提供:Amazonビジネス
仕事とは、日々の小さな業務の積み重ねだ。申請や承認といった手続きも含め様々な業務がもっと効率的、かつ快適に進められたなら……。だれしも1度は、そう考えたことがあるだろう。コカ・コーラ ボトラーズジャパン(CCBJI)も例外ではない。販促に必要なグッズなど、社員による立て替え払いを強いることもあった調達・購買業務をスピーディーで快適にしようと立ち上がった購買のチェンジメーカーが行き着いたのは、Amazonの法人向け購買サイト、Amazonビジネスだった。「現場の負担なくニーズに最大限応える仕組みに」。そんな思いを胸に改革を主導し、経費の可視化を実現した同社のチェンジメーカーたちがAmazonビジネスを選んだ理由は――。
「どうしよう。動かない」
2020年春。CCBJIに勤務するAさんは凍り付いた。緊急事態宣言が発令され、同社は在宅勤務となっていたが、自宅で業務中に業務端末の電源が入らなくなってしまった。会議もあるし、部下にも指示をださなければならない。焦って連絡した社内問い合わせメールからは意外な返信が返ってきた。「Amazonビジネスで頼んでください」
Aさんは早速、新しい電源アダプタを注文。プライベートでオンラインショッピングを楽しむときと同じ感覚でログインし、承認申請をクリック。翌日には無事、会社で代わりの品を入手した。
Amazonビジネスは、現在、世界9カ国で展開するAmazonの法人向け購買サイト。文具から産業・研究開発用品、医療関連物資まで数億種類に上る豊富な品ぞろえが特長だ。CCBJIは2019年5月に同サイトの社内利用を開始した。ただし、同社は単に社員による備品や消耗品の「買い物」の利便性向上だけを意図した訳ではない。CCBJIグループのBuying Powerを生かした全社最適な調達を目指し、まずは調達コストの可視化を経営テーマに掲げ、プロジェクトを進めてきた結果、数ある選択肢のなかから、「Amazonビジネスならやれる。Amazonビジネスだからできる」との判断に行き着いた。
「調達」が重要課題に浮上した背景には、1999年に17社あった国内ボトラーからの再編の大きなうねりがある。2017年には、コカ・コーラ イーストジャパン(CCEJ)やコカ・コーラ ウエスト、四国コカ・コーラ ボトリングなどが統合されコカ・コーラ ボトラーズジャパンとなった。この統合の過程で、CCBJIの現社長であるカリン・ドラガン氏が改革の重要項目と位置づけていたのが、「調達」だった。
現在、CCBJI執行役員の荷堂真紀・経営改革本部長は、2015年当時、CCEJの社長であったドラガン氏から伝えられたミッションを今も鮮明に覚えている。「やがて(ペットボトルや缶、包装材などの)直接材だけでなく、文具をはじめとする消耗品や人材紹介、サービスのコンサルティングフィーといった間接材でも、調達の戦略化が求められる日が来る。間接材の集中購買の構築は、CCEJや国内ボトラーに大きなベネフィットをもたらすだろう」
ところが、事はそう簡単ではなかった。「弊社にとっては例えば自動販売機も間接材の1つ。自動販売機の集中購買は開始していたものの、それ以外の間接材はなかなか手をつけられずにいた」。こう明かすのはCCBJIの経営改革本部エグゼクティブビジネスマネジメント部部長の木村賢司氏だ。
なぜ、間接材は手をつけにくかったのか。Amazonビジネス導入当時、調達企画部長だった木村氏はこう振り返る。「必要が生じたときだけの『都度見積もり』が多く、品目もサプライヤーも実に多岐に渡る」。ビジネスパーソンの多くは、業務を進めるなかで上長に備品や消耗品の購入を申請し、承認を得たものを立て替え払いで買った経験があるだろう。実はここにもネックがある。「例えば、何かをまとめて買ったとき、領収書に『お品代』とだけ書かれているケースも。領収書の束がどれだけあっても、何をどれだけ買ったかデータとして把握できない」。現在、CCBJIで間接材購入を統括する調達本部インダイレクト調達統括部の角田隆明部長もこう指摘する。これでは、戦略的な調達・購買をしようにも、支出の実態が可視化されておらず、ボリュームディスカウントの交渉を持ちかける根拠すら提示しようがない。
