最先端の
生成 AI ソリューションで
ビジネス革新

先進 IT 企業を表彰する
モダン IT アワードも開催!


日本マイクロソフト
「Windows 11 Day」レポート

メイン画像 提供:日本マイクロソフト
メイン画像 提供:日本マイクロソフト

日本マイクロソフトは 2023 年 12 月、Windows 11 Pro を搭載した“モダン PC”と同社の生成 AI ソリューションを紹介するイベント「Windows 11 Day」を開催した。イベントではモダン PC や AI(人工知能)ソリューションについて日本マイクロソフトの担当者や有識者が講演するセミナーが行われたほか、IT の戦略的投資・運用によって DX を成し遂げた企業を表彰する「モダン IT アワード 2023」も同時開催。会場内にはモダン PC を提供するメーカー/流通会社による展示ブースも設置され、経営層や企業の情報システム担当者など 1000 人近い来場者でにぎわっていた。

マイクロソフトの最新生成 AI ソリューションを紹介

「Windows 11」が発売されてから約 2 年が経過した。この間、定期的なアップデートの実施によって機能強化が図られてきた Windows 11 だが、23 年にはマイクロソフトが満を持して開発した生成 AI ソリューションの OS へのビルトインを発表。インサイダープレビューにてすでに公開が始まっている。普段使いの Windows のデスクトップ画面から AI を気軽に呼び出して利用できる環境が整い、いよいよ本格的な AI 時代が幕を開けることとなった。

「Windows 11 Day」は、そんな Windows 11 に搭載された AI ソリューションをはじめとするマイクロソフトの最新の取り組みや、11 月のマイクロソフト米国本社にて行われた最新技術イベント、Ignite にて発表された Microsoft Copilot のアップデートを紹介した。セミナー冒頭に行われたキーノートセッションには、日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&AI ソリューション事業本部長の岡嵜 禎氏が登壇。「AI をはじめとするマイクロソフト ソリューションの展望」と題する講演を行った。

「22 年の ChatGPT 登場以降、マイクロソフトは生成 AI の開発に取り組み、『Microsoft Copilot』をはじめとするさまざまなソリューションを発表しました。それらの大きな特長は自然言語を使って AI とやりとりできることであり、これはコンピューターの使い方がグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)に変わった Windows 95 以来の衝撃だと捉えています。また非常に優れた推論エンジンが搭載され、あらゆる産業のビジネスプロセス、アプリケーションに地殻変動をもたらすものです。マイクロソフトは AI を安心・安全に活用するために責任ある AI を提唱しています。ビジネスでの AI 活用のため、機密情報を保護するセキュリティ対策にも責任を持って取り組んでいます」(岡嵜氏)

岡嵜禎氏 日本マイクロソフト株式会社
執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長
岡嵜禎氏

特別講演には、Forbes JAPAN 執行役員 Web 編集長の谷本有香氏、東京大学大学院工学系研究科教授の川原圭博氏が登壇。世界のトップリーダー 4000 人以上に取材経験のある谷本氏は「~世界のトップリーダーに学ぶ~ IT 投資の最適化と AI 登場による DX の今後」と題する講演を行い、世界の第一線の企業経営者が最新 IT をどのように活用してきたのか、実際の事例を取り上げながら紹介した。

「生成 AI の登場により、AI を使って何をするかという使う側の目線で考えることが重要になりました。多様化が進む現在、AI を自社のビジネスに取り入れていかないと、完全に乗り遅れてしまうというのが、世界のトップリーダーの共通認識です」(谷本氏)

谷本有香氏 Forbes JAPAN
執行役員 Web 編集長
谷本有香氏

一方、内閣府 AI 戦略会議構成員を務める川原氏は「AI 活用に向けて企業が今検討すべきこと」をテーマに、有識者の立場から意見を述べた。

「AI に関して国は、大きな興味をもってリーダーシップを発揮しています。『広島 AI プロセス』に対して G7 首脳声明が出され、国際的に相互運用可能なルールやガイドラインづくりが進んでいます。生成 AI を活用していくうえで企業が意識しなければいけないのは、それぞれのビジネスセクター(業種業界)の専門的な知識を取り込んだ基盤モデルを構築し、よりリッチなものへと高度化していくことです。
ChatGPT や Microsoft Copilot の登場によって下準備は整った状況なので、今後は膨大なデータから法則性を導き出すような生成 AI の基盤モデルの実現に向け、さらに研究開発に力を入れていくことを一研究者として願っています」(川原氏)

川原圭博氏 東京大学大学院工学系研究科教授/内閣府 AI 戦略会議構成員
川原圭博氏

続いて行われたテクノロジー セッションでは、日本マイクロソフト 業務執行役員 デバイス パートナー セールス事業本部長の佐藤 久氏、日本マイクロソフト モダンワーク ビジネス本部 シニア GTM マネージャーの春日井良隆氏が登壇。日本のビジネスシーンで広く利用されている Windows 11 Pro に組み込まれた Microsoft Copilot について、デモを交えながら解説した。

