Watch & Jewelry

ヴァン クリーフ&アーペルの世界 vol.21

Van Cleef & Arpels

2023.4.15

希望へと誘う、メゾンの伝統を宿した愛しき動物たち

今にも飛び跳ねそうなフロッグ、陽気で冒険心旺盛なダックスフンド、子供時代の記憶を手繰り寄せるかのようなテディベア。2017年に登場した愛らしい動物たちのコレクション「ラッキー アニマルズ コレクション」に、新たに5種類の仲間がお目見えだ。

目にするだけで思わず笑みがこぼれ落ちる、その愛嬌(あいきょう)たっぷりの動物たち。「ラッキー アニマルズ コレクション」は、ポエティックかつ遊び心にあふれた、メゾンらしいスピリットが宿るコレクションだ。このチャーミングな動物たちは、1954年に誕生した「ラ ブティック」へのオマージュともいえる作品だ。「ラ ブティック」とは、毎日気軽に身に着けることのできるジュエリーとして幅広い顧客たちへ向けて提案されたコレクション。その愛らしい動物のモチーフは、それまでのハイジュエリーの既成概念を覆すこととなる。特にクリップは、ジャケットやコートの襟元、また帽子や髪にあしらうなど、当時の女性たちにとって、ファッションの仕上げになくてはならない大切なアイテムだった。「ラ ブティック」のクリップは、グレース・ケリーやジャクリーン・ケネディ・オナシスなど、伝説のファッションアイコンたちに愛されると当時に、ラッキーチャームとして世の女性たちをとりこにしていったのだ。

アメリカのアニメーションを着想源としたユーモラスと愛嬌たっぷりの動物たちが掲載された当時のカタログ。ヴァン クリーフ&アーペル“ラ ブティック”カタログ(1966年)/ヴァン クリーフ&アーペル アーカイブス

今回の新作は、テディベア、フォックス、フロッグ、そしてビション フリーゼ、ダックスフンドの2つの犬種を加えた全5種類だ。その愛くるしく、生き生きとした動物たちの魅力を紐解くと、そこにはいつも、メゾンに引き継がれる卓越したサヴォアフェール(たくみの技)がある。例えば、多彩な素材と色調の組み合わせが特徴的なこのコレクションは、鮮やかで均一な色調がオーナメンタルストーンの選定基準となる。ダックスフンドの毛並みを繊細に表現するのは、カーネリアンのオレンジがかったレッドの色味。躍動感あふれるフロッグを描くのは、調和の取れた縞模様のマラカイトだ。また、オニキスの深く艶やかな黒が、動物たちの目に輝きを添えていく。マザーオブパールにおいては、ホワイトは色にムラや曇りのない極めて希少なものを、そしてグレーは、かすかなブルーやピンクがかったものが、慎重に選別されていく。すべての素材は、メゾンの熟練した宝石鑑定士の審美眼によって選び抜かれ、最高品質の石のみが使用されるのだ。

クリップ「テディベア クリップ」(ローズゴールド、ホワイト マザーオブパール、オニキス)¥1,082,400/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

クリップ「フォックス クリップ」(イエローゴールド、カーネリアン、ホワイト マザーオブパール、オニキス)¥1,082,400/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

クリップ「ビション フリーゼ クリップ」(イエローゴールド、グレー マザーオブパール、ホワイト マザーオブパール、オニキス)¥1,082,400/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

クリップ「フロッグ クリップ」(イエローゴールド、マラカイト、ホワイト マザーオブパール、オニキス)¥1,082,400/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

クリップ「ダックスフンド クリップ」(ローズゴールド、カーネリアン、オニキス)¥973,500/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

クリップの制作は、その小さな世界の中で宝石の光を操り、さまざまな要素を組み合わせながら作業が進んでいく。その過程では、素材の選定だけでなく、極めて正確なセッティングが欠かせない。ストーンやマザーオブパールのカット、辛抱強く繰り返される研磨。そして動物たちのシルエットを縁取るゴールドビーズは、ひとつひとつ手作業で磨かれていく。職人たちの手により艶やかに磨き上げられたゴールドが、脚や耳、そして鼻や口にあしらわれると、ようやく動物たちに輝く生命が宿り始めるのだ。

2023年の干支でもある、ラビットのクリップを見てみよう。1968年に「ラ ブティック」から発表された作品と、「ラッキー アニマルズ コレクション」から2017年に発表された「ラパン クリップ」。そのデザインや構図からは、引き継がれるメゾンの伝統を垣間見ることができる。また、ラパンの茶目っ気あふれる優しい表情やしぐさは、希望あふれる未来へと、自信たっぷりに先導してくれているかのようにすら見えてくる。メゾンが創業当時から大切にする、命あるものを慈しむ心。その、あふれる愛情を吹き込まれた魂あるクリエーションだからこそ、私たちをこんなにも魅了し続けるのに違いない。

ラパン クリップ(1968年)/ヴァン クリーフ&アーペル コレクション

クリップ「ラパン クリップ」(ローズゴールド、オブシディアン、ホワイト マザーオブパール、オニキス)¥885,500/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

「ラ ブティック」の時代から、特に人気の高い「リオン エブリフェ(ボサボサ髪のライオン)」は、時代とともに、少しずつその表情を変えながら今に続く、人気のモチーフ。動画からは、精緻な職人の技をのぞくことができる。

ジュエリーと宝飾芸術の学校「レコール」が再び日本に上陸

2012年にヴァン クリーフ&アーペルの支援のもと、パリのヴァンドーム広場に創設されたレコールは、宝飾芸術の世界を一般の方々に向けて門戸を開いた世界で初めての学校。パリと香港に拠点を置く「レコール」は世界を旅する学校でもあり、2013年と2019年には日本で特別講座が開講。日本での初開校から10年を迎えた今年、再び東京に特別講座が戻ってくる。

プログラムは全てパリ本校と同様で、講師や職人もすべて本校で活躍するそれぞれの分野の専門家により行われ、多彩な学びの機会が用意されている。

前回2019年に開催された「レコール日本特別講座」の「イブニング カンバセーション」風景。ジュエリーの世界を深く掘り下げる対話が、学びの世界へと聴講者を誘う

講座のなかのプログラムのひとつ「原石の世界」。ここでは、宝石の観察や実験を通して、最も貴重な石の識別方法、評価手法を学び、その謎を解読する。

「レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校」日本特別講座

日程:2023年2月24日(金)〜3月10日(金)

場所:京都芸術大学 外苑キャンパス

東京都港区北青山1-7-15 2階

お申込み方法:レコール日本特別講座 公式サイトにて受付(2023年1月20日公開予定)

公式サイト

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Editor: Asako Kanno