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 「容器の2030年ビジョン」を策定し、使用済みペットボトルから新たなペット容器へと再生を図る「ボトルtoボトル」の取り組みを進める。1本当たりCO2排出量を約60%削減するリサイクルペットボトルの導入拡大などにより、2030年までにスコープ1、2で15年比50%削減を目指す。

田中 美代子氏

日本コカ・コーラ株式会社
広報・渉外&サスティナビリティー推進本部 副社長

大学卒業後、シーメンスヘルスケア、プライスウォーターハウスクーパース ジャパンなどの外資系企業において広報活動に従事。2011年日本アルコン広報部部長、16年ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニー コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部部長を歴任。19年から現職

――サステナビリティの実現に向け、どんな取り組みを進めていますか。

田中 9つの重点課題を特定し、各領域で事業活動を通じた社会課題の解決を目指しています。中でも「資源」の枠組みで「容器/PET」「水」を優先事項に設定し様々な施策を講じています。

――容器/PETの具体的な活動を教えてください。

田中 ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)は2018年にグローバルビジョン「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を打ち出しています。それに基づき、日本コカ・コーラとボトラー5社などから成る日本のコカ・コーラシステムは19年に「容器の2030年ビジョン」を策定しました。30年までにペットボトル素材をリサイクルペット樹脂や植物由来ペット樹脂などサステナブル素材に100%切り替えることなどを目標に据えています。

 この目標達成に向け、使用済みペットボトルを回収し新たなペットボトルとして再生する「ボトルtoボトル(水平リサイクル)」を推進しています。ペットボトルを、再びペットボトルにリサイクルすることにより、新たな原油を消費することなく、資源を循環利用することができます。20年には業界に先駆け、100%リサイクルペットボトルの「い・ろ・は・す天然水」を全国発売しました。現在は「コカ・コーラ」「ジョージア」など5ブランド37製品に広げています。サステナブル素材の比率は21年に全体の40%に達しました。「30年までにパッケージにリサイクル素材を最低50%使用」というグローバル目標を日本では今年の終わりまでに達成したいと考えています。

100%リサイクルペット 100%再生ボトルやラベルレス製品を拡大する

――プラスチックの使用量削減も進めていますね。

田中 継続的にボトルを軽量化してきました。20年以降はケース販売でラベルレス製品を投入しています。今年4月にはコカ・コーラを象徴する胴部がくびれた「コンツアーボトル」でもラベルレス製品を発売しました。

 21年から紙パッケージ入りのフリーズドライ飲料「1、2、CUBE」を試験展開しています。水やお湯で溶かすと緑茶や麦茶、コーヒーを楽しめるもので、オンライン限定販売で大変好評でした。

 今年2月に米国本社が掲げた「30年までに再利用可能な容器比率を25%以上とする」グローバル目標に向け、新たにウォーターサーバー事業にも挑戦します。マイボトルに水・お湯・炭酸水を給水できる「ボナクア ウォーターバー」を2社で実証実験中です。

1本60%のCO2削減を実現

――もう一つの優先事項である水についてはどんな施策を講じていますか。

田中 飲料の製造と加工の工程では多くの水を使います。私たちは自然に水をかえすため、各工場の流域で水を育み蓄える力を持ち続けられるよう水源保護活動を進めています。「い・ろ・は・す」の売り上げの一部を水資源の保全を行う自治体やNPOに寄付する「い・ろ・は・すの森活」プロジェクトの運営などです。製造に使う水の量と自然に還元した水の量を比較した水源涵養率は21年には355%に達しました。

――気候変動への対応が企業の重要な経営課題となっています。

田中 日本のコカ・コーラシステムは昨年10月、30年までにスコープ1、2で15年比50%、スコープ3で同30%の温室効果ガスを削減する目標を掲げました。グローバルで定めたレベルよりも高い日本独自の目標です。

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 中でも重要なのが排出量全体の8割近いスコープ3での削減です。取り組みの核は自動販売機オペレーションの改善で、断熱性能を高め夜間のみ冷却・加温し、最長16時間電力を停止して使用電力が最大95%削減になる「ピークシフト自販機」や空気中の熱を利用する「ヒートポンプ式自販機」の導入拡大で消費電力の削減に努めています。

 ボトルtoボトルの取り組みは気候変動対応の点でも重要です。リサイクルペット樹脂を100%使った製品は従来製品に比べ1本当たり約60%のCO2を削減します。今後、製品を広げることで一層のCO2削減に寄与できます。

 21年にはスコープ3で15年比20%減を実現し、30年の目標達成に自信を深めているところです。

 一方、スコープ1に関してはコカ・コーラシステム各社においても、システム最大級の保管・出庫能力を持つ自動物流センター「埼玉メガDC」の稼働などサプライチェーンの最適化や、省エネ車両の導入、エコドライブの徹底などが進んでいます。

――サステナビリティの取り組みを推進する上で課題は何ですか。

田中 廃棄物ゼロ社会の実現にはモノを減らすと同時に社会全体で効率的なリサイクルシステムを確立することが重要です。カギは水平リサイクルの実現でしょう。それには、リサイクルしやすい素材を採用して製品をつくることが欠かせません。自治体、同業他社など多様なパートナーと連携を深めながら、水平リサイクルの輪を広げる努力が必要だと考えています。

お問い合わせ
日本コカ・コーラ株式会社
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4丁目6番3号
URL:https://www.cocacola.co.jp/sustainability

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