ホテルメイドのリュクスなパンと 爽やかなワインで、多彩な美味発見
ワインのつまみは数あれど、「これがあると、なぜかほっとする」というのがパン。パテを塗ったり、チーズをのせたりするのが一般的な楽しみ方だが、パレスホテル東京の「BAKERY BOX for Wine Lovers」は、パンだけでワインが楽しめてしまうという“理想のパン”なのだ。
その内容は実にバラエティ豊か。例えば、「ゴルゴンゾーラ ノワ&ミエル」はゴルゴンゾーラチーズとはちみつの甘さが絶妙で、ついついワインが進んでしまう一品。「パン オ チョリソー」はイベリコ豚のチョリソーのピリリとした辛さが癖になる。ほかにも、「オリーブ&トマト」など個性豊かなパンがそろい、どれから食べようか、ついつい迷ってしまう。
パレスホテル東京のパンの魅力は、ホテルメイドの上質さがストレートに伝わってくるところにある。特筆すべきは自家酵母で、以前は1種類だったものを、現在はパンの種類に合わせて5種類に増やしたという。自家酵母自体、持っているホテルは多くない。しかもパンは、ホテル美食においては主役とはならない存在。だからこそ、ホテルのパンへの愛情と誇りが感じられるのだ。
「パンに、なにかもう一味を」というときには、同じくパレスホテル東京の「完熟オリーブのエキストラ ヴァージンオリーブオイル」がおすすめ。ふくよかな味わいがパンの小麦の甘さを引き出し、最高の調味料になってくれる。
ワインを合わせるなら、王道のブルゴーニュのシャルドネだろうか。実は、「BAKERY BOX for Wine Lovers」のリーフレットには、それぞれのパンに合うワインがサジェスチョンされているのだが、試してみたいとは思っても、大人数でもない限り、用意できるワインはやはり1、2本程度。ならばこの季節には、爽やかさを運んでくれるエレガントな白ワインを選びたい。
「シャントレーヴ ブルゴーニュ シャルドネ 2019」は、白い花やレモンの香りが際立ち、とてもアロマティック。清らかな酸味としなやかなミネラル感も魅力だ。「ブルゴーニュ シャルドネ」とは、ブルゴーニュ地方のシャルドネだけで造られ、地区や村名を名乗れないカジュアルワインなのだが、このワインは、格上の村名ワインに引けをとらないおいしさだ。
造り手は、日本人醸造家の栗山朋子さん。2010年にコート・ド・ボーヌ地区サヴィニー・レ・ボーヌに、夫のギョーム・ボットさんとともにメゾンを立ち上げた。ボットさんは通常は名門「ドメーヌ・シモン・ビーズ」の醸造責任者として働いているため、ワイン造りは栗山さんが行っている。日本の女性らしい繊細な感性が感じられるワインだ。
飲んで驚くのは、カジュアルラインに位置づけられるワインでありながらも、エレガントさと繊細さが際立っていること。チャーミングな果実味がパンの香ばしさに寄り添い、個性豊かなパンをさらに美味しくしてくれる。特に、いちじくやクランベリーなどのドライフルーツがぎっしり詰まったライ麦パン「フリュイ」とは相性抜群!
最もシンプルな組み合わせともいえるパンとワインのペアリングだが、“ワインラバーズのためのパン”だけあって、清涼感たっぷりのシャルドネと合わせると、多くの美味発見がある。週末、親しい人と一緒にさまざまなマリアージュを試しながら語らうのも、きっと楽しい。
Text: Kimiko Anzai Editor: Kaori Shimura