気鋭のシェフのフレンチと 優雅なロゼ・シャンパーニュは、まさに運命
おいしいもの好きの友人が、ある日「絶品だから食べてみて!」と送ってくれたのが、表参道のフランス料理店「エラン」の「リエット」と「キャラメルブールサレ」だった。冷蔵庫にあったロゼワインと合わせてみたら、確かに絶品! あまりにも気に入ってしまい、それ以来、「おいしいものは、やはり多くの人に知ってもらわなくては」と、ことあるごとに親しい友人たちに紹介している。
「エラン」には「パンのお供セット」と「パンセット」があるが、今回お勧めするのは「パンセット」。理由は、「レストランで焼いた香ばしいパンがセットされているから」。
信太竜馬シェフは「トロワグロ」や「エスキス」で研鑽を積んだ、今注目の気鋭の料理人で、このお取り寄せのセットは、コロナの自粛時期に「レストランの味を気軽に楽しんでもらえたら」と誕生したもの。パンも、「レストランの料理は自分の料理。だから、パンもきちんと焼いて、自分のパンでリエットやパテを楽しんで欲しい」という思いで、厨房で毎日焼いているという。
「パンセット」にはフォカッチャやパン・ド・カンパーニュ、バゲットがセットされているが、それぞれが粉からこだわった食べ応えのあるパンばかり。そして、感動的においしいのが前述の「リエット」と「キャラメルブールサレ」で、山形ポークを使った「リエット」はとても繊細な味わいだ。リエットをラードが覆い、その上には自家菜園のハーブがちらされている。好みでラードとハーブをリエットに混ぜ込んでコクのある味を楽しむのもいいし、ラードは後でステーキや焼き肉などに使ってもいい。
この「パンセット」に合わせるなら、ロゼ・シャンパーニュがベスト。それも、ミネラル豊かでコクのあるタイプがいい。
選んだのは「ドビ」というレコルタン・マニピュラン(小規模生産者)のロゼ・シャンパーニュ「ドビ ブリュット ロゼ」。1942年に貴族のドビ家によって設立されたメゾンで、エレガントなスタイルに定評がある。かつてはフランス国内だけで消費されていたが、醸造学校で自然環境について教鞭を執っていた娘のフロール・ドビさんが醸造に携わることになり、彼女の「この地のテロワールの素晴らしさを多くの人に知ってほしい」という思いから、世界に輸出されるように。ブドウ栽培も厳格なリュット・レゾネ栽培(減農薬)を実施、力強さを感じさせながらも、ピュアで繊細な味わいに仕上げている。
この「ドビ ブリュット ロゼ」に「リエット」と「キャラメルブールサレ」を合わせると、まさに至福! ロゼ独特のコクが「リエット」の脂をすっきりと、そして「キャラメルブールサレ」の甘みと苦みを軽やかに楽しませてくれるのだ。もちろん、パンとの相性も抜群で、リエットをパンにのせて、キャラメルをパンに塗って……という“キケンな美味スパイラル”にはまってしまう。
気鋭のシェフの手による本格フレンチと優雅なスタイルのロゼ・シャンパーニュは、出会うべくして出会った運命のマリアージュ。週末、ゆったりと楽しんでみたい。
※掲載商品は、すべて税込み価格です。
Text: Kimiko Anzai Editor: Kaori Shimura