提供:公益財団法人東京都中小企業振興公社

「TOKYO創業ステーションTAMA」夢の実現に向け伴走支援起業・創業が身近になる

 兼業・副業など多様な働き方が広がる中、「起業」を選択肢の一つに考えている人もいるだろう。そんな人にぜひ知ってほしいのが創業支援施設「TOKYO創業ステーションTAMA」だ。公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する。起業に懸ける本人の意気込みやフェーズに応じ、何度でも無料で相談に乗ってくれ、様々なサポートを提供。創業を希望する一人ひとりに寄り添い、起業の夢の実現に向けて背中を押し、しっかりと伴走支援してくれる頼れる拠点だからである。

TOKYO創業ステーションTAMA
STARTUP HUB TOKYO

多摩地域の自治体や大学とも連携
若年層の掘り起こしに力点

フォト:TOKYO創業ステーションTAMA

「TOKYO創業ステーション」は2017年1月、まず東京・丸の内にオープンした。東京の西側に位置する多摩地域にもサービスを拡充させようと2020年7月、JR立川駅北口近くにオープンしたのがTOKYO創業ステーションTAMAだ。「起業を、もっと身近に。」というコンセプトは同じだが、1号店の丸の内と2号店のTAMAとは事業内容をやや異にしている。丸の内は都心のビジネス街に位置しているが、TAMAがある多摩地域には60以上の大学がキャンパスを構え、若年世代も多い。そんな土地柄もあって、30代以下の若年層の創業希望者の掘り起こしに力点を置いている。地域の自治体や大学と連携し、創業機運醸成のための出張講座などを展開する「地域連携事業」はTAMAの目玉プロジェクトの一つだ。

「テストマーケティング事業」もTAMAならではのユニークな事業といえるだろう。起業を決断しても、実際に販売を予定する商品や提供するサービスが、果たして消費者に受け入れられるのか正直、不安なものである。だからこそ事前に商品・サービスの展示・体験会を開き、来場者にアンケート調査を行うことで、消費者の反応をじかに把握できるテストマーケティングは貴重な機会となる。TAMA近くのイベントスペースで、それが可能となるのは物販や飲食のテナント、ホテルなどが入居し、老若男女が数多く行き交う民間の大規模複合施設内にTAMAが立地しているからにほかならない。

漠然とした夢を後押し
「スタートアップ・ハブ・トウキョウ」

フォト:Startup Hub Tokyo

「TOKYO創業ステーションTAMA」は「Startup Hub Tokyo(スタートアップ・ハブ・トウキョウ、略称スタハ)」と「Planning Port(プランニング・ポート、同PP)」の2つの機能から成っている。起業の夢や希望はあるが、まだ漠然としている人向けなのが「スタハ」。そこから一歩踏み込み、創業に向け事業計画を練り、具体的な準備を進めている人向けが「PP」というすみ分けだ。

ラウンジやキッズルーム(一時保育サービス)まで備えるスタハの空間は、実にスタイリッシュ。そこで起業に関する疑問や不安に応え、アイデア整理などを手伝う「コンシェルジュ」は男女計16人。子育て中のママだったり、WEBマーケティングやAI(人工知能)に詳しい専門家だったり、全員が起業経験者だ。比較的年齢層が若いコンシェルジュが中心なのは、相談する人に親近感をわきやすくするための配慮でもある。スタハでは起業に必要な知識が得られるイベントやセミナーも定期的に開催している。

具体的な事業計画を支援
「プランニング・ポート」

一方、PPには事業計画の策定支援に当たる「相談員」が14人おり、それぞれ得意分野が異なるため幅広いニーズに対応できるようになっている。もちろん、女性相談ブースも設けられている。さらに資金調達や店舗・オフィスプランなど、より専門的な相談にも対応可能なスタッフが8人スタンバイする体制だ。個別の相談のほかに、居酒屋やエステサロンといった「業種別セミナー」や「女性起業ゼミ」など多彩なメニューを用意。スタハとPPを相互に活用すれば、起業の夢はがぜん現実味を帯びてくる。

