作ったワックスモデルで、メゾンらしい表現方法、比率など、細かい検証が続けられ、すべてがクリアになるとついに、金で鋳造されることとなる。

フェ カレス デオル ミノディエール
今にも羽ばたきそうなほどにしなやかな妖精をセットしたミノディエール。彫刻作品のような芸術性が香りたつ。フェ カレス デオル ミノディエール(ホワイトゴールド、ラウンド&ペアシェイプカット ダイヤモンド)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

宝石による作業が始まると、「黄金の手(マンドール)」と呼ばれる宝石職人が、その卓越した技を見せつける。職人たちは、選び抜かれた最高峰の宝石を、その高い技術を駆使するだけでなく、注意力、想像力といった技能とともに、数百時間もの時間を費やし、作り上げていく。彫刻、焼き付け、セッティングなど、それはまるで、メゾンの工房に引き継がれてきた伝統的な技法が、時空を超えて夢の世界を描き出してゆくかのようだ。

レディバード ミノディエール
レディバード ミノディエール
虹色のケースを彩るのは、グレーとホワイトのマザーオブパール。楽園のように華やかな超絶技巧がちりばめられた、まさに芸術作品だ。レディバード ミノディエール(ホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールド、カラーサファイア、ルビー、エメラルド、ツァボライトガーネット、コーラル、オニキス、グレー&ホワイトマザーオブパール、ダイヤモンド)/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

その小さな空間に、夢と革新性をつめ込んだ「ミノディエール」は、ヴァン クリーフ&アーペルの奇跡の職人技と研ぎ澄まされた美意識の結晶だ。そして、受け継がれる詩的な創造性が、唯一無二の輝きをそえている。

ヴァン クリーフ&アーペル エキシビション「LIGHT OF FLOWERS 花と光」

ヴァン クリーフ&アーペル エキシビション「LIGHT OF FLOWERS 花と光」

常に自然界からインスピーションを得てきたメゾンが、花道みささぎ流家元・片桐 功敦氏とともに、詩的な花の世界へと誘うイベントを開催。
会期:2022年11月3日(祝・木)〜12月12日(月)10:00〜17:00
会場:世界遺産 下鴨神社 境内(京都市左京区下鴨泉川町59)
入場料:無料(予約不要)

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク

0120-10-1906

Editor: Asako Kanno

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