グッチの日本初のレストランが銀座に誕生。そのこだわりとは?

2021.12.24

「和牛 ミラノ風」©Hiroki Kobayashi
「和牛 ミラノ風」©Hiroki Kobayashi

今年4月に銀座並木通り沿いに新たに誕生した、グッチのフラッグシップショップ「グッチ並木」。その最上階に、レストラン「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」が10月28日にグランドオープンした。東京店は、イタリアのフィレンツェ、ロサンゼルスのビバリーヒルズに次ぐ、栄えある3店目となる。
 エントランスを入るとまずは、グッチ デコール コレクションから取り入れたティアンプリントのウォールペーパーを一面にあしらい、さらにその上にウッドの格子を重ねた冬の庭園のような幻想的な空間が広がり、グッチならではの世界観に圧倒される。ティアン(=豊穣な楽園)という意味のとおり、これから始まる夢のような食事へと誘われる、プロローグだ。

©Hiroki Kobayashi
©Hiroki Kobayashi

4階に上がると右手にラグジュアリーなバーコーナーが目に入り、その先には植栽をあしらったルーフトップテラスが見えてくる。毎日16時から18時まで、イタリアの伝統的なアペリティーヴォが楽しめるという。ドーム型の屋根の先は天空。そう、実はオープンエアなのである。銀座の一等地にあって、外気の入り込む、贅沢な空間だ(天候・気候によってクローズ)。
 ダイニングはコーナーごとにさまざまなグリーンのパレットがあしらわれ、ダイニングテーブルの周りを深いピーコックグリーンのベルベットのソファーが囲むコーナーがあり、シックな空間を作り上げている。さらに、アレッサンドロ・ミケーレが収集したアンティークにインスピレーションを得たパターンをハンドペイントで施したフローリングが、「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」の個性を一層際立たせている。

©Hiroki Kobayashi
©Hiroki Kobayashi

料理を監修するのは、世界的な料理の巨匠、マッシモ・ボットゥーラ氏。イタリア・モデナの自身のレストランがミシュラン3つ星に輝き続けているのはもちろん、ロンドン発のアワード「世界のベストレストラン50」では2度1位に輝き、殿堂入りしている。押しも押されもせぬガストロノミー界の逸材だ。
 もともと「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ」は、グッチ社長兼CEOのマルコ・ビッザーリ氏とマッシモ・ボットゥーラ氏が同郷の幼なじみで、ごく自然にスタートしたプロジェクトだったという。
 ボットゥーラ氏は言う。「このプロジェクトについて、初めてマルコ・ビッザーリと話したときのことはよく覚えています。とても印象的でした。アレッサンドロ・ミケーレも同席していて、彼も私も、ノスタルジックではなく、むしろ批判的な目を持って過去を見つめ、現代的な目と心、手法とビジョンを大切にしながらも、伝統を失いたくないという強い思いを持って、過去最良のものを未来につないでいこうとする視点が非常に似ていると感じたのです」と。ユーモアのセンスや仕事への取り組み、誠実さといったことはもとより、そうしたさまざまな価値観を共有してきた3人だからこそ、実現できた奇跡のコラボレーションと言えるだろう。

©Hiroki Kobayashi
©Hiroki Kobayashi

だからこそ「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ」は、同じ価値観や理念を大切にしながら世界の選ばれた都市でそれぞれに進化する、コンテンポラリーなレストランであり続けている。各店ともボットゥーラ氏が料理長を選定・監督し、それぞれのシェフの個性やアイデアを尊重するという手法を続けている。結果、フィレンツェ店は2019年にミシュラン1つ星を取得。ロサンゼルス店も2021年に1つ星を、見事に獲得している。
 3店目の東京店に関して、ボットゥーラ氏は言う。「日本はイタリアと同様に、その土地の文化と深く結びついた食材や料理を大切にしていて、それは間違いなく世界で最も魅力的。だから、日本は私にとって特別な場所です。そこに『グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ』を作ることができ、みなさまを迎えられるのはまたとない喜びです」と。

