「星のや沖縄」で琉球養生を体験

2022.03.11

「星のや沖縄」で琉球養生を体験

美しい海を望む絶景のロケーションで沖縄の歴史や文化を感じられる、沖縄の贅沢を集めた空間を――そんな思いから、2020年7月に誕生した「星のや沖縄」。このたび新たにスタートした、沖縄の文化や自然の力を活かして英気を養う滞在型のウェルネスプログラム「琉球養生」をレポートする。

“沖縄の力”で鍛えて養うウェルネスプログラム「琉球養生」

「グスク」という言葉を耳にしたことのある人も多いだろう。グスクとは沖縄や奄美諸島に残されている史跡のことで、多くは琉球石灰岩の巨大な壁に囲まれており、その役割は有力者の居城、集落、地域の祈りの場など諸説あるけれど、琉球王朝時代の人々にとってとても大切な場所であったことは間違いない。
 2020年に沖縄県・読谷村(よみたんそん)に開業した「星のや沖縄」のコンセプトは「グスクの居館」。もしも現代にグスクがあり、その中で琉球王朝時代からの古きよき豊かな生活が守られ、進化し続けていたとしたら? そんなロマンチックなアイデアから生まれた特別感あふれるリゾートだ。

客室は全室オーシャンビュー。
客室は全室オーシャンビュー。目の前には自然海岸が広がる。海水浴を楽しみたければ、無料送迎車で3分のニライビーチへ。「星のや沖縄」宿泊者専用のビーチチェアとパラソルの貸し出しもある。

敷地は美しい海岸線に沿うように横に長く伸びていて、端から端までは1キロ以上に及ぶ。陸側はグスクからインスピレーションを得たという背の高い「グスクウォール」に囲まれ、プライベート感が保たれている。グスクウォールから中に入ると、目の前にシークヮーサーやグアバなどの果樹やハイビスカスなどの草花が育つ畑やガーデンが広がり、まるで楽園のよう。その向こうに、全室オーシャンフロントの客室が並ぶ2階建てのモダンな建物が連なっている。
 庭や畑を眺めながら散策していると、一年中楽しめるインフィニティプールやダイニング、スパ、「道場」と名付けられたアクティビティの拠点など、個性豊かなパブリックエリアがぽつぽつと現れる。景色を眺めながら施設の端から端まで散歩するのも楽しいし、少し距離のある移動はカートを利用すればスムーズだ。

インフィニティプールは加温式で、冬でも快適に利用できる。
インフィニティプールは加温式で、冬でも快適に利用できる。
「道場」で毎日15時から行われている無料のアクティビティ「海辺のひととき」は、沖縄の海辺のエリアを中心に古くから親しまれていたという「ぶくぶく茶」を味わうもの。
「道場」で毎日15時から行われている無料のアクティビティ「海辺のひととき」は、沖縄の港町を中心に古くから親しまれていたという「ぶくぶく茶」を味わうもの。泡とお茶を吸い込むように飲むと、煎り米の香ばしい風味が口いっぱいに広がる。
大きな木製の器と茶筅(ちゃせん)でお茶を泡立てて、丁寧に盛り付けるのが「ぶくぶく茶」の流儀。
大きな木製の器と茶筅(ちゃせん)でお茶を泡立てて、丁寧に盛り付けるのが「ぶくぶく茶」の流儀。

「夢中になるという休息」をコンセプトとする「星のや」では「滞在型ウェルネスプログラム」を提供しているが、「星のや沖縄」でこのたびスタートしたのが、沖縄の力で“鍛えて養う”ウェルネスプログラム「琉球養生」。沖縄の力というのはつまり沖縄の文化や自然のパワーのことで、滞在中に緊張と弛緩の波を繰り返すことで心身のバランスをととのえていくという。3泊4日の滞在型のユニークなプランの一部を、今回、体験することに。
 人はストレスを抱えると無意識のうちに身体がこわばり、それが心身の不調につながっていく。その緊張状態を和らげるのに有効なのが、緊張と弛緩を波のように何度も繰り返す方法なのだとか。「琉球養生」では3泊4日の滞在中、琉球空手や琉球舞踊の稽古、琉球薬膳をベースにした食事といった沖縄ならではの文化と豊かな自然を取り入れたメニューを通して、緊張と弛緩を交互に体験していきながら、心身に深いリラクセーションをもたらしていく。

