ロゴ画像 コロナ関連の医療で貢献
ヘルスケア事業を幅広く

H.U.グループホールディングス
・竹内成和
取締役 代表執行役社長 兼 グループCEO

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医療現場で一般的な臨床検査から、がんやアルツハイマー、新型コロナウイルス向けなど最新の検査まで担い、検査試薬の開発にも取り組むH.U.グループホールディングス。今後はヘルスケア事業を幅広く展開していく方針です。竹内成和社長を囲んだ座談会では、報道番組で医療現場の取材をしたこともあるモデルのトラウデン直美さんが健康でいられる安心社会に期待を寄せ、若手社員は同社のビジョンにある「ヘルスケアの発展」につながる仕事ぶりや思いを前向きに語りました。

「H」と「U」は…
社名変更に込めた思い
検査と試薬、
両事業が相まって成果

竹内 当社は病院で採取された血液や尿などを検査し、結果を医療現場にフィードバックする受託臨床検査と、検査で必要な試薬の開発・製造などを手掛けています。人生100年時代を迎え、我々が今まで担ってきた役割を変える必要がでてきました。どうしたら病気にならないか、健康寿命を長く維持できるかが一層大事になってきたのです。そのため検査や試薬中心とした方向から広くヘルスケアの方向に進んでいこうと2020年に社名を変えました。H.U.は「Healthcare for You」を表しています。

がんゲノムなど検査はどんどん高度化しています。それに対応するためには、基礎研究を強化すべきだと考え、17年にグループの基礎研究機能を集約したH.U.グループ中央研究所を設立しました。中央研究所、受託臨床検査のエスアールエル、試薬を開発・製造する富士レビオなどが一体となることで、グループ内にヘルスケアにおける一つの循環をつくり出しています。

竹内社長 「病気にならず、健康寿命を長く維持することが一層大事になってきている」(竹内社長)

臨床検査と検査試薬の両業務を同じ資本の傘下で行っている例はほとんどありません。シナジー効果が薄いのではといわれた時期もありましたが、コロナ禍においてはこのシナジーによっていち早く、抗原検査のキットや試薬を世に出すことができました。検査で確認したデータをすばやく試薬開発に回す循環を生み出したからこその成果だと思います。日本のコロナ関連の医療に対して大きな貢献ができたと自負しています。

トラウデン 医療体制が充実していたり、検査ができる環境が整っていたりする安心感は私たちの健康にとって非常に重要だと考えます。やはり気持ちからくるものって、あるのではないでしょうか。検査で何事もなければ安心ですし、早期発見できる安心もあります。そういう安心を与えてくれる社会が検査を担う企業のおかげで成り立っていることを、普段からもっと心に留めておくべきだと思いました。私は今23歳ですが、健康リスクがゼロなわけではありません。検査をしておくのに越したことはないと、最近すごく感じています。

コロナの抗原検査については感謝の一言ではとても言い表せません。仕事に行くとき「ちゃんと“抗原”して」とか「陰性が分かったら来て」と言われる現場が本当にたくさんありました。あのとき検査がなかったら仕事にならなかったな、という実感があります。

多様な人材集まる新拠点、
働きやすく
知識生かして
急性白血病の細胞を特定

山根 コロナ検査関連業務や新たな検査を開始するためのデータの取得、試薬が本当に使えるかどうかを評価しています。また、検査ラボで生じたトラブルの原因を精査して報告することも行っています。現在は、細胞外に放出される「細胞外小胞」について、中央研究所と検討を行っています。「細胞外小胞」は診断や治療、ヘルスケアへの応用が期待されており、とてもやりがいを感じています。

山根さん 「細胞外小胞についての検討にとてもやりがいを感じている」(山根さん)

研究棟では大きな1つの居室に様々な専門性を有した人が集まって仕事をしています。立ち話からアイデアが出てきたり、トラブルの解決法が見つかったりするなど、すごくオープンで働きやすい環境になっていると感じます。

小林 横浜の総合病院内にある検査室に勤務しています。採取された血液などを預かって検査し、データを医師のもとへ30分以内に返します。異常なデータが出ると、患者さんについての情報やカルテの記載、過去の病歴も確認しながらデータが正しいか精査します。

以前、ある患者さんの検体を顕微鏡で見たとき「あっ」と思いました。白血病細胞があって急性白血病が疑われました。国家試験にもよく出題される種類の細胞で、白血病の中でも緊急度が高く、治療しなければ1週間以内に亡くなる可能性があります。すぐに先生に連絡を入れると、大学病院での精査に回してもらえました。学生のころから学んできたこと、入社して得た知識を生かすことができたと思える瞬間でした。

トラウデン まさに医療現場と直結で人の命を守っているということですね。

竹内 社名変更に伴い、「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」との新たなミッションを掲げました。そして「人々の健康に寄り添い、信頼とイノベーションを通じて、ヘルスケアの発展に貢献する」というビジョンをうたっています。医療の世界は日々、変化・進歩しています。そうした中、我々が常に一歩先を行き、日本の医療、検査、ヘルスケア業界において新しい風を起こし続ける存在でありたいと考えます。