「サバ ナポリから東京へ」©Hiroki Kobayashi
「サバ ナポリから東京へ」©Hiroki Kobayashi

日本のヘッドシェフに選ばれたのは、アントニオ・イアコヴィエッロ氏。南イタリア・カンパニア州生まれだが、南仏サントロペ「ビブロス」でアラン・デュカス氏に、デンマーク「ノーマ」でレネ・レゼピ氏に、南イタリア「ドン・アルフォンソ 1890」でエルネスト・イアッカリーノ氏に師事と、世界的なレストランのシェフのもとで経験を積んだ。その後、2020年9月から2021年5月までフィレンツェの「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ」で、ボットゥーラ氏、ヘッドシェフのカリメ・ロペス氏、スーシェフの紺藤敬彦氏のもと、料理において最も大切なクリエイティビティー、エレガンス、遊び心を学んだという。東京店のオープンに先駆けて来日してからは、日本の食材の追求に余念がなく、コンテンポラリーなイタリア料理のスタイルに取り入れるべく、熱心に研究している。

左から、「パンナコッタ 柚子のジュレと白エビ添え」「プロント ルイーザ...ビッザへのオマージュ」©Hiroki Kobayashi
左から、「パンナコッタ 柚子のジュレと白エビ添え」「プロント ルイーザ...ビッザへのオマージュ」©Hiroki Kobayashi

さて、アントニオシェフが、現在ディナーのコースメニューとして供している料理を紹介しよう(2021年12月現在)。前菜は「パンナコッタ 柚子のジュレと白エビ添え」。パンナコッタといえどもデザートではなく、甘エビと甘エビの卵を使用したクリーミーな一皿。「サバ ナポリから東京へ」は、熟成したサバをスティックセニョールと。「プロント ルイーザ...ビッザへのオマージュ」は、山形県産のカルナローリ米と枝豆を使ったリゾットに味噌の風味をきかせて。「ラーメンになりたいパルミジャーナ」というユニークな料理名を持つ一皿は、ラーメンからインスピレーションを得て、パスタとグリルしたナス、その下にペースト状にしたナスのパルミジャーナを添え、ナスをベースにしたブロードで仕上げた。「和牛 ミラノ風」は、和牛を軽やかに片面のみコトレッタミラネーゼに。「ホタテ マントヴァ風トルテッロ」は、帆立をデザートに使用し、カボチャとオレンジのアイスクリームを添えた個性的な一皿。「ババミス」はババとティラミスの融合で、上面には最中の皮が使用されている。こうして、非常に完成度の高いエレガントなコースの中に、随所に見られる遊び心など、しっかりとボットゥーラ氏のDNAを受け継いでいると言えるのだ。

「ラーメンになりたいパルミジャーナ」©Gabriele Stabile
「ラーメンになりたいパルミジャーナ」©Gabriele Stabile

アントニオシェフに「マッシモさんとどんなコミュニケーションがあり、料理を決めていくのですか」と聞くと、こう答えてくれた。
 「マッシモとは料理のバックグラウンドを話します。するとマッシモから、もっとこんなふうにしたら楽しいのではないか、そんなアドバイスが返ってくる。マッシモは私のマインドを開けるのを手伝ってくれ、考えを明確にしてくれるのです。料理自体はイタリアの伝統と日本の食材を大切にしながら、驚きのある、喜びに満ちたものを心がけています。まず、その料理に関して、どのようなストーリーを伝えたいかを考え、自分が思い描いたコンセプトを表現するために必要なテクニックを自分の経験から組み立てます。私が考えた料理のコンセプトに合わせて、ともにキッチンを率いている渡部駿をはじめとするチームで日本の食材のアイデアを出し合い、メニューを開発しています」
 こうしたオリジナルコースメニューのほかにも「エミリア バーガー」や「トルテリーニ パルミジャーノ・レッジャーノ クリーム」など、「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ」のシグネチャーディッシュもオンメニューされている。
 ワインもイタリアを中心に350種を超える品揃えを誇り、多彩な要望に対応している。グッチらしさを前面に押し出したスタッフのユニフォームから、ビー(ハチ)がモチーフの愛らしい器やインテリアの細部に至るまで、グッチならではの美学が生きた、「グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ」の世界観を堪能してほしい。

グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ

東京都中央区銀座6-6-12 グッチ並木4階
☎03-6264-6606
営業時間:ランチ11:30~14:30(日曜のみ~15:30)
ディナー18:00~23:00(月曜~土曜)
アペリティーヴォ16:00~18:00(月曜~土曜、テラス席のみ、季節・天候によりクローズ)
バー18:00~23:00(月曜~土曜、テラス席のみ、季節・天候によりクローズ)
不定休

Text: Hiroko Komatsu
Editor: Kaori Shimura

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