ボーム&メルシエ「BAUME コレクション」が導く、地球のための時計づくり

SDGsの「今」Vol.9

2022.05.13

ボーム&メルシエ「BAUME コレクション」が導く、地球のための時計づくり

SDGsをめぐるラグジュアリー界の最前線をご紹介する連載企画。第9回目は、地球環境への配慮を最優先に据え、従来のウォッチメイキングの在り方に挑む「BAUME(ボーム) コレクション」に注目しよう。2018年5月、高級時計業界最大手のリシュモングループから新ブランドとして誕生したボーム。リサイクル&アップサイクル可能な素材のみを使い、環境保護団体と協働しながら社会的責任におけるコミットメントを果たし、時計界の常識をことごとく覆してきた。その孤高のスピリットはそのままに、2020年5月以降はボーム&メルシエに統合され、コレクションのひとつとして再始動。さらなる高みを目指す持続可能なウォッチコレクション、ボームの真価とは?

ファッショナブルに社会貢献できる本格スイスメイドウォッチ

1830年に時計産業の中心地スイス・ジュラ地方で創業したボーム&メルシエ。「妥協を許すことなく、最高品質の時計だけをつくる」をモットーに、創業者たちが望んだ真正なクラフツマンシップを追い続けてきた。そんな老舗メゾンに、持続可能性をトッププライオリティとするボーム コレクションが新風を吹き込んでいる。2018年の誕生当時、時計業界ではほとんどなじみのなかった「リサイクル&アップサイクル」の理念をいち早く導入。本来高級時計といえば、プレシャスなゴールドやレザーは欠かせない“当たり前”を打破し、貴金属や動物性素材は一切使わない。地球に優しい再生素材・天然素材に徹底的にこだわりながら、それを美しくデザインし、かつアクセシブルな価格帯で提供するというチャレンジを見事達成してきた。

左から、「ボーム コレクション Baume 10601」「ボーム コレクション Baume 10602」
ミニマルに徹したデザインと、ポケットウォッチを連想させる12時位置のリュウズがトレードマーク。天然麻やコットンにコルク製のライニングを施したストラップは、リサイクル素材のボタン式システムで簡単に交換可能。左から、「ボーム コレクション Baume 10601」(ケース径41mm、SS、コットンストラップ、クォーツ)¥70,400 「ボーム コレクション Baume 10602」(ケース径35mm、PVD加工のSS、リネンストラップ、クォーツ)¥70,400

ストラップに使用されるのは、回収されたペットボトルを精製して紡いだ糸で作られるRPETなどの再生素材と、コルク、コットン、リネンといった土に還る天然素材のみ。センセーショナルなまでに新しい着眼点は、サステナブルなマテリアル使いに限らない。洗練されたルックスを備えつつも、本格スイスメイドの自動巻きモデルで税込20万円台、クォーツモデルで税込7万円台〜という手頃な価格帯を貫く。その背景には揺るぎない理由がある。より多くの人々に手にしてもらい、地球環境問題への意識向上のきっかけとなることを意図しているのだ。

2020年のボーム&メルシエとの統合までは、実店舗を持たずにECのみで販売していたボーム。当時はオンライン上で完全にカスタマイズでき、受注生産を基本とすることで、作りすぎや余剰品の廃棄問題も解決していた。製造体制から価格設定、販売方法に至るまで、すべてがラグジュアリーグループのブランドとしては前例のない大胆な試みだった。統合以降は、ボーム&メルシエのコレクションのひとつとして、公式オンラインブティックのほか直営ブティックでも販売されている。歴史あるメゾンに支えられ、高度なノウハウを生かしながら環境保護に対する使命を追求することが可能となったボーム コレクション。メゾンの時計製造技術とボームのミニマルで研ぎ澄まされたデザイン、デジタルイノベーション、アップサイクルの概念が融合し、さらなる成長に期待が高まるばかり。