「フゥシ(星)」は93~94m²の広さ。
「フゥシ(星)」は93~94m²の広さ。定員4名なので、ファミリーやグループでの滞在にもぴったり。

今回ステイしたのは「フゥシ(星)」というタイプの客室。客室への入り口は全面ガラス張りで、ドアを開けるとそこは大きなテーブルや冷蔵庫、オーブンレンジなどを備える「土間ダイニング」。突き当たりには美しいオーシャンビューが広がるという、なんとも開放的なしつらえに胸が高鳴る。室内には掘りごたつ式のリビングもあり、海辺に暮らすような滞在スタイルをかなえてくれる。
 ダイニングテーブルの上にはティーセットが。「琉球養生」プランでは滞在前に東洋医学に基づいた「体質判定問診シート」に自分の体調などを記入して提出するのだが、担当の施術師がその問診シートをもとに選んだ草根木皮(=漢方薬の原料)の茶葉が客室に用意され、滞在中いつでも味わえる。ちなみに私に用意されたのは、琉球王朝時代から薬膳料理として食されている沖縄伝統野菜のひとつ「クワンソウ」。リラックス、鎮静効果があるとして注目されているそう。

インフィニティプールでのアクアティックエクササイズの様子。
インフィニティプールでのアクアティックエクササイズの様子。

温かいお茶をいただいてひと休みしたら、さっそくプログラムがスタート。まずは、インフィニティプールでアクアティックエクササイズと浮遊浴を体験。プールは加温式なので、肌寒い季節でも心地よく入れるのがうれしい。スタッフの指導に従って水中を歩いたりなど身体を動かしたあとは、フロートポールに身を委ね、水に浮かんでリラックス。軽い運動と脱力のコンビネーションで、日頃たまった疲れが少しずつほぐれていくのを感じる。
 さらに、ホテルの前に広がる自然海岸で、30分程度の「浜ウォーキング」を。客室備え付けの機能的なビーチサンダルならば砂浜の上も意外と歩きやすいと聞き、試してみると、確かにそうなのだけれど、とはいえ、舗装された道を歩くのとは訳が違う。夕陽に照らされた海岸で、身体に軽い負荷がかかるのを感じながら砂浜を早いペースで歩くのは、なかなかに面白い。

2日目の夕食は「薬膳御膳」が提供される。
2日目の夕食は「薬膳御膳」が提供される。メインは旬の魚介の旨味をマース(塩)と泡盛で引き出す、沖縄の伝統料理「魚のマース煮」。フーチバー(よもぎ)をはじめとするハーブやスパイスをすり鉢でペースト状にし、太古ごま油を加えて作る「薬膳オイル」で味変するのも楽しい。

「琉球養生」プランの楽しみのひとつは、やはり食事。沖縄にはかつての琉球王朝時代から、食事で健康状態をととのえる習慣があり、「琉球養生」プランで提供される食事は、体調や季節に合った地元の食材で心身をととのえる「琉球薬膳」の考え方をベースにアレンジしたものが中心。フーチバー(よもぎ)に島とうがらし、月桃、イラブー、ウコンなど、沖縄ならではの素材を用いた食事はどれも滋味にあふれ、心と身体にしみじみと染み渡る。「薬膳御膳」「薬膳小鍋朝食」「薬膳ポタージュ朝食」は客室の「土間ダイニング」に用意されるので、窓を開けて心地よい風を感じながら、自分のペースでゆったりと味わえるのもいい。

沖縄発祥の武術である琉球空手を体験。呼吸や姿勢、意識にフォーカスしながら型の動きを学ぶ、自己鍛錬の90分間!
沖縄発祥の武術である琉球空手を体験。呼吸や姿勢、意識にフォーカスしながら型の動きを学ぶ、自己鍛錬の90分間!

