郷土愛を感じるブイヤベースと 海辺のロゼで、リゾート気分
この週末は、ちょっと海辺のリゾート気分に浸りたい――。そんなときにぴったりなのが、ブイヤベースのお取り寄せ。海の幸たっぷり、見た目もゴージャスなブイヤベースは、地中海の海辺の街をイメージさせ、リゾート気分を盛り上げてくれる。
イチオシはFUSABUSAの「房総ブイヤベースセット」。房総産の伊勢海老が丸ごと入ったぜいたくな一品で、魚のうまみたっぷりの自家製スープや自家製ルイユ(ニンニクとサフランのマヨネーズ)がセットされているのもうれしい。
驚くのが魚介類の新鮮さで、産地直送の新鮮な魚を尾頭つきで送ってくれる。でも、「さばくのが大変では?」という心配は無用。内臓などはすべて下処理してあるので、ぶつ切りにするだけで調理は万全。実は、ここには「魚の新鮮な状態を見てから、ブイヤベースを楽しんでほしい」という作り手の願いが込められている。
FUSABUSAは、自然と暮らしをつなぐアトリエ兼工房として活動。代表の小野薫さんは、自然豊かな千葉・房総の魅力を日々発信している。この「房総ブイヤベース」もそのひとつで、「新鮮な房総の海の幸を楽しんでほしい」という地元の漁師さんたちの思いが伝わってくる。
調理はいたって簡単。鍋にスープを入れ、煮立ったらぶつ切りにした魚や貝類、伊勢海老を入れるだけ。だが、これが実に美味なのだ。魚のアラや磯ガニのミソ、ハーブやスパイスが溶け込んだスープは濃厚で、化学調味料を使用していないため、味わいはとてもピュア。白身魚はほろりとやわらか、伊勢海老はやさしい甘味が感じられる。スープが残ったらご飯を入れてリゾットにして楽しめば、お腹も心も大満足。
この華やかな一品にワインを合わせるならロゼがいい。ブイヤベースには白を合わせることが多いが、コクのあるスープや魚の磯の香りを優しく包んでくれるのは、実はロゼ。しかも、ミネラル豊かでフレッシュな酸味の海辺のロゼなら、ブイヤベースがさらにおいしくなる。
選んだのはイタリア・トスカーナ州の「カンポ・アッレ・コメーテ ボルゲリ・ロザート」。サクランボやラズベリー、ハーブの香りが豊かで、まるでフルーツを食べているかのようなジューシーさが魅力的。一見“可愛いロゼ”なのだが、しなやかなミネラルがあり、ブイヤベースの磯の香りにも、しっかりと寄り添ってくれる。
「カンポ・アッレ・コメーテ」は、南イタリアを代表するワイナリー「フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ」がこのボルゲリの地に新たな可能性を見つけて新たに設立したワイナリーで、この地のテロワールを生かしたワインを生み出している。
ボルゲリは、「サッシカイア」や「オルネライア」など世界的評価が高い「スーパー・タスカン(トスカーナ)」と呼ばれる赤ワインで有名な土地だが、実は、ロゼの名産地でもある。地中海に面しており、ブドウは涼しい海風の影響を受けて健康に育つ。夏は地元の人々でにぎわうリゾート地となり、店先に浮き輪を並べた雑貨店やアイスクリームショップなどが軒を並べる。どこかノスタルジックな空気感が魅力的だ。
なかなか海外旅行がかなわない今だから、海の香りを感じるブイヤベースとロゼワインでリゾート気分に浸るのもいい。暑い夏、自宅でリラックスしながら、地中海の小さな街に思いを馳せてみたい。
Text: Kimiko Anzai Editor: Kaori Shimura