提供:ティーズフューチャー

情報漏えいのリスクを防ぐ!

企業経営で無視できない
データ消去の基本

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PCを筆頭に、今やビジネスに欠かすことのできない電子機器の中には、個人情報を含む多くの重要なデータが保存されている。そのため、デバイスの入れ替え・廃棄の際にはデータを適切に消去しなければ、何らかの形で情報が漏えいしてしまう恐れがある。2025年10月にはWindows 10のサポート終了が控えており、今後企業ではPCの大規模な入れ替えが想定される。情報セキュリティー確保が重要な経営課題となる今こそ知っておくべきデータ消去の基本について、同業界で長らくビジネスを展開するティーズフューチャー代表取締役社長の安川鋼氏に話を聞いた。

あらゆる業界で「データ消去」は避けられない

写真:安川 鋼 氏

株式会社ティーズフューチャー
代表取締役社長
安川 鋼

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が叫ばれる近年では、あらゆる領域でデジタル活用が浸透し始めている。それに伴い、企業が取り扱うデータ量は急激に増加。どの企業もデータに対して「保存・管理」は厳重に行っているはずだが、一方で機器処分時に格納されている情報については、一部のセキュリティー意識の高い企業を除き、コスト重視で処分が行われているのが現状だ。

しかし、ここ10年ほどでデータ消去のニーズが急激に高まっている。その背景にあるのが、ECなどを含むIT関連サービスの増加だ。企業は個人情報を含むあらゆる情報に対しITを駆使して管理、サービス提供を行っている。そうしたIT依存の結果、データへの意識が高まりつつあるという。

記憶媒体(HDDやSSDなど)に残ったデータが漏えいする事故も国内では起きており、一度事故が発生すれば重大な経営リスクとなる。不測の事態を防ぐためにも、データ消去に関する基礎知識を押さえて損はないだろう。例えば、「ゴミ箱に入れたデータを消去すれば問題ない」と思っている人もいるのではないだろうか。しかし、データの消去はそう単純なものではないとティーズフューチャー代表取締役社長の安川鋼氏は語る。

「ゴミ箱でデータを消去するのは、書籍で言えば目次を消しただけに過ぎず、中身は全く消えていません。ゴミ箱の例に限らず、世の中には一見消去されたかに見えるデータを復旧するソフトも普及しており、適切に消去しなければ簡単に復元されてしまうリスクがあります。PCを初期化した場合も同様に、インデックスが消えただけでデータそのものが残っていることがあり、さらには出荷時の状態に戻しても、復元される恐れはゼロではありません」

データ消去は「証跡を求める」時代に

このように、データ消去は一筋縄でいかないことから、そこには多様な方法が存在する。まず1つが、専門のソフトウエアを用いたデータ消去だ。これは文字通り、専門企業が開発・提供するソフトウエア製品を使用して消去する手法を指す。

ほかには、強力な磁気を照射することでデータを消去する方法があるが、これは記録方式が磁気方式のHDDのみが対象であり、同方式ではないSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)には使用できない。

もう1つの消去方法が物理的な破壊である。PCからHDDやSSDを取り出し、それらに穴を開けるものや、小さく破砕する方法がある。

このようなさまざまな方法がある中、安川氏によると最近は「エビデンスの信ぴょう性」を重視するトレンドがあるという。

「データ消去をしっかり行ったかどうかに関するエビデンスがあいまいなまま業務が遂行されているケースがあります。昔であれば、『この会社は信頼性がありそうだから任せても大丈夫だろう』という、これまでの実績などを踏まえてデータ消去を依頼する企業が多かったように思いますが、最近では、どのようなセキュリティー管理施設で処理されるのか? 破壊されたHDDはどのPCに入っていたHDDなのか? それらの処理工程は人為的に操作できない仕組みになっているか? など、あらゆるリスクを想定され、それらの信ぴょう性あるエビデンスを求める企業が増加しています」(安川氏)

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リモートでも消去作業を視聴可能。万全のトレーサビリティー

このデータ消去のトレーサビリティーに対して強みを持っているのが、ティーズフューチャーのデータ消去サービスだ。同社はPC・サーバー・スマートフォン・タブレットといったさまざまな電子機器のデータ消去サービスを提供している。

リユースの買い取りまで手掛けることから、機器の回収からデータ消去の実務、さらに消去やリユースによる二酸化炭素の削減証明書発行までを一気通貫で対応する。回収からデータ消去までの工程の作業状況を、依頼企業側がオンライン上で確認できるという仕組みを設けるほどの徹底ぶりだ。