海から集めたプラスチックの破片が、革新のタイムピースに

ボーム&メルシエに統合されたのち、新生ボームのファーストコレクションを飾ったのが、海洋汚染問題に取り組むNGO団体「Waste Free Oceans(WFO)」との提携による自動巻きの限定モデル「ボーム オーシャン」。かねてより、同団体やDigital For The Planetといった環境活動団体とパートナーシップを結び、社会問題に向き合ってきたボームだが、このコレクションはアップサイクルのコンセプトを象徴する記念すべき出発点となった。

ケース素材には海から収集され、WFOによって製造された再生プラスチックキャップを使用。外装には、ブルーまたはグリーンのアルミニウムを施した。100%再生プラスチックで作られた「シークアル®ヤーン」と呼ばれるストラップにも、エコロジカルな姿勢がうかがえる。

(左)「ボーム コレクション Baume 10590」「ボーム コレクション Baume 10587」 (右)RPET製の再生プラスチックをストラップに採用。
(左)「WFO」のロゴを配したケースバックから自動巻きムーブメントがのぞく、「ボーム オーシャン」限定モデル。「ボーム コレクション Baume 10590」(ケース径42mm、アルミニウムRPP、RPET製リサイクルプラスチックストラップ、自動巻き)¥203,500 トップページに掲載の商品は、カラー違いのもう1本の「ボーム オーシャン」限定モデル。「ボーム コレクション Baume 10587」(ケース径42mm、アルミニウムRPP、RPET製リサイクルプラスチックストラップ、自動巻き)¥203,500(右)RPET製の再生プラスチックをストラップに採用。プラスチックの破片の選定をするなど、ボーム&メルシエもWFOとの共同作業を進めた。

地球の未来のための5%と、パッケージングへのこだわり

目下、ボーム コレクション全体のテーマに掲げるのは、「地球環境の未来を考えた時計づくり」。ボーム&メルシエはアップサイクルに積極的に取り組むと同時に、ボーム コレクション1本の売り上げにつき2%ずつと、「ボーム オーシャン」限定モデル1本の売り上げにつき5%ずつをWFOとSEAQUAL INITIATIVEに寄付し、海洋汚染問題に尽力している。さらに、パッケージングにおいても過剰包装を避けたミニマルかつエシカルなこだわりがある。すべての時計は再生ポリエステルフェルトのポーチに包まれ、リサイクル可能な紙製の六角形のボックスに収められて販売される。紙材は、適切に管理された森の生産品であることを証明する、FSC認証を受けたもの。さまざまな角度から、社会的責任を真摯に果たすメゾンの姿がのぞく。

FSC認証を受けたリサクイクル可能な紙材にこだわった、ミニマルなパッケージ。
FSC認証を受けたリサクイクル可能な紙材にこだわった、ミニマルなパッケージ。直営ブティックにも、このアイコニックな六角形の時計ボックスがディスプレイされている。

時計に使用可能な代替素材を開発するプロジェクトや、東京五輪に出場したスケートボード競技のフランス代表選手と協働して廃材となった板をリサイクルし、時計ケースに応用するユニークなコラボレーションも引き続き実施中だ。レディスの最新作としては、月の満ち欠けを表示するムーンフェイズ機能を搭載したモデルが展開中。ナチュラルなアップサイクル素材とロマンティックな機構の融合は、まさに新生ボーム コレクションならでは。

「ボーム コレクション Baume 10639」
ミニマリストにささげる、モダンなムーンフェイズ。「ボーム コレクション Baume 10639」(ケース径35mm、SS、リネンストラップ、クォーツ)¥112,200 現在、公式オンラインブティックでは、ボーム コレクションを購入された方へ2本目のストラップをプレゼントする、オンライン限定の特典を展開中。

腕時計とはスタイルのステートメントになり、身につける人のパーソナリティと価値観を証明する存在。ダイヤモンドがきらめくプレステージな時計を好む女性がいる一方で、ボーム コレクションの存在意義に共感して選び取る女性もいる。ボーム コレクションをそっと腕にまとえば、サステナブルなラグジュアリーの未来に近づけるだろう。

問い合わせ先/ボーム&メルシエ 0120-98-8000

※この特集中、以下の表記は略号になります。SS(ステンレススティール)
※掲載商品は、すべて税込価格です。

Text: Etsuko Aiko
Editor: Kaori Takagiwa

TOPヘ