それでも、荷堂氏はひるまなかった。「CCBJIはおおよそ、8000億円程度の売り上げ規模。一方、ペットボトルや缶、包装材など、直接材を除いた出費をすべて『間接材』として算出すると、年に数千億円にのぼる。いかに調達戦略が収支に大きなインパクトを与えるか、火を見るより明らかだ」
2017年4月、現在のCCBJIの持ち株会社の前身となる企業が発足し、荷堂氏は同社の執行役員調達統括部長に就任。部下を前にこう説いた。「間接材支出は年に数千億円。1%削減するだけでも数十億円のコスト削減になる」。間接材の戦略的な調達や購買支出の可視化に向けて、プロジェクトが動きだした。
しかし、各職場の反応は当初、思わしくなかった。「現場には現場として、買いたいものがある」。当時の各部門の担当者らの危惧を言語化すると、こんな風になるだろう。
木村氏は粘り強く、交渉を進めていった。「中央集権的にこちらで決めたいのではない。会社の業績改善や適正な価格で適正なものをよいタイミングで買うにはどうしたらいいか、そこを話し合いたいのだ」。木村氏は、同じものが別の部署でも都度発注されている例などを挙げ、「集中購買ができると自分たちにもメリットがある」と相手がイメージしやすいように気を配った。「そうすれば、調達がやりたいと思っていることや有るべき姿と各部門の願いは一緒になる」
同時に利用する購買サイトやツールの選定も進めた。もちろん、CCBJIにも多くの企業と同様に、それまでもカタログ通販などによる文具や消耗品の購入の仕組みはあった。だが、ビジネスの現場では日々、様々なニーズが生じる。「販促で使うために、なにかキラキラしたものがほしい」「銀色の小物を至急準備したい」。過去に木村氏が聞いた社内からの要請の例だ。
「フレキシビリティというのは都合のよい言葉。我々はあるべき姿に向けて”制限のあるフレキシビリティ”を目指した」(荷堂氏)「細かなものが山ほど。間接材を購入するために出されていた伝票は年に10万件を超えている。それらをすべて1つのシステムで購入できるのは、Amazonビジネスだけだった。スクラッチで作るのではなく既存の標準的なツールに合わせることを選んだ」と木村氏。同時に、「既存の決済の仕組みと互換性があって容易に導入できた。モノの検索から支払いまで一気通貫でいける」(木村氏)といった実務面の利点も、大きな要因となったことは確かだ。
しかし、何より大きかったのは、みんな一度は使ったことがあること。「Amazonはユーザーフレンドリーなので説明会を開かなくても誰でも容易に使える」(木村氏)。
Amazonビジネスの導入に社内からはどんな反応があったのか。「調達に頼むと遅い」「もっと早められないのか」。木村氏は過去に寄せられた調達部門に対する不平や不満を解消できたのが、「何よりうれしい」と話す。「20以上あった工数が4分の1以下にぐっと減った。そこが非常に魅力的だと思う」と木村氏は強調する。もちろん、申請や承認もクリックで楽に進んでいく。
執行役員 経営改革本部長
香川大学卒業後、1992年日本電気株式会社入社。
日本マイクロソフトなど外資系企業数社を経て2014年コカ・コーラ イーストジャパン株式会社入社。
2020年現職に。
経営改革本部 エグゼクティブビジネスマネジメント部 部長
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社調達企画部長を経て2019年6月から現職。
これまでに支出の可視化や間接材調達改革に従事。
2019年5月の導入から、今年の5月で2年が過ぎた。Amazonビジネスを通じた購買額は、1年目と比べ、ほぼ倍に。狙い通り、社員たちが難なく活用し消耗品を中心とした間接材の調達を効率化できた。2020年11月、同社は一連の調達改革をさらに財務面でも効率化させるため、Amazonビジネス以外の多様な調達先も含めた取引をクラウド上で一元管理できる購買管理システムを導入した。これによって、Amazonビジネスを利用するような消耗品の購買支出は「2021年末までに9割5部の可視化を目指したい」(角田氏)という。
一連の改革を主導してきた荷堂氏も、「私たちの会社では『ジャーニー』という言葉をよく使う。データを分析し、どう生かしていくかという旅はまだ始まったばかり」とさらなる取り組みを示唆する。荷堂氏は、「私たちはAmazonさんとの関係を短期的には考えていない」ときっぱり。ビジネスパートナーとしての両社の関係性はさらに双方にプラスをもたらす形で進化していきそうだ。