2月29日はRare Disease Day

希少疾患を考えよう

―理解ある社会に向けて―

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希少な「うるう日」のある、2月最終日はRare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)です。「希少・難治性疾患」とは、患者数が少ないことや、病気のメカニズムが複雑なことなどから、治療・創薬の研究が進まない疾患を指します。また、日本では、希少・難治性疾患に関連して「難病」と「指定難病」という定義もあります。本特集では、希少・難治性疾患を持つ人々の生活の質の向上を目指して活動するRDDグローバル事務局代表 ヤン・ル・カム氏とRDD Japan事務局長の西村由希子氏、厚生労働大臣の武見敬三氏に話を伺いました。

希少・難治性疾患とは

  • ペイシェントジャーニー
  • 希少疾患は患者数の少ない「まれ」な病気で、治療法や治療薬がないことが多く、約6000種類の疾患があるといわれています。全世界では、推定3億人の患者さんがいると推定されており、その意味ではまれとはいえないかもしれません。


    希少疾患は、病気そのものに対する医療関係者や研究者の認知度が低く、治療法の研究・開発が進まない点が大きな課題です。専門医も少ないため誤診の可能性も高く、確定診断まで平均して6~8年かかるというデータもあります。患者さん・ご家族は、周囲からの理解が得られず孤独や生きづらさを感じてしまうことも問題といえます。

まず存在を知る
人に優しい社会へ

  • 西村由希子氏の写真 RDD Japan事務局 事務局長 
    西村 由希子氏
  • 希少・難治性疾患と聞くと、縁遠いものに感じてしまう人も多いのではないでしょうか。しかし世界全体で約3億人の患者さんがいると推定されており、意外と身近な存在といえるかもしれません。


    私たちRDD Japan事務局は、希少・難治性疾患の患者さんやご家族、医療従事者や研究者をはじめとしたステークホルダーのつながりをつくり、かつ、どの関係者からも独立した中間機関です。2010年から毎年2月最終日にイベントを開催し、今回で15回目です。全国各地で様々な啓発イベントを実施しているのですが、公認開催地は75か所まで増え、広がりを実感しています。今年のテーマは「めぶく、であい。たっぷり、いっしょに。」です。イベントへの参加を通じて、いろいろな人たちと出会い、話すことで楽しみながら何かを感じていただきたいです。


    希少・難治性疾患領域における課題解決は、製薬メーカーだけの問題ではありません。例えば、筆圧をかけなくても文字を書くことができるペンがあれば、病気で握力が弱くなってしまった方も書くことができます。産官学あらゆるジャンルが結集し社会全体で取り組むことで、患者さんの生活がより豊かなものになると考えています。


    一人ひとりができることを持ち寄って世の中を少しずつ変えていくことは、希少疾患に限らず多くのことにあてはまると思います。そのためにはまず知らなければ何も始まりません。存在を知ることで、少しでも「気にかけてみよう、声をかけてみよう」という気持ちが生まれたらいいですね。人に優しい社会は、誰にとっても価値があるはずです。私たちはこれからも活動を続けていくことで、患者さん・ご家族が「独りじゃないんだ」と感じてもらえるような環境をつくっていきたいと思います。

国境や病気を超え
活動の輪を広げる

  • EURORDIS 最高経営責任者 ヤン・ル カム氏 EURORDIS 最高経営責任者 
    ヤン・ル カム氏
  • 1997年に、嚢胞(のうほう)性線維症を持つ私の娘の存在がきっかけで、4つの患者団体とともにEURORDIS - Rare Diseases Europeを設立しました。RDDグローバル事務局はEURORDIS内にあります。毎年2月の最終日をRare Disease Dayと指定し、世界100カ国以上で啓発活動を行っています。私たちは、国境や疾患を越えて活動の範囲を拡大し、希少疾患を持つすべての人々が潜在能力を最大限に引き出すことで、自立して生活できるような公正かつ包括的な社会を創造することを目標としています。

難病支援と調査研究を両軸に推進

  • 厚生労働大臣 武見 敬三氏 厚生労働大臣 武見 敬三氏
  • 厚生労働省では、難病の患者に対する医療等に関する法律等に基づき、医療費助成や、日常生活・就労等の相談支援等を通じて、難病の方の長期にわたる療養生活を支えています。慢性的な疾病により社会との交流が妨げられているお子様に対しては、相互交流や就職支援、保護者の方々へは一時預かり支援等を実施しています。


    引き続き、病態解明や診断および治療法に関する調査研究を推進するほか、本年4月からは製薬企業等への難病データベース情報の提供により、創薬研究をより一層支援いたします。


    医療費助成の申請手続きのオンライン化など、難病の方や慢性的な疾病を抱えるお子様・保護者のご負担を軽減する取り組みを推進するとともに、良質かつ適切な医療の確保や療養生活の質の向上等の取り組みを進めていきます。


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「世界希少・難治性疾患の日」支援キャンペーン

RDD当日のランドマークのライトアップや中高生向けのイベントなど、全国各地で実施している啓発活動の拡大に向けて、ご支援をお願いいたします。

RDD公式グッズなどを幅広く展開

私たちは希少・難治性疾患の患者さん・ご家族とともに歩み続けます

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