京都の名割烹の鯖寿司に寄り添うのは スタイリッシュな南仏のロゼ
食通を唸らせる京都の名割烹として名高い「祗園 にしむら」。近隣ではない限り、なかなか訪れることができない店ながら、その味を気軽にお取り寄せできるのが鯖寿司だ。塩と酢で絞められた鯖は、少しレアな食感が特徴的で、ご飯とのバランスも絶妙。通年で提供している「東山」は、甘酢に漬けた白板昆布が、刺身にも近いような食感の鯖にやわらかな甘酸っぱさを添え、一度食べたら忘れられないおいしさだ。
もともとは「お凌ぎ」の一品だったが、常連客から「持って帰りたい」というリクエストが多く出るようになり、店主の西村元秀さんが「お店の味を気軽に知っていただけるなら」と誕生させたもの。こだわりは、なんといっても鯖の鮮度で、近海ものの大型鯖のみを使用し、鯖本来の味を生かしつつ、ほどよい酸味に仕上げている。
なかでも京都の冬を感じられる特別な逸品が「八坂の雪」で、これは鯖寿司を京都の老舗漬物店「大藤」の千枚漬けで巻いたもの。11月から3月までの限定品で、冬にしか味わえない美味。西村さんは言う。
「“料理屋の鯖寿司”として京都らしさが出せるかと、千枚漬けを巻いてみましたが、締めた鯖とよい相性でした。『大藤』さんの千枚漬けを選んだのは、とても京都らしい味ということもありますが、先代の大将がうちをごひいきにしてくださったという理由もあります」。「八坂の雪」には西村さんの京都への愛情と思いと食べる人への思いが込められているのだ。
鯖寿司には日本酒が定石だが、ワインを合わせるならロゼがいい。それも、ドライなニュアンスのロゼなら、鯖寿司にしっかり寄り添ってくれる。仏のプロヴァンスは、イワシなどの青魚料理も多く、ここで生まれるロゼワインは青魚との相性も抜群。
今回のセレクトは「シャトー ミニュティー ロゼ エ オール」で、グレープフルーツなどの柑橘や白い花の香りと上品な酸味がチャーミング。造り手の「シャトー ミニュティー」は高級リゾート地のサントロペで80年続く老舗ワイナリーで、プロヴァンスで23しかない第1級格付け(クリュ・クラッセ)に認定された造り手。その実力もさながら、スタイリッシュでエレガントな味わいにファンが多い。
はんなりとした風情の京都の名店の鯖寿司には、あえてスタイリッシュでクールなイメージのプロヴァンスのロゼを。リゾート地で楽しむ軽やかなロゼとはまだひと味違って、しっとりとした大人っぽさを感じさせてくれるはず。
まずは、千枚漬けで巻いた「八坂の雪」と一緒に。お正月を慌ただしく過ごした人にもほっとひと息、リラックス感に満ちた静かなひとときを楽しませてくれるに違いない。
※掲載商品は、すべて税込み価格です。
Text: Kimiko Anzai Editor: Kaori Shimura