「最新の Windows 11 Pro を搭載したモダン PC を活用することで、従業員の生産性が 15% 向上、セキュリティインシデントは 58% 減少するというデータがあります。さらに Windows にデフォルトで搭載される AI 機能、これらによって、日本のビジネスに革新的なイノベーションを提供することが我々のミッションです。1 日も早く Windows 11 への移行、そして AI の運用を検討し、先進国として新しい働き方の実現と生産性の改善をスタートしてもらうことの重要性について知っていただければと思います」(佐藤氏)

佐藤久氏 日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 デバイス パートナー セールス事業本部長
佐藤久氏

春日井氏は、Microsoft Bing での Copilot の活用例のほか、Windows の設定やゲームなどのアプリケーションと連携する例、さらに「Copilot for Microsoft 365」で Word や PowerPoint での企画書作成を効率化するデモなどを行った。

「Copilot は文字どおり“副操縦士”の役割を果たす AI であり、実際に操縦するのはユーザー自身です。社内や個人の機密情報を保護しながら、社内のリソースやインターネットの膨大な情報を横断的に活用しビジネスからプライベートまで活用できる Copilot、そして Windows の大型アップデートで搭載されたさまざまな新機能をぜひ活用してください」(春日井氏)

春日井良隆氏 日本マイクロソフト株式会社
モダンワーク ビジネス本部 シニア GTM マネージャー
春日井良隆氏

DX を成し遂げた企業を表彰する「モダン IT アワード 2023」を創設

プレゼンターの池澤あやか氏、沼田育城氏(NTTデータ)、小柴隆寛氏(三桜工業)、河野昭彦氏(パナソニック コネクト)、山田恭平氏(日本マイクロソフト) 左から、プレゼンターの池澤あやか氏、沼田育城氏(NTTデータ)、小柴隆寛氏(三桜工業)、河野昭彦氏(パナソニック コネクト)、山田恭平氏(日本マイクロソフト)

セミナーセッションの次に行われたのが、日本マイクロソフトが新しく創設した「モダン IT アワード」の 23 年受賞企業による事例セッションだ。同アワードは、「モダン PC や IT 活用による生産性・働き方改革、AI など先端テクノロジーの利用など、ビジネスで顕著な成果を上げている企業・団体を発掘し、その成功のノウハウを共有し、IT のチカラで日本のビジネスを変革する」という目的でつくられた。今回受賞したのは、株式会社NTTデータ、三桜工業株式会社パナソニックコネクト株式会社の 3 社で、プレゼンターのタレント/ソフトウェア エンジニアである池澤あやか氏から盾が授与された。

NTTデータは、Microsoft 365 に含まれる Microsoft Intune、Windows Autopilot を使ったデバイスのゼロタッチ管理による、フレキシブルな働き方の実現、より高度かつ簡易なセキュリティ環境の構築が高く評価されアワードを受賞した。

「NTTデータは、場所やデバイスを問わずに働けるハイブリッドワークを実現するために『仮想デスクトップ』と『ゼロトラストネットワーク』というテクノロジーが必要不可欠だと考えました。従来は社内の情報資産へのアクセスを内部ネットワークだけに限定して安全性を担保する境界防衛型のセキュリティ対策を講じていましたが、そのセキュリティに対する考え方を根本から変え、社内も社外も信頼せずにその都度セキュリティの安全性を確認するというネットワークインフラへと再構築することにしました。それが『セキュアFAT』というソリューションです」(NTTデータ デジタルビジネスソリューション事業部 デジタルワークスペース統括部ソリューション開発担当・課長代理 沼田育城氏)

NTTデータのセキュアFATとは、Intune の導入により FAT 端末(記憶媒体やアプリケーションなどの機能が搭載された PC やモバイルデバイスのこと)に対してセキュリティ対策を施し、端末の機種や場所によらず必要なセキュリティ設定を強制的に適用して情報漏洩リスクを低減するというもの。機種やメーカーを固定することなくさまざまな端末・OS が利用できるほか、ネットワークに接続されていない状態でも適用できるというメリットがある。また Windows Autopilot を使ってクラウドからの自動配布・自動適用を可能にしたことで、情報システム部門の負荷を軽減し戦略的な活動に注力できるようになったという。

三桜工業は情報システム部門により、Microsoft 365 E5 の機能をほぼフル活用し、従業員が気づかないほどシームレスに Microsoft 365 への移行を成功させ、グローバル拠点を含めたセキュリティの強化や IT 環境の抜本的な改革を成功させた。

「典型的な境界型防御型のセキュリティ対策を講じていた当社では、社内ネットワークに接続するために VPN(仮想私設網)が必須であり、いつでもどこからでも仕事ができないという課題を抱えていました。また、ID の一元管理ができておらず、システムごとにパスワード入力が必要で時間的損失が発生することも課題でした。これらの課題を解決するために、IT ベンダーと共同でコンプライアンスやポリシーなどの基本設定の検討に着手するとともに、Microsoft 365 E5 を導入し、そこに含まれる豊富な機能をフル活用したセキュリティ対策を実現しました」(三桜工業 ICT・DX 戦略部 セキュリティ対策 Team 小柴隆寛氏)

