ティファニーのダイヤモンドがどこまでも“透明”な理由

SDGsの「今」vol.12

2022.08.26

ティファニーのダイヤモンドがどこまでも“透明”な理由

SDGs(持続可能な開発目標)をめぐるラグジュアリー界の最前線をご紹介する連載企画。第12回目は、世界屈指のダイヤモンドオーソリティであり、同時にダイヤモンドのトレーサビリティへの取り組みにおいても宝飾業界をリードするティファニーに注目したい。グローバルジュエラーとして初めて、2019年1月から、個別登録された0.18ct以上の自社ダイヤモンドの原産地情報を開示。その翌年には、鉱山からブティックに至るまでの全プロセスを明らかにする前代未聞のトレーサビリティ・プログラムを始動した。ティファニーのダイヤモンドが、その輝きだけでなく生産過程においても透明であることは、今や広く知られている事実だ。先駆者ティファニーの歩みを、ヴィクトリア・ワース・レイノルズ ヴァイス プレジデント兼チーフ ジェモロジストのコメントとともにお届けしよう。

ヴィクトリア・ワース・レイノルズ ティファニー ヴァイス プレジデント兼チーフ ジェモロジスト
ヴィクトリア・ワース・レイノルズ
ティファニー ヴァイス プレジデント兼チーフ ジェモロジスト
1985年にロードアイランド・スクール・オブ・デザインを卒業後、87年ティファニー入社。91年にはGIA(米国宝石学会)認定の宝石鑑定士の資格を取得。複数のマネジメント職を経て、2017年からハイジュエリー部門ヴァイス プレジデントに。20年、ティファニー史上初の女性チーフ ジェモロジスト(宝石鑑定士)に就任。ハイジュエリー制作に加え、トレーサビリティ・プログラムにも力を注ぐ。

1995年から始まったサステナビリティへの挑戦

ラグジュアリービジネスにおいて、サステナビリティとどう向き合うかが大きな経営課題となって久しい昨今。とりわけティファニーは、かなり早い時期から地域社会への貢献や人権保護・環境保全を志してきた。責任ある資源調達を推進し、採掘が環境に及ぼす影響の最小化を目指す取り組みの出発点は、1995年にさかのぼる。イエローストーン国立公園の自然を脅かす金鉱山の建設案が浮上していた当時、米国内務省に対して建設を認可しないよう要請し、反対の声を上げたのは他ならぬティファニーだ。以来、過去25年以上にわたり、社会的責任と持続可能性を尊び、追求する伝統を培ってきた。

1999年には、紛争ダイヤモンドを規制するための国際的枠組みである、キンバリー・プロセス認証制度への米国の参加に向けた活動を主導。2003年になると人権を守るためにミャンマー(旧ビルマ)原産のジェムストーンの購入を停止し、04年にはサンゴを使用するジュエリーの販売を打ち切る。競合他社に対しても販売中止を訴えることで、サンゴ礁の生態系保全に働きかけた。さらに05年には、金の採掘をめぐる人権や環境基準を定めるNPO法人、Earthworksが率いる「No Dirty Gold」キャンペーンにジュエラーとして初めて参画。多岐にわたるサステナブルな取り組みの末、19〜20年に、これまでないダイヤモンド調達のイニシアチブを開始した。

(左)オーストラリア、ボツワナ、カナダ、ナミビアなどで採掘された原石を信頼できる供給元から直接調達。(右)ティファニー ブティックのケースラインには、ダイヤモンドの原産国を示す地図をディスプレー。
(左)オーストラリア、ボツワナ、カナダ、ナミビアなどで採掘された原石を信頼できる供給元から直接調達。たとえ責任ある資源調達が保証できたとしても、原産地が不明のダイヤモンドは一切調達しない。(右)ティファニー ブティックのケースラインには、ダイヤモンドの原産国を示す地図をディスプレー。陳列されたダイヤモンドリングには、ストーンの原産地情報を分かりやすく表示。

ダイヤモンドのトレーサビリティを新時代へ導く

ヴィクトリア・ワース・レイノルズ氏は言う。「私たちは2019年1月から、個別登録された0.18ct以上のダイヤモンドの原産地情報を消費者に伝達しています。グローバルラグジュアリージュエラーのなかで、これを実施したのはティファニーが初めてでした。さらに2020年10月以降は、原産国に加え、カット、研磨、セットといったダイヤモンド加工のすべての工程がどこの工房で行われたのか、製造工程に関する情報公開も開始しました。これも業界初の試みです」。

ダイヤモンドの産出地はどこか、どこで計画・準備され、カット・研磨され、グレーディング(格付け)・保証がなされたのか。最終的にどこでジュエリーとしてセットされたのか。愛の証しや自分へのご褒美として手にした大切なダイヤモンドが、一体どこからやって来たのか。倫理的な調達がなされたダイヤモンドと、紛争との関わりをもつダイヤモンドがこの世に存在する以上、私たちにはそれらの情報を知る権利がある。しかしながら、閉鎖的であった宝飾業界において、世界的ジュエラーがこういった情報を顧客に開示する前例はなかったのだ。

ティファニーにおける女性初のチーフ宝石鑑定士であるレイノルズ氏。ブランドが認める驚くほど厳しい基準に合致する、完璧なダイヤモンドを絶えず探し求めることも、彼女の使命だ。彼女がダイヤモンドに抱く情熱は計り知れない。「ダイヤモンドのトレーサビリティ確保のために、ティファニーがどれほどの努力を重ねてきたか。原石として採掘されてから研磨され、ティファニーのジュエリーを飾るまでのすべての段階が把握されている成果を、誇らしく思います。私たちのダイヤモンドは、単に美しいだけではないのです。外面だけでなく内面も美しいといえます。全サプライチェーンに新たなレベルの透明性をもたらすことで、ジュエリー業界をリードしているのです」。

一石ずつ登録された原石が類いまれなティファニー ダイヤモンドとなるまで。
一石ずつ登録された原石が類いまれなティファニー ダイヤモンドとなるまで。その軌跡を「クラフトマンシップ ジャーニー」として掲げ、調達、選別、カットと研磨、格付け、セッティング、ブルー ボックスに収められるまでの6つの工程がなされた原産地・工房の所在地を、宝石の特性とともに鑑定書に記載。

ダイヤモンドのトレーサビリティと透明性において、先駆的な功績を挙げているティファニー。原産地を知るという取り組みは、“紛争と無関係なダイヤモンド”であるという保証の枠を超え、極めて厳格な責任ある資源調達がなされていることを約束するものだ。ティファニーは2025年までの目標として、調達するダイヤモンド原石に加え、調達する研磨済みダイヤモンドも含めて100%のトレーサビリティの達成を掲げている。地底で10〜30億年前に結晶化し、地表付近まで運ばれてきたダイヤモンドは、自然が生み出した絶対的な奇跡。人生のかけがえのない瞬間をともに刻む存在であればこそ、誇り高きティファニー ダイヤモンドは、その輝きも出自も真に透明であることが不可欠なのだ。

問い合わせ先/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク 0120-488-712

Photos: ©Tiffany & Co.
Text: Etsuko Aiko
Editor: Kaori Takagiwa

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