トラウデン 社長がおっしゃった「一歩先」が重要なキーワードだと思います。変化が大きすぎると疑心暗鬼になって、誰もついていけないこともあるでしょう。コロナ禍でも急に出てきたワクチンに対し、「ちょっと新しすぎないか」というような抵抗感が一部で見られました。私たちの健康のために一歩ずつ着実に進んでいってもらえればありがたいです。

トラウデンさん 「健康のために一歩ずつ進み、安心できる社会であってほしい」(トラウデンさん)

10年後、私もきっと子供を産んでいることでしょう。自分の子供が年をとるまで、さらにその先まで安心できる社会であってほしいと願っています。そのためには私も自らいろいろなことを知ろうと努力することが大切になってきます。どんな社会になってほしいかと考え、そんな社会になるよう声に出して言い続けなければいけないと強く思います。

社内カレッジや勉強会で
多くを学ぶ
仕事で大切な「自立・自走・自責」

山根 専門知識が足りていないと思うことが多々あるので、専門的な資格の取得を目指しています。また、開発した検査を導入する過程で企業法務や財務の知識が必要になってきます。視座を高くして多角的に業務をしようとすると、そうした知識も欠かせません。グループでは法務や財務などを幅広く勉強できる「H.U.ビジネスカレッジ」をやっていて、それに参加しています。カレッジには普段関わる機会のないグループ各社から参加者がいて、いい刺激になっています。

竹内 カレッジは法務やマーケティング、経理財務などビジネススキルの基礎知識を幅広くつけてもらいたいと考えて始めました。「40~50人くるかな」と話していたら、140人も手を挙げてくれました。その中でまず第1期生として45人がたいへん熱心に学んでくれました。

小林 臨床検査技師とは別に学会の認定血液検査技師というものがあり、その取得に向けて2カ月に1回開かれる社内の勉強会に参加しています。取得できたら、今後会社に入ってくる後輩たちに自分が学んだことをどんどん教え、グループの臨床検査のレベルが上がっていくよう努めたいです。また、病院内検査室の受託責任者を10年後ぐらいにはやれるようになっていたいです。この役職になると施設の運営を任され、さらに課長になるといくつもの施設の運営を見ることになるので、そういったところにもチャレンジしていきたいと考えています。

小林さん 「グループの臨床検査のレベルが上がっていくよう努めたい」(小林さん)

竹内 キャリア形成において、「自立・自走・自責」という3つのワードを今、よく使わせてもらっています。与えられた仕事を生かすも殺すも本人次第です。一番大切なのは自分の価値をどれだけ高められるかだと思います。「これをやりたい、あれをやりたい」と言って会社に入ってきますが、なかには自分が望まない仕事を割り当てられることもあるはずです。それでも目の前の仕事にとにかく一生懸命になってほしい。得るものは必ずあり、それが経験として蓄積され、将来きっと役に立つときがきます。「なんで自分がこれを……」という仕事も楽しんだ方がいい。そういう心の余裕を持つと、伸びしろがもっと大きくなるような気がしています。

広大な敷地の中核施設
世界最大級の自動化ラインも

東京都あきる野市にある「H.U. Bioness Complex」はヘルスケア事業を展開するH.U.グループの中核施設。約12万平方メートルの敷地に検査ラボ棟、R&D棟、管理棟、厚生棟がゆったりと立ち並ぶ。検査ラボには世界最大規模の全自動化ラインが備わり、一般的な検査のほか病理、細菌、遺伝子などの検査も行っている。

「検査を止めない」ために検査ラボ棟とR&D棟は免震構造、発電設備等も備え、災害時でも3日間の検査継続が可能。この施設で勤務する山根さんは「オープンな環境で多くの人と一緒に業務ができ、研究開発をするうえで求められるスピード感にも対応できる」と働きやすさを実感している。

座談会出席者

座談会出席者 プロフィル

トラウデン 直美さん(とらうでん・なおみ) モデル。京都府出身。ドイツ人の父と日本人の母を持つ。慶応大学法学部卒。「2013ミス・ティーン・ジャパン」でグランプリ受賞。雑誌やファッションショーのほか、報道や情報番組でも活躍中。21年から「環境省サステナビリティ広報大使」を務める。
(写真左から2人目)

小林 勇太さん(こばやし・ゆうた)エスアールエル 首都圏検査部 町田検査課・入社6年目。横浜市内の病院検査室勤務。医療機関で採取された血液や尿などの検体を検査する臨床検査技師。対象は血糖やコレステロール、白血球など健康診断でもおなじみのものから、感染症検査やがんのマーカー検査など幅広い。
(同左端)

山根 瑛子さん(やまね・えいこ)エスアールエル 研究開発本部 技術推進部 臨床開発課・入社3年目。入社以来、コロナ関連検査や新規検査開始のためのデータ取り、検証、レポートの作成などに取り組んでいる。現在は、H.U.グループ中央研究所と共同で多岐にわたる検討を行っている。
(同右端)

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