小柴氏によると、導入初年度に基本的な防御機能を展開し、その後に高度なセキュリティ対策やデータ保護の取り組みを段階的に進めていったという。それによりセキュリティ運用負荷の軽減、シングルサインオン(SSO)の整備による認証情報の一元化、海外現地法人との情報共有やセキュリティ保護の強化などを実現。いつでもどこからでもセキュアに会社の情報にアクセスできる環境が整備できたという。

AI 活用の先進的な取り組みが評価されてアワードを受賞したのが、パナソニック コネクトだ。同社は 23 年 2 月より、生成 AI による業務生産性向上、社員の AI スキル向上、シャドー AI 利用リスクの軽減を目的に、ChatGPT をベースとした AI アシスタントの運用を推進。大規模言語モデルをベースにした自社向け AI アシスタントサービス「ConnectAI」を開発して試験運用を行った。

「サービス開始から 3 カ月の活用実績を見ると、利用回数が想定の 5 倍以上の 5000 件以上もあり、社員が日常的に使う必要がないにも関わらず、利用回数が上昇傾向を維持していることが分かりました。キャリアについての相談や製造業らしい素材に関する質問など想定外の利用実績も認められ、不適切というアラートが上がった利用についても重大な問題はないと判断できました。こうした実績から生成 AI はビジネスに有効だと判断。さらに取り組みを加速させることにしました」(パナソニックコネクト 執行役員 CIO 河野昭彦氏)

今後については、自社固有の質問に対しても回答してくれる AI、個人の職種・役割に応じて回答してくれる AI に進化させ業務変革を加速させる計画だ。また、ノウハウの伝承・活用が不十分で精査・判断に課題がある品質管理部門、顧客対応に時間を要するという課題があるカスタマーサポートセンターに適用し、社内データを活用して社内業務改善・業務効率化の実現を目指す取り組みにも着手している。

モダン PC を実現するパートナーソリューションが多数展示

Windows 11 Day では、日本マイクロソフトのパートナーによる展示ブースも設置されていた。出展各社の展示内容は以下の通り。

■ダイワボウ情報システム株式会社
Microsoft Intune と Windows Autopilot の活用による PC セットアップ・更新、セキュリティ設定、アプリケーション配布などを実現するゼロタッチソリューションサービスを展示。ダイワボウ情報システムによると、国内最大級の対応メーカー数が大きな特長だという。

■SB C&S株式会社
ソフトバンクが動作確認検証を実施・合格した 5G/LTE USIM(ユーザーの加入権情報が保存された SIM)搭載の Windows PC を展示。ルーターやテザリングに接続することなく、Windows PC だけで携帯電話回線を利用したネットワークが利用できる利便性をアピールしていた。

■株式会社大塚商会
クラウドサービス販売を支援する統合 EC プラットフォーム「くらうどーるコマースプラットフォーム」を展示。EC サイトを自由にカスタマイズできるほか、煩雑な契約管理を直感的な操作で行えることが特長だという。Copilot for Microsoft 365 も展示。

■TD SYNNEX株式会社
新規購入と既存廃棄の同時検討が必要な PC リプレース時の課題、PC 廃棄時コスト&情報漏えいリスクを解決できる「リユースリサイクルサービス」を紹介。20 年以上提供しており、豊富な知見をもつ専任コンサルの支援も提供。Intune と Autopilot によるキッティングサービスも展示。

■富士通株式会社
ハイブリッドワークに最適な最新モデルとして、超軽量薄型モバイル PC「LIFEBOOK U9シリーズ」を展示。大型画面による高い操作性、最大 32 時間のバッテリー駆動と 891 グラムの軽量本体、高性能な 13 世代インテル Core プロセッサ搭載が特長。富士通独自のセキュリティ機能も紹介していた。

■レノボ・ジャパン合同会社
Windows 11 を搭載したモダン PC として「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」「ThinkPad X13 Yoga Gen 4」「ThinkPad P16 Gen 2」など ThinkPad シリーズの最新モデルを複数展示。働き方の進化を加速させる「レノボ デジタルワークプレイスソリューション」などのサービスも紹介していた。

■デル・テクノロジーズ株式会社
軽量 14 インチモバイル PC「Dell Latitude 7440 Ultralight」など最新デバイスを多数展示。Microsoft Copilot など生成 AI を組織に導入する際のデータ・アクセス保護を実現するソリューションサービス、導入コンサルティングからリサイクル・廃棄までをサポートするサービス群も紹介。

■株式会社日本HP
「HP Probook 445 G10」「HP EliteBook 1040 G10」「HP Dragonfly G4」などのモダン PC を展示。電源オフ状態でも遠隔から管理できる MDM ソリューション「HP Protect and Trace with Wolf Connect」、データ通信が 5 年間使い放題になる「HP eSIM Connect」なども紹介していた。

■日本電気株式会社
ハイブリッドワーク向けの「VersaPro UltraLite タイプVN」、リモートワーク/オフィスワーカー向けの「VersaPro タイプVM」を展示。使い勝手と可搬性を両立させたモビリティ性能、マイクロソフトの要件に対応するセキュリティ機能、高速 CPU 搭載によるユーザビリティをアピールしていた。

会場の様子

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