各工程では、まず機器本体ごとにバーコード管理し、内蔵する記憶媒体をひもづける。本体と記憶媒体がしっかり結び付いていることで、トレーサビリティーを確保している。

データを消去した機器は、1台ずつメーカー・シリアル番号入りの証明書を発行し、詳細なログ発行にも対応している。新型コロナウイルス禍以降は、データ消去に伴う記憶媒体の破砕作業を、ビデオ通話を用いてオンライン上で見られるサービス「ROCS(Remote Onsite Crush Service)」を提供開始した。従来は顧客が立ち会って破砕を行っていたのがリモートで済むようになり、顧客からの評判も上々だという。大手損保や証券会社からの大型受注にもつながっている。

図:ROCS
ROCSは、データ消去作業に立ち会いたいという顧客のニーズをコロナ禍で実現するべく生まれたサービス

日本では少ない国際リサイクル認証 R2を取得

実際のデータ消去を行うセンターのセキュリティー面においても、抜かりない体制を構築している。作業区域内への入退室には顔認証を採用し、入退室可能な人数を2人以上とするルールを設けている。出入口は1カ所に限定され、空港の保安検査場のものと同等のセキュリティーゲートと金属探知機を設置しているため、カメラ、スマートフォン、PCなど電子機器の一切の持ち込みや持ち出しはできないよう制御されている。

そのほか、搬入口のシャッターは、管理棟に連絡して目的・所要時間を伝えて承認を得てからでないと開閉できないよう厳重に管理されている。このように、情報セキュリティー対策として技術的、物理的、人的の3つの対策により大事な情報が守られている。

「ハード面での整備はもちろん惜しみなく投資していますが、個人的には最も重要なのは社員一人ひとりの心構えだと考えています。そのため、企業理念のインプットや日々のコミュニケーションには工夫をしており、センター業務に携わるメンバーには月に一度、現状の課題を議論する場も作ってもらっています」(安川氏)

こうした徹底したセキュリティーへのこだわりのインパクトは大きく、「当社のサービスを検討されている企業様がセンターを見学すると、ほぼ100%当社の顧客になっていただいています」と安川氏は胸を張る。

信頼性で言えば、国際リサイクル認証の「R2」を業界に先駆けて取得していることも同社の強みとして挙げられる。日本での普及度はまだまだであるが、「米国企業はこの認証がないと取り引きができないほど重要なもの」だと安川氏は言う。

ロゴ:R2

認証事業所:神奈川県秦野市戸川24番1号
認証範囲:中古情報機器に関するダウンストリームベンダーの管理、論理的および物理的なデータのサニタイズ、テスト、材料の回収

米国企業では「ないと取り引きできない」とも言われる、責任ある国際リサイクル認証「R2」を取得

同社は、質だけでなくスピードにもこだわっており、データ消去は基本的には「10営業日」で完結する。一般的に数カ月かかるサービスも多い中、同社では作業工程フローを見直すことによって、大幅に工程を短縮。取引先は上場企業が多く、そうした会社のほとんどは月次決算のため、10営業日以内の短期で作業が完結することを非常に高く評価しているそうだ。

非営利団体へ機器寄贈にも取り組む

先述のように、ティーズフューチャーはデータ消去のほかにリユースのビジネスも長らく手掛けているが、これはSDGs(持続可能な開発目標)の観点でも意義は大きいだろう。二酸化炭素削減の証明書を発行するだけでなく、非営利団体への機器寄贈にも取り組んでいる。

具体的には、使用済み機器のクリーニングや動作確認、さらにオフィスソフトのインストールまでを同社で実施し、指定先へ輸送。支援先が機器を廃棄する際の無償回収も行っている。

「以前から電子機器の寄贈はしていましたが、到着してすぐ使えるような設定にはなっていませんでした。せっかくお贈りするのであれば、すぐ使える状態でお渡ししてこそ社会貢献ではないかと考えるとともに、新しい循環システムのモデルになればという思いで取り組んでいます」(安川氏)

1999年に中古PCのリユース事業を開始し、それに伴いデータ消去にも四半世紀にわたって向き合ってきたティーズフューチャー。企業の情報セキュリティー確保に向けた取り組みを今後も引き続き強化していく構えだ。

「昨今は電子機器に管理番号を振って管理している企業が多いものの、肝心な中身の記憶媒体に番号を付して管理しているケースは多くありませんので、その点も自社でしっかり管理できる企業が増えていくべきだと考えています」と安川氏。実際にその後押しのための新たなシステム開発も現在進めているという。

「データ消去という事業は変わらないものの、時代の変化に従って顧客のニーズも変わってきます。それらを随時サービスに反映しながら、社員一丸となってサービス向上に取り組んでいきたいと考えています」と安川氏は語った。

写真:安川 鋼 氏

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