「琉球養生」プランのハイライトといえるのが、琉球空手と琉球舞踊の稽古。今回は琉球空手を体験することに。「ホテルのアクティビティだし……」となんとなく真似事のようなものを想像していたら(失礼)、本格的どころか、“ガチ”の稽古! 上地流空手拳優会の会長で、世界でも有名な新城清秀先生が直々にきっちりと仕込んでくれる。
 私のような空手の経験も知識もゼロの人間には「普及型」と呼ばれる基本の型を教えてくれるのだが、動作を覚える時点で既に難しく、頭も身体も大混乱。それでも、厳しくも愛のある新城先生の指導を仰ぎながらどうにか続けていると、「マスターしたい!」という向上心がどんどん湧いてくる。終盤には蹴りでの板割り(!)も体験させていただき、予想以上にエキサイティングな90分間となった。内容はレベルや体力などにあわせて加減してくれるので、初心者も腕に覚えがある人も心地よい緊張感と楽しさを味わえるはずだ。

琉球舞踊は中国などとの交易により、おもてなしの文化として発達したものだそう。
琉球舞踊は中国などとの交易により、おもてなしの文化として発達したものだそう。歌の背景や込められた思いに触れながら、しなやかな動きを学んでいく。

琉球空手の稽古は、本プログラムのコンセプトである「緊張と弛緩」の緊張のパートの最たるものだが、弛緩の代表ともいえるのが、スパでのオイルトリートメントだ。3泊4日の滞在中の1日目と3日目に用意されていて、波のリズムや琉球舞踊のリズム、琉球空手の型を取り入れたストロークで深いリラクセーションへと導いてくれる。
 また2日目には、国家資格を持つ鍼灸指圧師によるカウンセリングと鍼灸指圧マッサージが。東洋医学に基づいた望診・聞診・問診・切診により今の体調を読み解き、施術を行ってくれる。私の場合は「脾」が弱まっていて、それを補うように「肝」の働きが強くなりすぎているということで、バランスをととのえるケアを施していただいた。終了後は身体の巡りがよくなり、すっきりとした感覚が。
 なお、実際にケアをしている間に鍼灸指圧師が気づいたことなどは、チェックアウト前の最終カウンセリングでフィードバックしてくれる。「琉球養生」はその場しのぎのプログラムではなく、ゲストが日常生活に戻ってからも緊張と弛緩のバランスを自分の力で楽しめる状態を目指すとあって、体調に応じておすすめの日常習慣も提案してくれる。

「星のや沖縄」の施設内でも育つ「月桃」をはじめ、沖縄の自然の力を活かしたトリートメントはまさに至福。
「星のや沖縄」の施設内でも育つ「月桃」をはじめ、沖縄の自然の力を活かしたトリートメントはまさに至福。

都会で時間に追われながら忙しく過ごす人にとっては、海辺のリゾートで頭をからっぽにしてゴロゴロ過ごすようなステイも魅力的。ただ、それとはまたひと味違う「琉球養生」の緊張と弛緩を波のように繰り返すウェルネスプログラムは、実際に体験してみると、心身が少しずつ穏やかに解放されていくのを感じる。琉球王朝時代から脈々と受け継がれる文化や食材に触れながら過ごしていると、今ここにある美しい海も空も空気も、すべてが決して当たり前ではない、とても尊いものなのだという実感が湧いてくる。
 日頃から自分と向き合う時間がなかなか取れない人、オンとオフの切り替えが難しいという人に、特におすすめしたいプログラムだ。

琉球養生

1名¥180,000(税・サ込み、宿泊費別、定員は1日1組2名まで)
※コンサルテーション2回、スパトリートメント2回、鍼灸指圧1回、浜ウォーキング、アクアティックエクササイズと浮遊浴、琉球空手の稽古、琉球舞踊の稽古、朝の鍛錬深呼吸、夜の調律深呼吸、朝食3回、昼食1回、夕食1回、おやつ1回、草根木皮のお茶を含む
※ゲストの体調や天候により内容変更の可能性あり
※食事内容や食材は仕入れ状況などにより変更の可能性あり

星のや沖縄 ☎0570-073-066(星のや総合予約)

Editor: Kaori Shimura

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