SPIRE

クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン 2022

ニューボトルで新登場

2022.11.18

ニュージーランド、マールボロ地区を代表するワイナリー「クラウディー ベイ」。

冷涼な気候で日照豊なその地は、ソーヴィニヨン ブランの名産地としても知られる。

世界中で愛されている「クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン」のテクニカルディレクター、ジム・ホワイト氏にその魅力を語ってもらった。

Drinkability(ドリンカビリティ)――それはジム・ホワイト氏が大切にする言葉。飲みやすく、食事にぴたりと合い、飲み疲れせず、気づいたらボトルが空き、幸せな時間が流れている。そんな魅力的な白ワインの代表が、ニュージーランド南島の北端に位置するマールボロで造られる、「クラウディー ベイ」のソーヴィニヨン ブランだ。マールボロ地区はニュージーランド最大のワインの名醸地で、いちはやく土地のポテンシャルの高さに注目した「クラウディー ベイ」は、1985年の創業以来、極上のワインを醸し続けている。

なかでもマールボロを代表するぶどう品種、ソーヴィニヨン ブランは、クラウディー ベイの顔であり、世界60カ国に輸出されて、その比類なき個性とスタイル、クオリティーが楽しまれている。ニューボトルになった「クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン 2022」がいよいよリリースされる。テクニカルディレクターのジム・ホワイト氏が来日したのを機に、その魅力について尋ねてみた。

Q. 「クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン 2022」はこれまでのヴィンテージと比べて、仕上がりはどのような印象ですか?

A. 年によって多少の差はありますが、クラウディー ベイのソーヴィニヨン ブランには、それでなくてはならないという独特のスタイルがあります。それは、パッションフルーツなどのトロピカルフルーツや、ライム、ホワイトネクタリンが香り、心地よい酸を感じさせる味わいということです。2022年は温かく、収穫の最後の段階で雨に降られましたが、結果的にはブドウのできもよく、クラウディー ベイらしい仕上がりとなりました。

Q. ブドウ栽培や醸造において、特に注意を払っていることは何ですか?

A. クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブランのスタイルと言いましたが、口の中に唾液があふれるような酸味がとても大切で、ブドウの酸を最大化するための栽培を心がけています。そのために重要なのは摘果です。多くの房を間引き、ブドウの力を凝縮させます。もちろん、マールボロが冷涼な気候であるということが大前提ですが。それでいて、日照量に恵まれているためとがった酸ではなく、いわゆるripe acidity(熟した酸)と呼ばれるまろやかな酸味になるのです。つまり、収穫の時期がとても重要になるわけです。酸がしっかりあるけれど、十分完熟しているという適切なタイミングを見極めて収穫しなければなりません。もちろん、房の周りの葉を取り除いたり、ブドウの生育に適切なバランスを目指して日照量をコントロールするキャノピーマネジメントも行っています。醸造においては全ブドウ果汁のうち5%をオークタンクで発酵させ、結果、豊かな口当たりが生まれるのです。

Q. 新しいデザインのボトルの印象を教えてください。

A. ワインは目でも楽しむものです。新しいボトルはワイナリーから見えるマールボロ地区の美しい山並みを象ったエチケットとそれに沿ったボトルのレリーフ模様で、ますますエレガントになったと思います。また、ソーヴィニヨン ブランには酸素が一番の大敵で、これまでも密閉性の高いスクリューキャップが使用されてきましたが、新ボトルのものは、内側に溝があるため、見た目がよりスマートになりました。ボトル本体もニュージーランド産のリサイクルガラスを60%以上混入させたフレンチグリーンのものを使用しています。

Q. クラウディー ベイを代表する品種であるソーヴィニヨン ブランのポテンシャルを、テロワールの特徴と共に教えてください。

A. 土壌は堆積土。川底の石が崩れたり欠けたりしてできた土地です。石がごろごろしているので水はけがよく、樹自体が生き残るために力を蓄え、ブドウの凝縮感が際だちます。先に説明した通り、冷涼な気候、豊富な日照量、そしてこの堆積石土が、クラウディー ベイのソーヴィニヨン ブランのフレーバーやアロマ、フレッシュ感、ストレートな強さを形作っているのです。

しかし、私達はソーヴィニヨン ブランの別の顔を引き出そうと、「テココ」というワインも造っています。樹齢の古い樹の植わった最高の畑から手摘みしたブドウで、野性酵母を使って発酵させ、オークたるで熟成させるそれは、ぐっと複雑でリッチな味わいに仕上がります。こうした2種のワインを醸せることが、ソーヴィニヨン ブランのポテンシャルです。

Q. どんな料理とのマリアージュがお薦めですか?

A. まずは、レモンやライムを絞ったものには、なんでも良く合います。ただ、気をつけてほしいのは、あまり、味の要素の多い料理には合いにくいということ。シンプルなものを引き立ててくれるのです。そしてなんといっても魚介類との相性が抜群。だから、白身の魚の刺身とポン酢の組み合わせには最高です。海老の天ぷらにもいいでしょう。一方、ハーブをたっぷり使ったベトナム料理やタイ料理にもよく合います。肉類も鶏肉をシンプルにグリルしたものやボイルしたものなどには良いですね。いずれにしても、飲んでいると、料理が食べたくなり、するとまた飲みたくなる、そんな風に食事を楽しくしてくれるワインです。

Q. 環境問題への取り組みを教えてください。

A. ボトルにニュージーランド産の再生ガラスを60%以上使用していることは、先に述べた通りですが、ブドウ栽培や土の管理から水の消費まで、ワイン造りのすべての段階において、カーボンフットプリントには細心の注意を払っています。また、「サステナブル ワイン グローイング ニュージーランド」の認証は取得し続けています。これは、ブドウの栽培から醸造まで、環境保護を目的とした厳しい基準を満たしているワイナリーだけが取得できる認証で、環境保全の先進国であるニュージーランドが、世界に先駆けて1997年に開始したものです。また、電力はすべて再生可能エネルギーを使用していますし、3週間後からソーラー発電も始まります。サステナビリティはクラウディー ベイにとってはワイン造りの土台なのです。

クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン 2022 リサイクルガラスを60%使用したフレンチグリーンのボトルに、ワイナリーから見えるリッチモンド山脈を象ったエチケットと、その上部に施された山並みのエンボス加工が、全体の印象をぐっとエレガントに見せている。アップグレードされたスクリューキャップも100%リサイクル可能。香りはジューシーなかんきつ類に繊細なホワイトネクタリンとパッションフルーツが加わり、ピリッと力強いのが特徴。味わいは口に含むと熟したパッションフルーツとかんきつ類が広がる。また石のような塩っぽさによって全体のバランスが保たれている。

ジム・ホワイト

メルボルン大学で農学とブドウ栽培学を修め、その後、樹齢150年のヴァロッサヴァレーのブドウに出会い、大きな衝撃を受ける。1998年にマウントヘレン ワイナリーでアシスタント ヴィンヤード マネジャーとして、ワインメーカーのキャリアをスタート。2007年にケープ メンテルに栽培責任者として参画。11年にニュージーランドに渡り、クラウディー ベイの栽培責任者に従事、18年テクニカルディレクターとなり、栽培と醸造を陣頭指揮。

公式サイト

Photos: Atsushi Ikeda(人物) Text&Interview: Hiroko Komatsu Editor: Kaori Takagiwa