TAMAがオープンした昨年夏以降、今年3月までの利用者は延べ2万1千人超。下は10代の中学生から上は80代まで幅広く、男女比はほぼ半々。30歳以下の若年層も2割に上る。コロナ禍とはいえなかなかの数字だ。「お金はないが、起業に向けて何から始めたらいいか」「起業に家族が反対している。いい説得方法は無いか」など相談内容は多岐にわたる。だが、「その人の夢に向かって不可能を可能にするために支援するのが私たちの努め」とTAMAの責任者である都中小企業振興公社・多摩創業支援課の山本康博課長は口元を引き締める。

ユニークな経歴、
失敗談も生かすコンシェルジュ

フォト:コンシェルジュ 横川さん

コンシェルジュ 横川真依子さん

「起業に関し相談に来てくれた人の背中を押す前に、まず自分からおなかを見せるようにしています」――。そう明かすのはスタハのコンシェルジュの一人、横川真依子さんだ。これまで、学生や主婦、定年を迎えた人たち250人以上と向き合ってきた。相談者の中にはとかく「起業に成功した人は、その人自身がすごかったから」という偏ったイメージを持つ人も多い、と横川さんはいう。だから、自分の失敗談などを積極的に話すことで、そのイメージの払拭から始めるようにしている、と明かす。

彼女自身のキャリアも実にユニークだ。大学では国際政治、大学院では伝統工芸の価値について知見を深め、日本アイ・ビー・エムに就職した。コンサルタントとして入社したがその後、社内でデザイナーへと転向。さらにその頃の縁で、人材育成などを手がけるベンチャー企業への転職を経て、独立した経歴を持つ。スタハのコンシェルジュのほかに現在、イラストレーターや一般社団法人オーセンティックライフ協会(東京都中央区)の代表理事、銀座のスナックの共同オーナーなど「7つの肩書き」を使い分けながら活動する。彼女のこれまでのキャリアをたどると一見、脈絡がないようにも思えるが、人材育成やアプリデザイン、イラストなどコンサルティングやクリエーティブ領域にわたって独立後に手がける仕事は、これまで実際に体験し、培ってきたノウハウであり、「それが今に生きている」(横川さん)。

「スタハ学生交流Day」では、
生き方や働き方についても議論

スタハでは土曜日を「学生の日」と銘打ち、月に1度開催される「スタハ学生交流Day」で様々な学生向けワークショップを実施している。リアルでの開催を基本とするが、昨今のコロナ禍を踏まえ、オンラインでのリモート開催イベントも増えた。横川さんが参加し、先般開催された学生開放デーでは、「自分らしく生きるとは」をテーマに約10人の学生が参加、人生の成功や成長について意見交換を重ねた。「社長になりたいから起業する」とアグレッシブな姿勢を見せる学生がいた一方で、「働くとはどういうことなのか」を真剣に思い悩み、手探り状態の人もいたという。2時間超にわたるディスカッションで、学生たちの声に耳を傾けながら、横川さんは「学生同士の間の温度差を感じた」と振り返る。

コンシェルジュとの対話を通じ、
自分の軸を見つけて

時代は変わり、自分から発信しようと思えば、動画投稿サイトやSNSを通じ、いとも簡単にできるようになった。周囲には様々な情報があふれる。働き方も多様化し、生き方の選択肢が一段と増えた分、逆にモヤモヤしている若い世代も多いのではないか、と彼女の目には映る。「理想は自分の軸をしっかりと持ち、自分らしく生きることですが、その軸や自分らしさを知るのも至難の業。コンシェルジュからの『問いかけ』に応える中で、ぼんやりとでも分かってくるといい」と横川さんは自らの体験を振り返りながらいう。気になることがあれば、気楽にTAMAを訪ねてきてほしい、と多少なりとも起業を考える人たちに呼びかける。

フォト:コンシェルジュとの対話イメージ
TOKYO創業ステーションTAMA
STARTUP HUB TOKYO
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